【独自】ESAT-J自画自賛本が掘った新たな墓穴
*深刻さを踏まえ、冒頭の経緯は誰でも読めるように公開します
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この記事を書いた理由
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英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高入試 合否判定への活用は、入試の公平性を破壊するほど多くの問題を抱えている
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しかし、東京都の公式発表であればたとえ不正確でも垂れ流す都庁記者クラブの弊害によって、その実態は未だに広く伝わっていない
この記事で理解できること
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開示文書60枚で明らかになったESAT-Jをめぐる新たな不審点の数々
英語スピーキングテスト(以降「ESAT-J」)は都立校入試の公平性を粉々に破壊しただけでなく、もはや中学生への人権侵害の域に達している問題は2年半以上にわたって繰り返しお伝えしてきました。
*ESAT-Jの前提知識が無い場合、theletter「高校入試の「公平性」を破壊するESAT-J 問題の全体像」(2022年11月30日)を適宜参照ください。同記事は1年目の状況に基づいていますが、4年目を迎えた現在も大半の問題は放置されたまま
この欠陥テストを都議会で強硬に進めたのが自民、公明、都民ファースト。小池百合子都知事の肝入り政策ということもあり、その中でも都民ファーストの議会での振る舞いはもはや常軌を逸していました。
*上記動画はほんの一例。都民ファースト都議が質問者の声が聞こえないほどの大声でのべ7時間以上にわたってESAT-Jの問題点を追及する質疑を妨害し続けた上、委員長の都民ファースト都議も妨害を黙認
現在選挙期間中の都議選(6月13日告示、同22日投開票)では、これら3党(自民、公明、都ファ)の議員を少しでも減らすことが、この問題の改善に大きな意味を持つことは明白です。
*他の政党・会派も含めた本問題に対する候補者の認識は、市民団体実施のアンケート結果(6月11日公表)参照
そして、公務員の立場でこの欠陥テストを強硬に進めたのが東京都教育委員会(以降「都教委」)。その中でも、本件の主管部門であるグローバル人材育成部の部長を2023年度まで務め、2024年度からは教育監(教育長、次長に次ぐ幹部クラス)に出世を果たした瀧沢佳宏氏は、本件の議会対応でほとんどの答弁を担当した事実からも明らかな通り、一連の入試破壊の主犯格に当たる存在です。
その瀧沢佳宏氏が今年(2025年)4月末にESAT-Jについて書籍(以降「当該書籍」)を出版。ついに良心の呵責に耐えかねて自らの悪事を懺悔するのかと思いきや、なんとタイトルは「スピーキング・テストはなぜ、東京都の生徒の英語力を向上させているのか?」。さらに、公式の紹介文には目を疑う内容が堂々と書かれています。
近年、中高生の英語力を伸ばしている東京都。その背景には一体何があるのか。(中略)東京都は、国や道府県に先駆けて「スピーキング・テスト(=ESAT-J)」を導入している。今やらなければ、日本の英語教育はさらに10年遅れてしまうとの危機感を共有した多くの関係者が、長期に亘り真摯に検討し実現したスピーキング・テスト。導入を機に東京都の中高生の英語力はグングン伸びているが、その背景には何があるのか? そもそも外国語の習得とはどういうことなのか? ESAT-J実現のカギを握った東京都教育監がその実情を明らかにする。
しかし、これまで2年半にわたってお伝えしてきた通り、そもそも英語力向上に繋がらない欠陥テストに数百億円規模の税金を浪費したために、英語に限らず学力向上に直結する施策(教員の待遇改善、少人数学級など)が後回しにされたのがESAT-Jの実態。率直に言って、当該書籍は実態を完全無視してESAT-Jを自画自賛してきた都教委の姿勢の延長線上にあると見做せます。
この書籍出版を知った時、筆者の脳裏には別の不安もよぎりました。ESAT-Jに関する不当な不開示決定の取消を求めて筆者が都教委を訴えた訴訟を通して、瀧沢佳宏氏は都議会で軽率な嘘を重ねていたことが次々と露呈。最も象徴的だったのは、音漏れで後半組が有利になった疑念を払拭するために前半組の平均点を高く見せるように議会答弁を通じて改ざん。しかし、その手口が杜撰すぎたため、最終的に都教委は法廷で「事業者のベネッセは平均点変更を電話のみで伝えたため、平均点変更を示す文書やデータは一切存在しない」というあり得ない主張を押し通す羽目に。本来は長年にわたってESAT-Jを運営するはずだったベネッセが僅か2年で撤退したのは、こうした稚拙な不手際の責任を全て押し付ける都教委に愛想を尽かしたからと見られます。
*平均点改ざんの詳細はtheLetter「【独自】東京都担当職員が初めて明かしたESAT-J平均点改ざん疑惑の認識」(2023年9月8日)、訴訟での主張はtheLetter「【訴訟報告】ESAT-J不開示決定の処分取消(5)「平均点変更は電話確認なので文書は無い」?」(2024年3月5日)参照
今回の書籍出版でも瀧沢佳宏氏および都教委は自ら墓穴を掘るほど稚拙な不手際をやらかしているのでは? という不安と期待を込めて開示請求した結果、やはり新たな不審点が次々と露呈。今回のニュースレターでは、その開示請求結果の一部を取り急ぎお伝えします。
本編の目次
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開示請求の概要
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都教委は関与したのか
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兼業届は事前に出されたのか
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不自然な出勤簿
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