【独自】隠された神宮外苑再開発(5)東京都とJSCの極秘協議(2016~2017年度)
このニュースレターはフリー記者の犬飼が「大手メディアが報じない読み応えのある検証記事」を月に4本以上(目安)配信します。皆さんの生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を、視覚的に理解できるように工夫したスライドを中心に解説しています。
サポートメンバー登録によって運営されており、利害関係に縛られず取材・検証を日々行っており、総理大臣記者会見にも出席しております。サポートメンバー登録(月額600円〜、いつでも解約可)いただくと、以下の特典を得られます。
-
100本超の有料記事を過去配信も含めて全て購読できる
-
記者会見での質問内容をリクエストできる
-
今後扱ってほしいテーマをスレッドで要望できる
サポートメンバーのおかげで私は継続しての運営が可能になり、より多くの報じられることのない事実を検証することができます。応援いただける方はぜひご登録をお願いいたします。
*ニュースレターの重点テーマ、特に反響が大きかった過去のコンテンツは「概要」を参照ください
この記事を書いた理由
-
事業者や東京都が問題だらけの神宮外苑再開発を強行できた要因の一つは、不都合な事実を徹底的に隠すことで抗議活動の活発化を遅らせ、その間に規制緩和や契約を既成事実化させたことにある
-
これを放置すれば、悪しき成功事例として他地域でも再開発と称した環境破壊に悪用されてしまう。現に都内では日比谷公園、葛西臨海水族園、小山八幡神社などで類似の手法による環境破壊が進んでいる
この記事で理解できること
-
国民には計画の全容が隠されていた2016~2017年度に事業者と東京都は水面下で着実に神宮外苑再開発を進めていたこと
-
市民からの開示請求によって不都合な情報を表に出さないため、事業者と東京都はどのような根回し(=開示請求の無効化)を行なっていたのか
-
いつ、どのような理由でラグビー場の屋根ありへの変更が有力案となったのか
-
野球場とラグビー場の入れ替えはいつまでに決まっていたのか
3つの観点(環境破壊、景観破壊、スポーツ文化破壊)で多大な被害を及ぼす上、東京都や事業者の進め方にも多くの問題を抱える神宮外苑再開発。これほど問題だらけにもかかわらず、事業者(三井不動産、伊藤忠商事、日本スポーツ振興センター、明治神宮等)や東京都が計画を強行できた要因の一つは、不都合な情報は長期間にわたって徹底的に隠し、抗議活動の活発化を遅らせたことにあります。現に、2021年12月にようやく再開発計画の詳細が発表されて以降はオンライン署名などの抗議活動が活発化しましたが、すでに規制緩和や契約は既成事実化されていたこともあり、2023年3月の工事開始を止めるには至りませんでした。
約10年にわたる水面下の動きを探るため、これまで筆者は東京都が保有する関連文書を複数回にわたって開示請求してきました。しかし、開示文書に書かれていたのは、事業者からの提案内容の追認や微修正が中心で、肝心の意思決定プロセスはほぼ皆無。
▼2012年度~2017年度の関連文書4800枚超を東京都に開示請求した結果
▼2020年3月~2021年6月に開催された会議体「公園まちづくり計画」の関連文書2000枚超を東京都に開示請求した結果
そこで筆者は2023年7月末に主要事業者の中で唯一開示請求が可能な日本スポーツ振興センター(以降「JSC」)に対して、神宮外苑再開発の全ての関連文書を開示請求。
*JSCは独立行政法人のため開示請求が可能。一方、三井不動産、伊藤忠商事等は民間企業のため開示請求は不可能
*JSCは関連文書を2014年度から年度別に保有。今回の開示請求対象は水面下で意思決定のやり取りがあったと見られる2014年度~2019年度を指定
ところが、JSCは「開示情報の精査に時間が要する」という曖昧な理由で、最終的な開示決定期限を約8ヶ月も先(2024年3月29日)に延長。開示決定は3回(2023年9月末、同年12月末、2024年3月末)に分けて順次進むことになりました。
そして、待ちに待った今年(2024年)3月28日、ついに最後の延長期限を迎え、残りの文書135件(3271枚)が一気に全て開示決定。
開示決定通知書 2024年3月28日付 P1
開示決定通知書 2024年3月28日付 P2
開示決定通知書 2024年3月28日付 P3
開示決定通知書 2024年3月28日付 P4
開示決定通知書 2024年3月28日付 P5
開示決定通知書 2024年3月28日付 P6
筆者は28450円という決して安くない開示実施手数料を追加で支払い、4月11日に遂に文書を入手しました。
開示決定通知書 2024年3月28日付 P12
領収書 2024年4月11日
第1報~4報でお伝えしてきた通り、1~2回目の開示決定分(2023年9月末、および同年12月末)は「海苔弁」と形容せざるを得ないほど黒塗りが多く、得られる情報は断片的でした。そのため出費に見合う情報が得られるのか、開示文書の中身を確認するまでは不安でしたが、その不安は良い意味で裏切られました。
というのも、今回開示された中で最も古い時期に当たる2014~2016年度の文書は、JSCに対して開示請求が行われたこと自体が初めてであり、必然的に一般公開も初めてという意外な事実が4月11日の交付時に情報公開の担当職員(総務部 総務課 荒瀬夏子係長)への確認で明らかになったのです。また、「初めての開示請求だったからこそ、3千枚を超える文書の開示決定に8ヶ月を要した」とも同職員は説明しており、8ヶ月という目を疑う延長期限にはある程度の妥当性はあったとも言えます。
とはいえ、これだけ神宮外苑再開発に注目が集まる中、人的リソースでも金銭的にも圧倒的に恵まれているはずの大手メディアが、法人文書ファイル管理簿を通じてJSCが保有を堂々と公表する関連文書を開示請求すらしていなかったことに、筆者は少なからぬ衝撃を受けました。
そして、4月11日の交付後に筆者が開示文書を精査した結果、やはり黒塗りが多いものの、すでに1万枚前後の神宮外苑再開発関連の公文書に目を通してきた筆者にとっても初めて見る文書が多数。事業者や東京都の水面下の動きはさらに鮮明に浮かび上がってきました。
第5報となる今回のニュースレターでは、3回目の開示決定(2024年3月末)で交付された文書(全135件)のうち、東京都とJSCの協議(2016~2017年度)に関する文書15件に基づいて、「水面下の動き」と「剥き出しの本音」を明らかにしていきます。
©️2024 Jun Inukai
©️2024 Jun Inukai
©️2024 Jun Inukai *詳細は本編で紹介
*完全独自のため、続きはサポートメンバー限定で公開します。一定期間経過後も無料読者には公開されません。
*サポートメンバー登録(月額600円~、解約はいつでも可)すると、今後も継続して発信予定の神宮外苑再開発を含むすべての記事をいち早く読むことができます。さらに、過去の配信分も含めて有料コンテンツが全て閲覧できます。
*ニュースレターの重点テーマ、特に反響が大きかった過去のコンテンツは「概要」を参照ください