1年半のSTOP!インボイス記事まとめ
このニュースレターはフリー記者の犬飼が「大手メディアが報じない読み応えのある検証記事」を月に6 本以上(目安)配信します。皆さんの生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を、正しく理解できるように分かりやすく解説しています。
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この記事を書いた理由
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まともな導入根拠はなく単なる増税であるインボイス制度が間もなく強行されようとしている
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しかし、大手メディアの黙殺によって未だに問題の深刻さに気付いていない国民が多い
この記事で理解できること
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様々な観点(消費増税、事務負担の増大、個人情報の流出 等)でインボイス制度は全ての国民が不利益を被る「百害あって一利なし」の制度だということ
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大手メディアは揃って黙殺した中、反対運動は約2年にわたって地道に続いていたということ
筆者とインボイス制度の関わり
国民の反対の声を完全無視して、政府が10月1日から強行しようとするインボイス制度。
筆者は昨年4月から約1年半にわたって問題を報じ続け、執筆した記事は30本以上。
*内訳:theLetter20本、集英社オンライン9本、月刊保団連1本、週刊女性1本
インボイス関連のイベント(記者会見、集会、デモ、超党派議連ヒアリング等)への現地参加は17回。
インボイスに関連した省庁(財務省・国税庁)への開示請求は7件。
1年以上にわたって継続的に参加する首相会見で1度だけ指名され質問機会を得た際は迷わずインボイスについて質問。岸田総理は導入根拠を全く説明できない(そもそも自分の言葉で説明できない)ことを露呈させました。
手前味噌ながら、
広く、
深く、
長く、
インボイス制度の問題に取り組んできたと自負しています。
しかしながら、最近になって問題の深刻さに気付いた方や、問題が多過ぎるために全体像を理解しきれていない方も多いかと思います。そこで、今回のニュースレターでは、これまでに筆者が公表した記事や映像を改めて振り返る形で全体像を紹介していきます。
*記事は、インボイスの問題を理解する上で優先度に応じて「必読」」もしくは「オススメ」と記載
必読:対象の知識を知らない場合は絶対に読むべき記事
オススメ:もし対象の知識に興味があれば読むべき記事
前提知識
「インボイスについて何も知らない!」という方は、まずはこれらからお読みください。
▼大前提となる「仕入税額控除」の仕組みを知らない方は必読
▼インボイスで影響を受けるのは個人事業主・フリーランスだと思っている方は必読
目安として、以下の全体像がピンとこない場合はまず上記のニュースレターを参照ください。
©︎2023 Jun Inukai
▼業種ごとの具体的な悪影響をイメージできない方にオススメ
*例示は農家、産地直売所、飲食店、出版社、出版社と取引する事業者、シルバー人材センター、高齢者、個人タクシーだが、あらゆる業界に当てはまる
導入根拠・益税
政府はインボイス制度の導入根拠として、「複数税率下での適切な課税に必要」と主張し、その背景として益税(=免税事業者は消費者が支払った消費税を納税していない)の存在を挙げています。しかし、これらの主張がすでに論理破綻していることは国会質疑を通して何度も明らかになっており、実態はただの増税です。
▼政府が主張する導入根拠は正しいと信じている方、インボイスは消費税の将来的な20%超への増税への布石であることがピンとこない方は必読
▼消費税を支払っているのは「消費者」ではなく「事業者」である(=益税は無い)ことがピンとこない方は必読
▼益税が無いことを明確に認める政府答弁があったことをご存知ない方は必読
個人情報の漏洩
インボイス制度の最も深刻な問題は増税ですが、副次的な問題として個人情報漏洩もあります。事業者公表サイトは芸名・ペンネームで活動する事業者の本名バレ・居場所バレを引き起こすほどの制度欠陥があるため、1年以上前から複数の市民団体が改善を要望していました。しかし、国税庁は欠陥を放置したまま制度開始を迎えようとしています。
▼事業者公表サイトから個人情報が漏洩する仕組みをご存知ない方は必読
▼芸名の事業者(声優)と取引する実務担当者が「現行の事業者公表サイトでは個人情報が漏洩するため使い物にならない」と断言する理由を知りたい方にオススメ
この問題で特に深刻なのは、昨年9月に与党議員(赤松健氏、山田太郎氏)の要請を受けて、国税庁はいったんは問題を解決したと発表したにもかかわらず、その対応がザル過ぎて実際は解決していなかったということです。さらに今年2月の超党派議連ヒアリングでは技術者がデモ映像を投影しながら問題は解決していないことを指摘し、解決策まで指南したにもかかわらず、国税庁は全てのアドバイスを無視し続けているのです。
▼昨年9月の国税庁の改善対応はザル過ぎて問題は一切解決していないことをご存知ない方は必読。また、技術者による国税庁への提言内容を知りたい方にオススメ
その後も国税庁は改善対応をとらないため、筆者は本件に関連して国税庁に複数回にわたって開示請求。開示文書の交付時に国税庁職員と個別にやり取りした結果、率直に言って民間企業では懲戒処分レベルの杜撰なセキュリティ対策が国税庁でまかり通っていることが判明し、震撼しました。
▼改善策まで指南されても国税庁が欠陥を放置する理由が気になる方にオススメ
*いずれも本編はサポートメンバー限定公開
インボイス導入を後押ししたサポーターの存在
ここまで問題だらけでありながら、なぜインボイス制度が強行されようとしているのか。それは、本来であればインボイス増税の実態を正確に伝えるべき立場の各組織が、不正確な情報発信によってインボイス導入を後押ししたことが大きく関係します。
▼なぜ大手メディアは政府が主張する偽りの導入根拠・益税を垂れ流したのか知りたい方にオススメ
*今年1月時点で特に悪質な6社(朝日新聞、ABEMA、NHK、東京新聞、日経新聞、毎日新聞)に筆者が公開質問を送付した結果 *本編はサポートメンバー限定公開
*最新(今年9月)の公開質問の結果 *本編はサポートメンバー限定公開
▼そもそも大手メディアがインボイスについて正確に報道できない背景に関心がある方にオススメ
*本編はサポートメンバー限定公開
▼フリーランスの味方のはずのフリーランス協会が、フリーランスと真逆の声(=多くのフリーランスはインボイスに反対していない)を政策決定の場で伝え続けた裏切り行為に関心がある方にオススメ
的外れな政府の対策
インボイス制度を不安視する声に対して、国会で岸田総理や鈴木財務大臣は「激変緩和措置で負担を軽減する、独禁法で取り締まるなど対策を講じたから大丈夫」という楽観的な答弁を繰り返しました。しかし、それらの対策はことごとく的外れであることが制度開始前の時点で次々と露呈しています。
▼インボイス未登録を理由にした取引停止の証拠が残っていても、公取委は一切取り締まらないという衝撃的見解が明かされた個別レクチャーの内容に関心がある方にオススメ
*本編はサポートメンバー限定公開
▼激変緩和措置で本当に負担は軽減すると信じている方にオススメ
記事の紹介は以上です
イベントの振り返り
これまで筆者が参加したイベントも時系列で紹介します。大手メディアはほとんどのイベントに来ていないため、今となっては貴重な映像も含まれます。
*冒頭に【資料投影あり】と表記されている映像は、関連する資料やスライドを適宜投影しているため、説明内容を理解しやすいはずです
▼インボイス制度の中止を求める税理士の会 記者会見(2022年6月9日)
*この時点で益税をめぐる誤解について入湯税などの比較も交えて税理士の会は具体的に説明していたが、当時から大手メディア(テレビ局、全国紙・ブロック紙)の参加はゼロという状況が続いていた
▼インボイス制度に関する声明および質問書提出の記者会見(2022年8月8日)
*公平な税制を求める市民連絡会(共同代表:宇都宮けんじ氏)が主催し、財務省に申し入れ。申し入れ時の質疑概要はtheLetter「【独自】インボイス制度 6つの懸念に対する財務省の衝撃的回答」参照
インボイス制度に関する声明および質問書提出の記者会見(2022年8月8日)開始直前の様子。前週に国会が終わりひと段落したタイミングで、場所は国会記者会館から徒歩3分の議員会館だったが、参加した記者は筆者を含めても5名程度(写真左側)で、雑誌・専門紙・機関紙・フリーのみ。大手メディアの参加は依然としてゼロ。
▼STOP!インボイス 銀座ピクニック(2022年10月1日)
*STOP!インボイス初めてのデモ
▼STOP!インボイス 日比谷MEETING(2022年10月26日)
*日比谷野外音楽堂で初の大規模デモ *テレビ朝日などのテレビ局が初めて取材に参加
▼首相会見(2022年10月28日)
*初めて指名されて質問機会を得た筆者は、インボイスについて質問。岸田総理は導入根拠を全く説明できないことが露呈したが、目の前で見ていた内閣記者会はこの質疑の存在自体を黙殺。
残念ながら大手メディアのインボイス報道はパラレルワールド状態が続く。
sankei.com/article/202210…
*筆者はこれが最後の指名となり、その後は参加し続けても指名されない状況が約1年も続く。一方、毎回多くの質問機会を得ている内閣記者会 常勤幹事社19社はインボイスについて1度も質問していない。
▼インボイス制度の中止を求める税理士の会 国会懇談会(2022年11月2日)
*基調講演では益税の誤解を東京地裁判例に基づいて解説
▼エンタメ4団体合同 インボイス制度見直しを求める記者会見(2022年11月16日)
*エンタメ4団体(声優、アニメーター、演劇、編集者・漫画家)が主催し、各業界のインボイス制度に関するアンケート結果を発表 *同日直後にインボイス超党派議連 設立総会が続けて開催されたこともあり、NHK、テレビ朝日など多くの大手メディアが参加
▼インボイス超党派議連ヒアリング(2022年12月8日)
*建設、エンタメを対象にヒアリング *終盤、声優が東京地裁判決に基づいて益税をめぐる財務省説明の矛盾を露呈させる一幕があったが、そもそも大手メディアは参加しておらず報道されなかった。質疑の概要はtheLetter「「消費税は預かり金ではない」 声優が証明した財務省の論理破綻」参照
▼インボイス超党派議連ヒアリング(2023年2月3日)
*俳優、農家を対象にヒアリング
*個人情報漏洩の放置を技術者が告発して注目されたが、そもそも大手メディアは参加しておらず報道されなかった。告発の概要はtheLetter「インボイス個人情報問題の国税庁対応はザル。今も氏名を含む全件データは取得可能(2)」参照
全件ダウンロードが今も可能であると実演映像で技術者が解説。
「はっきり言って、国税庁の情報セキュリティはザル。民間企業であれば、これだけで懲戒処分に相当する大失態」
22分35秒〜
youtu.be/i-lWfLhB9nY?t=…
▼インボイス超党派議連ヒアリング(2023年2月13日)
*税理士を対象にヒアリング *終盤に18万筆超の署名を省庁に手交
*この回から突如として官僚側は個人情報保護のため顔出しNG・匿名の条件で参加することになり非難を集めた
本日の第4回から突如として、【官僚の撮影・実名出しはNG】となり、次第にも部署名までしか記載されなくなりました
#STOPインボイス
▼インボイス制度見直しを求める業界横断記者会見(2023年2月13日)
*様々な業界(野菜卸、ライブハウス、映像クリエーター、ヨガインストラクター)の当事者がインボイス制度の問題点を指摘 *TBSなど一部の大手メディアは参加
▼インボイス制度見直しを求める業界横断記者会見(2023年2月28日)
*軽貨物・ダンプの運転手を対象にヒアリング *公正取引委員会は企業対企業を想定した独禁法の枠組みでしか取り締まらないため、個人事業主が当事者となるインボイス制度のトラブルに無力と露呈し始めるが、そもそも大手メディアは参加しておらず報道されなかった
▼インボイス制度の中止を求める税理士の会 国会決起集会(2023年3月30日)
▼インボイス止めたい みんなで初スピーチ(2023年3月30日)
*国会決起集会後に議員会館前で初のオープンマイク街宣
▼増税もう無理!STOP!インボイス全国一揆(2023年6月14日)
*初の国会前デモ。同時刻に全国各地でデモを実施 *TBSなど一部の大手メディアは参加
*国会に集まった参加者 約1500人の全体像
▼クールジャパンを壊すインボイス制度の中止を求める外国特派員協会 記者会見(2023年6月22日)
*国内メディアの黙殺に改善が見られないため、外国メディア向けに会見を実施
*フジテレビ、テレビ朝日など一部の大手メディアも参加
▼インボイス制度の中止・延期を求める緊急提言記者会見(2023年9月4日)
*反対署名36万筆超を財務省・国税庁・公取委に手交 *各業界(軽貨物、農業、建設、司法書士、競馬)の当事者がインボイスの問題点を指摘
*これまでと一転して多数のテレビ局(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京、TOKYO MX等)が参加
これまで会見に全く来なかったテレビ局が勢揃い。(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京、TOKYO MX等)
あとは【10月1日の前】に【導入根拠はなく、ただの増税】という本質と共に放送するかに注目します。
*上記のツイートで懸念した通り、大手メディア(準キー局以上のテレビ局、全国紙・ブロック紙以上の新聞)は登壇者が繰り返し説明した「導入根拠はなく単なる増税」という本質を一切報じないまま10月1日を迎えようとしている
イベントの振り返りは以上です。
STOP!インボイス、インボイス制度の中止を求める税理士の会などの市民団体が繰り返し問題点を訴えてきたこと、それにもかかわらず大手メディアは黙殺した実態が改めて伝わったかと思います。
最後に
昨日にインボイス反対署名は46万筆超となり、ついにオンライン署名の国内最多記録を塗り替えました。その後も勢いは衰えず、目標としていた50万筆の突破も時間の問題となっています。
#STOPインボイス 署名活動への賛同が46.6万筆を超え、Change.org日本版史上、最高記録を更新しました!👏
小規模事業者の収入や市民の生活に大きな影響が及ぶ #インボイス制度。
9月25日(月)の官邸前アクションに向けて、ラストスパートに入りました🔥 The world’s platform for change Change.org is the world’s largest petition platform, using t Change.org
Change.orgの歴代賛同数 上位には東京五輪、森友学園、検察庁法改正、旧統一協会など連日メディアが大々的に報じた問題がズラリと並ぶ中、大手メディアが揃って黙殺したSTOP!インボイスがトップに立ったことは驚異的であり、かすかな希望と言えます。
Change.org 賛同数 トップ5(2023年9月22日時点)
25日までに日本最大の署名数50万筆を達成したいです✊
署名してくれた38万人の皆さん、どうかあと【1人】に署名を広げてください🫡
chng.it/CFQFCXKsnd
⚠️時間変更⚠️
9.25日官邸前アクションの開始時間が18時半からになりました
この勢いを止めないためにも、首都圏在住で都合のつく方はぜひ9月25日(月)夜は官邸前デモへのご参加を検討ください。
2023年9月23日 犬飼淳
このニュースレターはフリー記者の犬飼が「大手メディアが報じない読み応えのある検証記事」を月に6 本以上(目安)配信します。皆さんの生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を、正しく理解できるように分かりやすく解説しています。
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