【独自】インボイス導入根拠と益税の公開質問で浮き彫りになった、メディア各社の理解度(2)
*インボイス導入を10日後に控え、公共性・緊急性が高いと判断したため、前半は無料読者にも公開します
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この記事を書いた理由
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インボイスは全ての国民が不利益を被る制度だという認識が広まらないまま導入を迎えようとしている
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その最大のボトルネックは、政府の偽りの主張(インボイスには妥当な導入根拠がある、益税は存在する、等)を伝書鳩のように垂れ流し続ける大手メディアである
この記事で理解できること
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インボイスについて繰り返し報道してきた大手メディア6社が問題の大前提(導入根拠の妥当性、益税の有無)をそもそも理解しているのか
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もし理解しているのであれば、なぜ不正確な報道を続けるのか
国民の反対の声を完全無視して、政府が来月から強行しようとするインボイス制度。
不利益を被らない国民は誰一人として存在せず、(一般国民としては)百害あって一利なしの制度と断言できるため、多くの市民がインボイス中止を求めてきました。
*被害の全体像は筆者のtheLetter「国民全員に悪影響が連鎖するインボイス。問題と被害の全体像」(2022年9月29日)参照
そもそも、政府が主張する導入根拠(税率8%と10%の商品をまとめて10%で控除した事例があるため、複数税率下での適正課税に必要)が真っ赤な嘘であることは昨年までの国会質疑や筆者自らが質問した総理大臣記者会見ですでに明らかになっています。
*導入根拠の詳細は、筆者が寄稿した集英社オンライン記事「インボイス導入の本当の狙いは「消費税20%超増税」への布石か?」(2022年6月23日)参照
*昨年10月28日の首相会見で筆者が自らインボイスの導入根拠を岸田総理に質問し、根拠が無いことが改めて露呈した約3分間の質疑映像はYoutube参照
さらに、益税が存在するという主張(免税事業者は消費者が支払った消費税を国に納めず利益としている)は裁判所の判例で明確に否定されています。
これだけの事実を積み上げているにもかかわらず、いわゆる大手メディア(テレビ局、全国紙・ブロック紙以上の新聞)は、政府の偽りの主張(インボイスには妥当な導入根拠がある、益税は存在する、等)を1年以上にわたって伝書鳩のように垂れ流し続け、国民が問題を正しく理解することを妨げました。
あまりにも悪質なため、筆者は今年1月時点で不正確な報道を繰り返していた大手メディア6社(朝日新聞、ABEMA、NHK、東京新聞、日経新聞、毎日新聞)に公開質問を送付し、導入根拠や益税について会社としての公式見解を確認。しかし、ほぼ全ての社は大半の回答を避け、不見識なだけでなく無責任であることが露呈しました。
*今年1月に実施した6社への公開質問の結果は、以下のニュースレター参照
あれから約8ヶ月が経過。
9月4日にはSTOP!インボイスが議員会館で緊急提言記者会見を開催。当日までに反対署名が36万筆に急増したこともあり、これまでと一転して多くの大手メディアが現地参加。登壇者の大半は、インボイスにまともな導入根拠はなく、そもそも益税は存在しないことを繰り返し訴えました。
*当日の会見映像は以下のYouTubeで視聴可
しかし、ここまで具体的な説明を現地で聞いても、残念ながら大半の社の報道姿勢は変わりませんでした。
大手メディアの直近の報道例
以下、緊急提言記者会見から1週間以内の各社の主な報道を抜粋して紹介します。
▼朝日新聞(9月4日)
・インパクトのある署名提出写真をサムネイルとして使用しているものの、政府が主張する曖昧な対策(柔軟かつ丁寧な対応、閣僚会議の立ち上げ等)を垂れ流し
▼東京新聞(9月4日) *共同通信の配信
・9月4日の緊急提言記者会見に関する各社報道で唯一、登壇者の「税率を変更しない消費税の増税だ」という発言を紹介
・ただし、政府がこれまで主張してきた偽りの導入根拠については言及自体なし
・そもそも同会見について東京新聞としての独自記事は無し
▼日経新聞(9月4日)
・9月4日のインボイスに関する動きをまとめた記事
・同日の緊急提言記者会見は存在自体に触れない一方、同日に政府が発表した曖昧な対策(総理の閣僚会議の立ち上げ指示、官房長官会見での「丁寧な周知広報に努める」発言 等)は垂れ流し
▼NHK(9月5日)
・政府が主張する偽りの導入根拠(複数税率下で納税額を正確に把握するため)を垂れ流し
▼NHK(9月6日)
・インボイスを取材してきた財政担当記者(横山太一)が一問一答形式で疑問に答える形式でありながら、政府が主張する偽りの導入根拠(正確な納税のため)を垂れ流し
・36万筆の反対署名提出を紹介した後、「制度の理解や周知がどこまで広がるかが鍵」という国民の理解不足に責任転嫁する主張で締めくくり
▼毎日新聞(9月7日)
・VOICTIONが取材協力したおかげで声優業界への悪影響を詳しく伝えているものの、肝心の導入根拠は偽りの政府主張(軽減税率下で正確な税額計算のため必要)を垂れ流し
*同会見の独自記事が無かった東京新聞は、先月に以下の記事はあり
▼東京新聞(8月18日)
・Q&A形式でインボイス制度を詳しく紹介する形式でありながら、政府が主張する偽りの導入根拠(複数税率下で納税額を正しく計算するため)を垂れ流し
公開質問状の内容
結局、緊急提言記者会見で登壇者の多くが声を大にして訴えた「導入根拠はなく単なる増税」という本質を、目の前で聞いていたはずの大手メディア(準キー局以上のテレビ局、全国紙・ブロック紙以上の新聞)は未だに完全スルー。その一方、従来通り政府の偽りの主張だけはご丁寧に垂れ流しているのです。
そこで導入を目前に控えた今、前回(今年1月)の公開質問と同様の手法で、不正確な報道を繰り返してきた特に悪質な大手メディア6社(朝日新聞、ABEMA、NHK、東京新聞、日経新聞、毎日新聞)に各社の公式見解を再び問い合わせることにしました。
質問内容は大きく2項目に分けて、全10問。
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インボイスの導入根拠について
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益税問題について
*前回(今年1月)の公開質問との変更点は、「自社の免税事業者との取引方針」(1問目)を省いたことのみ。残り10問は前回と全く同じ
公開質問1〜4問目
公開質問5〜10問目
曖昧な回答は避けるため全体的に選択式を多く採り入れ、自由記述では選択の根拠を具体的に説明して頂く流れにしています。
進め方
公開質問の送付は以下のような流れで進めました。
9月10日:6社に一斉に公開質問を送付。回答期限は10日後(9月20日)を指定。
*前回とほぼ同じ質問内容だが、「回答が間に合わない」という理由を排除するため十分な回答猶予を持たせた
*3社(朝日新聞、NHK、日経新聞)は問い合わせフォーム、電話、面識のある記者など八方手を尽くしても「一般の問い合わせフォームに送ってほしい。反応が無いならば、それが答え」という趣旨の反応しか得られなかったことを踏まえ、前回同様に一般の問い合わせフォームで連絡。そのため、文字数制限の関係で先ほど掲載した公開質問の文言を一部省略している場合あり
9月20日:回答締め切り
*6社中3社(ABEMA、毎日新聞、東京新聞)は回答あり
結局、前回同様に朝日新聞、NHK、日経新聞は最後まで一切の反応がありませんでした。「反応が無いならば、それが答え」ということでしょう。
反応があった残り3社(ABEMA、東京新聞、毎日新聞)にしても、回答は質問に対して不十分。率直に言って、これまで導入根拠も益税もあたかも存在するかのような報道を繰り返したメディアとしては極めて無責任な内容。回答があまりに不十分だったため追加でやり取りした結果、数社は虚偽と認識した上での確信犯だったことも見えてきました。
これ以降、各社の回答結果に加えて、やり取りも公開していきます。
後半の目次
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回答結果
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毎日新聞とのやり取り
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ABEMAとのやり取り
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東京新聞とのやり取り
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