【独自】月2回の市長会見を月4回の見積で4年間も過剰発注する横浜市
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この記事を書いた理由
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横浜市役所は自治体としては巨大過ぎることを背景に、他の自治体では起こり得ない杜撰な業務(口頭決裁を理由に決裁文書は存在しないと言い張る、等)がもともと横行しており、2019年のカジノ誘致表明の頃からその異常性に拍車がかかっていた
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さらに、2021年夏に市政に徹底的に無関心な市長が就任したことで、職員による不正・隠蔽は悪化の一途を辿っている
この記事で理解できること
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横浜市長記者会見の映像配信業務委託の内容がいかに実態とズレていたか
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同業務を発注した横浜市 報道課の予算管理の感覚がいかに杜撰であったか
不正・隠蔽が常態化した横浜市役所の異常性について、これまでも度々指摘してきました。
<異常性を示す例のごく一部>
▼「イカサマ」と表現して差し支えない方法で学級閉鎖基準を根拠なく変更し、学校の感染リスクを引き上げる
▼市の本業である中期計画策定を電通に業務委託した上、癒着が疑われるほど不公正な随意契約を繰り返す。その事実を横浜市が開示した行政文書が証明しているにもかかわらず、市役所全体が一丸となって「調査」ではなく「隠蔽」に注力する
今回は新たに、市長記者会見インターネット映像配信の業務委託をめぐって報道課の杜撰な予算管理が露呈した実態を公表します。
横浜市ウェブサイトで公開されている「市長記者会見 インターネット中継」の映像。この映像配信の業務委託が今回の焦点
まず、横浜市長記者会見の実施回数は数年前と比較して劇的に減少しています。
©️2023 Jun Inukai
具体的には、林文子市長時代の2018年度までは月3回(年36回)~月4回(年48回)の頻度で実施していたものの、2019年度(8月にカジノ誘致を発表して林市長への批判が高まった年)から頻度が落ち、2020年度以降は月2回(年24回)程度まで低下していました。
*2020年度はちょうど月2回に当たる年間24回だが、林市長の2度の入院で1月~2月前半にかけて会見の実施回数が0回だったことを考慮すれば、実質的には月2回をぎりぎり上回っていた
そして、2021年8月に山中竹春市長に交代して以降は一貫して、ピッタリと月2回(年24回)を維持し続けています。ところが、同会見の映像配信の業務委託では、奇妙なことが起きていました。同業務委託では4月〜翌年3月までの1年分を毎年3月頃に発注しているのですが、横浜市側が見積根拠として提示した実施回数は月4回(年47回もしくは48回)のままだったのです。
開示文書 「「令和5年度横浜市長会見インターネット映像配信業務委託」に関する契約の締結について」(2023年3月13日起案) P6 内訳書 *山中市長就任から約1年半が経過して月2回ペースの固定化は明らかな時期に起案 *回数に応じて支払われる「生中継配信作業」と「録画中継編集・配信作業」は概算数量48回(=月4回ペース)で金額を算出
つまり、横浜市 報道課は2020年度以降、実態より約2倍も多い実施回数の見積による過剰発注を4年連続で続けていたのです。
©️2023 Jun Inukai
ただし、概算契約のため支出記録も確認した結果、四半期ごとの支払時は実際の実施回数に応じた金額が支払われていました。つまり、水増しした金額を業者に支払い、差額(いわゆる裏金)をキックバックとして報道課職員が不当に受け取るというような露骨な犯罪が発覚したわけでは(現時点では)ありません。とはいえ、表向きには「税収が足りないので予算を切り詰める必要がある」と市民に説明し、予算管理の精度を向上させる必要性が高いはずの横浜市役所において、報道課は実際の2倍以上の回数で毎年の予算を過剰に確保し続けたのです。こうした予算管理の杜撰さは大きな問題です。また、入札記録を確認した結果、談合の典型的特徴も見つかりました。
今回のニュースレターでは、「5ヶ月を要した計2回の開示請求」と「報道課職員への個別確認」に基づいて明らかになった、横浜市 報道課の業務委託契約および予算管理の杜撰すぎる実態を公表します。
本編の目次
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山中市長就任で月2回開催が固定化した後も、月4回の過剰発注が続く
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実際の約2倍の回数で契約を続ける報道課職員の言い分
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見込み値には「年40回」という矛盾した記述
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支払時の金額も水増しされていたのか
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決算時に差額は適切に処理されたのか
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入札記録に残された、談合の典型的特徴
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今回の過剰発注が氷山の一角である理由
左:自らの就任後に市長記者会見の開催頻度が月2回で固定化している山中竹春市長、右:月2回の同会見で司会を務めながら月4回の見積にもとづく過剰発注を承認し続けた矢野虎鉄 報道課長 (撮影 犬飼淳 2023年6月7日 同会見)
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