役人の隠蔽(8)異次元の無法地帯、横浜市役所

役人がありえない理由で開示請求を無効化した実例を通して、情報隠蔽の手口を紹介するシリーズ。第8回は、他の行政機関とは一線を画した不真面目な対応を繰り返す横浜市役所を多数の実例に基づいて紹介
犬飼淳 2024.02.02
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この記事を書いた理由

  • 行政文書の開示請求は、国民の「知る権利」を守る重要な手段である。行政機関(官公庁、自治体 等)の情報公開の透明性が落ちた昨今、その重要性は一段と増している

  • しかし、あり得ない理由で開示請求を妨害する事例が後を絶たず、役人にとって不都合な情報は容易に隠蔽されている

この記事で理解できること

  • 横浜市役所の情報公開に対する不真面目さはこれまで7回にわたって紹介してきた他の行政機関とは一線を画すこと

  • その不真面目さを証明する具体例5点

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「役人の隠蔽」に焦点を当てたシリーズ企画の第8回として、満を持して横浜市役所を取り上げます。実は、この企画を立ち上げた時に念頭にあったのは横浜市役所でした。ただ、同市役所の情報公開に対する不真面目さはあまりにも異次元で他事例が霞んでしまうため、終盤に取り上げざるを得なかった事情があります。

これまで継続的に伝えてきた通り、横浜市役所の職員は不正し放題、隠蔽し放題。まさに「無法地帯」と呼ぶに相応しい状況です。筆者はこれまで70件超の開示請求を通して10以上の行政機関の職員と直接やり取りしてきたわけですが、ここまでタガが外れているのは横浜市役所が唯一です。

*筆者が直接やり取りした行政機関の具体例。自治体:石川県、神奈川県、新宿区、世田谷区、東京都 中央官庁:経産省、厚労省、国税庁、国交省、財務省、中小企業庁、内閣官房、内閣府、文科省

強いて言えば、英語スピーキングテスト(ESAT-J)に関する東京都教育庁の対応は横浜市役所と丙丁つけがたいレベルと感じていますが、あくまでも都庁全体の中で一部門に過ぎない教育庁に限った話です。現に、神宮外苑再開発などで他部署(都市整備局等)とやり取りした際は、至って常識的な対応を受けています。ところが、横浜市役所の場合は全ての部署で倫理観の底が抜け、まともな部署を未だに一つも見つけられません。ESAT-Jに関心がある方に向けて説明すると、「役所全体が都教委レベル」と言えば、横浜市役所の異常性が伝わるでしょうか。

横浜市役所の職員と直接やり取りした経験が無い場合、大袈裟に感じる方がいらっしゃるかもしれないので事例のごく一部を以下に紹介します。

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電通癒着

本業である中期計画策定を外部業者に丸投げした上、業者選定過程で電通1社しか応募できないように仕組んで露骨に癒着。市長・副市長が癒着に直接関与した証拠が行政文書という証拠能力の高い形で多数存在する事実を示しても、市長本人は問題ない」の一点張り で調査すら拒否 

教師いじめ隠蔽

1年以上にわたって教育委員会が組織的に教師いじめを隠蔽。被害者の証言に基づいて隠蔽の実態を具体的に指摘しても、教育委員会および市長は新たな嘘をついてまで責任を回避し、問題を泥沼化させる

過剰発注

市長記者会見の映像配信業務委託を実態の約2倍の回数で4年間も過剰発注。同会見で証拠(行政文書)に基づいて問題を指摘すると、過剰発注を承認した張本人の司会者(報道課職員)が質疑妨害 

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まさに「無法地帯」と呼ぶに相応しい惨状です。さらに、本来はこうした問題を追及すべき記者クラブ(横浜市政記者会)そのものが長年にわたって横浜市役所と露骨に癒着してきた背景もあり、実態が報道されることもありません。直近の約半年で以下2件の特大級の不祥事が立て続けに発覚したのは、決して偶然ではなく必然だったと言えます。

レシ活ポイント失効

約100億円の公金を投入した「レシ活」事業で不公正な契約を繰り返した末、事業者WEDが違法なポイント失効で4億円超の被害を市民に与える。さらに、会計検査院からの通告を横浜市が把握していなかったという耳を疑うほど杜撰な理由で、同事業の財源に予定していた「コロナ臨時交付金」を充てられない可能性が発生。つまり、ポイント失効で市民に4億円超の被害を与えた上、約100億円の事業費そのものを横浜市の税金で穴埋めしなくてはならない恐れがある。

学校給食タバコ混入の隠蔽

中学校給食のデリバリー弁当の「粉ふき芋」にタバコの吸い殻が混入。教育委員会は表向きは粉ふき芋の「提供を中止」したと発表しておきながら、実際は注意喚起の連絡をしただけで提供は中止していなかった上、タバコ吸い殻混入という重大な事実を中学校にすら隠蔽したため、異物が混入した恐れのある弁当を中学生が食べてしまった事例が複数報告。さらに、原因不明のまま僅か8日で調査を終了させて事業者の責任は一切問わず、弁償(保護者へのポイント返還 約700万円)は全て市民の税金から穴埋め。

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自治体としては巨大すぎる(政令指定都市ダントツの人口377万人)ことを背景にもともと不正が横行していたことに加えて、2021年8月に市政に徹底的に無関心・無責任な市長が誕生したことで、事態は悪化の一途を辿っています。

さらに、「国政選挙直前に野党共闘の候補者が勝利して、現職総理を退陣に追い込んだ」という都合の良い一面だけを切り取って横浜市長選挙を美化した歴史修正映画をテレビ朝日が2023年5月に公開。多数の著名人も歴史修正に加担したことで、「市長選を機に市民の力で民主主義を実現した」という虚像が全国に拡散されてしまいました。結果、「脱法的な選挙で当選を掠め取った挙句に横浜市政の無法地帯ぶりを悪化させた」という実態が横浜市外に正しく伝わらない歪な状況を生み出しています。

*歴史修正映画の詳細は2023年5月8日に配信済みの以下ニュースレター参照

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前置きが長くなりましたが今回のニュースレターでは、悪化の一途を辿る横浜市役所の無法地帯ぶりを自らの開示請求での実例に基づいて紹介していきます。他の行政機関では決して起こらないほどデタラメな対応が横浜市役所では常態化し、不正・隠蔽が職員のDNAとして根付いてしまっている現状が伝わるかと思います。

本編の目次

  • 決定期限を密かに破る反則で時間稼ぎ

  • 後出しジャンケンで時間稼ぎ

  • 決定期限を堂々と破る反則で時間稼ぎ

  • 無関係な規則を持ち出して時間稼ぎ 

  • 制度改悪で開示請求そのものを妨害

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