【横浜市長選挙2021】これまでの経緯(カオス)を振り返りつつ、今後の展望を考える
ここ2年間の横浜市政を巡るカオスを振り返りつつ、今後の展望について考えます。
こんにちは。犬飼淳です。
ついに横浜市長選挙は投開票(8月22日)の前日となりました。
これまで10回にわたって、横浜市民として、ここ2年間の横浜市政の混乱をウォッチしてきた身として、各候補者に関する情報をお伝えしてきましたが今回が選挙前最後のニュースレターです。
今回は普段と少し雰囲気を変えて、ここ数日で横浜市長選挙に興味を持ったばかりの方にもご理解いただけるよう、これまでの経緯(というか、横浜市民としては恥ずかしくなるほどのカオス)や今後の展望をユルく綴りたいと思いますので、気楽に読んで頂ければと思います。
山中竹春候補について
複数の情勢報道において、立憲民主党を始めとする野党が支援する山中竹春氏が優勢のようです。
山中氏の数々の疑惑については過去に2つのニュースレターで詳しく書きました。
イソジン会見の弁明については以下リンクを参照ください。「山中氏は関与を否定した」という報道が一人歩きしてますが、実際には山中氏は狭義の定義における「解析」を否定したに過ぎず、関与自体はむしろ認めています。
パワハラ報道をフェイクニュースと断定した記事の不自然さについては以下リンクを参照ください。これも「山中氏がフェイクニュース被害にあった」という報道が一人歩きしてますが、実際はその記事は憶測や伝聞だらけで、フェイクニュースと断定するだけの根拠は皆無でした。
さらに、パワハラ報道については新たな証拠音声も公開されており、もはやパワハラは疑惑ではなく事実と書いて差し支えないでしょう。
*詳細は、郷原信郎氏のブログを参照
イソジン会見にしても、パワハラにしても、その場しのぎの稚拙な言い訳を繰り返してきた事実から明らかな通り、山中氏は野党統一候補ではありますが、残念ながら市長にふさわしい人物ではないでしょう。
人間性だけではなく政策についても、演説内容は抽象的でぎこちなく、具体的に市政について考えているとも思えません。山中氏の演説内容は以下リンクを参照ください。
それでも告示1ヶ月前からフライングして立憲民主党や共産党が組織力をフル動員して街宣活動に励んだこともあり、山中氏が優勢という事実は変わりません。このままいけば、8月22日に山中竹春市長が誕生する可能性は高いでしょう。
田中康夫候補について
立場上、私が誰を支持しているか書くのは極力控えてきましたが、最後なので書きます。
(論調を見れば、自ずと分かっていたでしょうが)私は田中康夫氏が最も市長にふさわしいと考えてきました。これから出掛ける期日前投票でも田中氏に投票するつもりです。
なんと言っても、政策の具体性や説得力が8人の候補者の中でずば抜けています。
8月14日に横浜駅西口前で行われた街頭演説55分の文字起こし(以下リンクにて3回に分けて配信)を見れば納得して頂けると思います。先ほどの山中氏の演説と比べると雲泥の差です。
田中氏の街頭演説のレベルの高さはネットや口コミで広まり、街頭演説をすれば8人の候補者の中で最も聴衆が集まる状況が投開票1週間前あたりから顕著になっていました。
<参考:私も現地参加した8月19日 センター南駅の街頭演説の様子>
選挙結果の見通しについて
しかし、田中氏が追い上げているとはいえ、やはり情勢報道に従えば田中氏が最も多くの票を集めることはかなり厳しいと思われます。
私が唯一望みをかけていたのは、有効投票総数の25%を獲得する候補者が誰も現れず、再選挙に持ち越されることでした。首長選挙の場合、有効投票総数の25%を獲得する候補者が現れない場合、14日間の異議申出期間を経て、50日以内に再選挙を実施するため、秋に予定されている衆議院選挙と同日実施となる可能性が高いです。また、再選挙では1回目選挙の上位に絞り込んで投票するわけではなく、改めて誰でも出馬(もしくは1回目選挙に出た候補者であっても出馬取りやめ)できます。
*再選挙の可能性については本日(8月21日)付で読売新聞も報じてます。
疑惑について次々と新たな証拠が出てきている山中氏が再選挙にも出馬するのは相当厳しいでしょう。むりやり出馬したとしても、立憲民主党はいよいよ推薦の取り下げを本気で検討しないといけなくなるまで追い込まれるはず。(秋の衆議院選挙と同日投開票になる可能性が高いため、国政選挙へのダメージがさらに拡大するため)
山中氏が降りれば、(立憲がまた別の候補者を立てる可能性もゼロではありませんが)野党を支持する市民の最も大きな投票先は実質的に田中氏に絞られ、当選の可能性は大きく上がると予想されます。
しかし、8人の候補者が乱立したとは言え、情勢報道に従えば一部の候補者に票が固まってきており、再選挙に持ち込む可能性もかなり厳しくなったと言わざるを得ません。
山中新市長が誕生した場合
情勢報道で山中氏に次ぐ位置にいる小此木八郎氏当選の可能性もありますが、バックにつく菅義偉総理や自民党政権への不満や反発は横浜でも大きく、やはり8月22日に山中竹春市長が誕生する可能性はかなり高いでしょう。
ところで、私は告示前日の8月7日に立憲民主党が主催した、山中氏の街頭演説をセンター南駅で聞きました。
<参考:当日の様子>
そこで応援演説に駆けつけた小川淳也議員は、おそらく数々の疑惑を意識して、最後に山中氏に次のようなお願いを語りかけています。以下、発言をそのまま引用します。
「最後に、この場をお借りして、山中さんにどうしてもお願いしたいことがあります。選挙に出るということは、どんな批判も一身に受けることを覚悟する。そういうことでもあります。そして、それは一つ一つ決して無視してはいけない。その中にも必ず真理があり、必ず見つめるべき真実がある。もちろん、身に覚えのないこと、これは断固否定すべきだ。否定してもらわないと困る。しかし、心当たりのあることがもしあったら、私はそれは市長になられた後も、きちんと認め、謝罪をし、反省し、今までの政治家で見たことがないような誠実性を山中さんには示してもらいたい。こう思ってます。」
そして、当日の動画の35分3秒~を見ればわかる通り、小川議員の左脇で話を聞いていた山中氏は、首を垂れながら何度も頷いています。
私が山中氏に言いたいことは、ただ一つ。
山中さん、その約束を果たしてください。
本来であれば、新市長は課題山積みの横浜市政にすぐに取り掛かる必要があります。
しかし、山中氏の場合は違います。
まず、ご自分の疑惑(というか事実)について、説明する責任があります。
そして、その事実が市長に相応しくない内容であれば、早々に辞職に追い込まれる可能性もあるでしょう。野党統一候補が横浜市政に不必要な混乱とコストをもたらしたという事実だけを残して。
・・・・ちなみに、山中陣営はパワハラ音声の新証拠に関する質問を避けるためか、選挙活動最終日にもかかわらず8月21日の演説場所を告知しないという驚きの行動に出ました。就任前から説明責任から逃げる姿勢を鮮明にしています。
秋の国政選挙に向けて
余談ですが、秋の国政選挙についても書きます。
今回の横浜市長選挙で、問題だらけの候補の推薦を最後まで撤回しなかった立憲民主党に失望した横浜市民は多いと思います。
そもそも2年前に始まったカジノ誘致の反対運動をめぐっても、住民投票は市議会で否決されることが明らか(横浜市会はカジノ推進派の自公が過半数を占めるため)にもかかわらず、市長リコール運動(市議会の議決を必要としない)とわざわざ同じ時期に立憲民主党や共産党は署名集めを実施。
<参考:住民投票に没頭した国会議員たち>
リコールの署名集めも今月から始まっている中、市民が混同するリスクの方が大きいのでは?
「カジノ署名活動」とは書いても、住民投票なのかリコールなのか本文に明記しないあたりにこの議員の姑息さがよくあらわれている。
結果、誰もが予想した通りに2021年1月に市議会であっさり否決。そうした野党のパフォーマンスとしか思えない不誠実な行動に怒りや不信感を抱く横浜市民は私を含めて大勢いました。
✴︎住民投票が否決された流れについては、下記のニュースレターを参照
ここ2年間の横浜市では、立憲民主党や共産党ですらも、市民の利益よりも政党の利益を優先する行動を続けてきたという火種が今回の横浜市長選挙で一気に爆発したようにも思います。
とはいえ、秋の国政選挙に目を向けると、私は話は別だと割り切っています。
「少しでもマシな方を選ぶ」という考え方に従えば、自公政権の無茶苦茶ぶりはもはや常軌を逸しており、立憲民主党や共産党に感じる不信感や違和感の比ではありません。
2年前から横浜市政において、立憲民主党や共産党には散々裏切られてきたという思いが強いですが、それでも私はこの秋に野党による政権交代を望んでいるし、そのための投票行動を行います。
(さすがに立憲民主党に投票することは今後は一切無くなるとは思いますが・・・)
2021年8月21日 犬飼淳
P.S.
これにて、11回にわたってお届けしてきた横浜市長選挙前のニュースレターはいったん終了します。
横浜市民でもある私にとって首長選挙は命に関わるため、例外的に登録者以外にも全ての内容を公開してきましたが、今後は登録者に限定して公開する形に戻します。今後も私のニュースレターを読みたいと思って頂ける方は、以下の「無料購読」ボタンからメールアドレスを登録してください。登録は無料で、いつでも解約できます。
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