【独自】筋違いの主張で反論記事掲載を要求する保坂 世田谷区長
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この記事を書いた理由
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いわゆる「リベラル」「良識派」とされる人物であっても、全てにおいて完璧な人物など存在しない
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とはいえ、一般的にはイメージが良いからとって批判をためらってしまうと、本人の増長すらも招く恐れがある。その人物が政治家であれば、不利益は有権者が被ることになる(正しい投票行動をとれなくなるため)
*保坂氏と直接的関係はありませんが、昨今の立憲民主党(の一部議員)のあからさまな変節を見れば、言いたいことは伝わるのではないでしょうか
この記事で理解できること
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保坂展人 世田谷区長は自らを批判する記事に対して、筋違いな主張で出版社に反論記事掲載を要求する人物であること
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自ら出版社に検討を要求したにもかかわらず、旗色が悪いと分かるや「一切反応しない」ことで切り抜けようとする人物でもあること
*ただし、保坂氏のこれまでの功績を否定するものでは全くありません
これまで3回にわたって お伝えしてきた世田谷区長記者会見におけるフリー記者排除の問題について、意外な新展開がありました。
昨年12月10日に筆者は上記3本のニュースレターを再整理する形で集英社オンラインに掲載。 *これ以降、「当該記事」と表記
その後、当事者の保坂展人 世田谷区長は「一方的な記述がある」と主張して、自らの反論記事の掲載を集英社に打診してきたのです。
しかし、保坂区長の主張を確認したところ、そのほぼ全てが「論点のすり替え」や「記事に記載すらしていない内容への反論」。通常は反論記事の掲載まで打診するならば相応の根拠があるはずですが、率直に言って筆者が拍子抜けしてしまうほど全体を通して筋違いな内容でした。当然ながら集英社オンライン編集部も同様の判断を下し、反論記事掲載は丁重にお断りしました。
今回の一件は今後も政治活動に意欲を見せる保坂展人氏の評価に関わる判断材料を多く含むため、詳細をあえて公開します。
主な出来事の時系列
2022年12月10日(土)
・集英社オンラインで当該記事が公開
12月12日(月)
・保坂区長の指示を受けた世田谷区 広報広聴課 中西明子課長(以降、基本的に「世田谷区 担当者」と記載)が集英社の問い合わせフォームを通して、当該記事について「一方的な記述があり、反論機会をいただけないか」と問い合わせ。
*問い合わせ全文は末尾の参考情報を参照
・問い合わせを受けて、集英社オンライン担当者から世田谷区 担当者へ「一方的な記述とは具体的に何を指すのか」をメールで確認。
*メール全文は末尾の参考情報を参照
12月13日(火)
・世田谷区 担当者が保坂区長による反論文書(以降、「反論文書」と記載)を集英社オンライン担当者へメールで送付。大きく5つの論点で当該記事は「一方的な記述」があると主張し、保坂区長による反論記事の掲載を打診。
*前日の集英社オンラインからのメールはCcに筆者(犬飼)を含めていたが、世田谷区はあえてCcから犬飼を外して返信
*反論文書の実物は後述
・集英社オンライン担当者を通して反論文書の内容を確認した筆者(犬飼)は、保坂区長の主張はことごとく筋違いであり、反論記事の掲載要求に応じる妥当性が無いことを論点ごとに集英社オンライン担当者に説明。ただし、それでも保坂区長が反論を望むのであれば、保坂区長が筆者(犬飼)に対面で反論する場を設けることは構わないと集英社オンライン担当者に伝え、集英社としての判断を待つことになる。
12月14日(水)
・前日の打診から丸一日が経過しても返答がないという理由で、世田谷区担当者が集英社オンライン担当者へ再びメールして、返答を催促。
12月15日(木)
・集英社も「保坂区長の主張に妥当性が無い」という結論に至ったため、集英社オンライン担当者から世田谷区 担当者へ「一方的な記述ではないと判断したため反論記事掲載は断る」旨をメールで連絡。合わせて、保坂区長が筆者(犬飼)に対面で反論する場を設けることも条件付きで提案
*メール全文は末尾の参考情報を参照 *提示した条件は後述の「まとめ」参照
・しかし、これ以降は世田谷区から集英社に対する一切の連絡が途絶える
*世田谷区は自らの反論記事掲載打診については1日経過しただけで集英社に回答を催促したにもかかわらず、その回答に対しては一言の返信すらしないまま1ヶ月以上も放置し続けている
2023年1月17日(火)
・反論文書の妥当性を詳しく確認するため、筆者(犬飼)が昨年12月14日の段階で世田谷区に開示請求した文書がようやく開示される。保坂区長の主張に妥当性が無いことを改めて裏付ける結果となった。
*開示請求結果は後述
*通常は請求から15日以内で開示となるが、1回の延長決定を挟んだため約1ヶ月を要した
・筆者(犬飼)は開示文書を受け取るために世田谷区役所を訪問。その際、抗議を申し入れた世田谷区担当者(広報広聴課 中西課長)の部署と開示請求窓口が偶然にも同一フロアの目と鼻の先に位置することに気付いたため、文書の受け取り後、抗議を申し入れた本人(中西課長)に一言挨拶しようと声をかける。しかし、中西課長は「アポなしで来られても困る」等の理由で会話すらも拒む姿勢を見せ、「集英社からの回答に返答すらなかったが、抗議は終了したのか?」と問いかけると、「あの件は犬飼さんとやり取りしている話ではないので話すことは何もない」と一言だけ告げて、足早に立ち去ってしまう
*中西課長は前月の集英社とのメールのやり取りでも丁寧に犬飼だけはCcから抜いて返信。犬飼の署名記事に抗議しているにもかかわらず、犬飼とのやり取りは避けるという矛盾した行動を続けている。

筆者が参加した2022年11月21日 世田谷区長記者会見の様子(撮影:犬飼淳)。左側が保坂区長、右側が集英社に連絡を入れた広報広聴課 中西明子課長(同会見で司会も務める)
これ以降の本編の目次
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保坂区長の反論文書 実物
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反論文書に対する筆者見解
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まとめ(保坂展人氏の実像)
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参考情報(メール原文)
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参考情報(開示請求結果)
*世田谷区長選挙(2023年4月16日告示、4月23日投開票)の期間中は無料読者にも公開しましたが、これまでの経緯(保坂区長の根拠を伴わない過剰反応)を考慮して、選挙後に公開範囲を元に戻しました