【訴訟報告】ESAT-J不開示決定の処分取消(3)東京都の初反論
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この記事を書いた理由
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行政文書の開示請求は、国民の「知る権利」を守る重要な手段である。行政機関(官公庁、自治体 等)の情報公開の透明性が落ちた昨今、その重要性は一段と増している。しかし、不当な理由で不開示や黒塗りになる事例が後を絶たず、役人にとって不都合な情報は容易に隠蔽されている
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不開示決定を覆す手段は「審査請求」と「処分取消訴訟」の2つがあるが、いずれも一般市民には敷居が高いため断念してしまう場合が多く、その知見は十分に共有されていない
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本人訴訟(弁護士を立てずに原告自ら訴訟を進める方法)の知見も同様に十分に共有されていない
この記事でわかること
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これまで「時間稼ぎ」と「説明から逃げること」で隠蔽を続けてきた被告(東京都)が、提訴4ヶ月後にようやく提出した初めての反論内容
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訴状、双方の第1準備書面が揃ったことで固まりつつある本訴訟の情勢
英語スピーキングテスト(ESAT-J)の「平均点改ざん疑惑」と「不受験者の得点推定」に関する不当な不開示決定3件に対して、自らが原告として「本人訴訟」で東京都教育委員会を訴えた処分取消訴訟の経過をお伝えします。
*「平均点改ざん疑惑」と「不受験者の得点推定」のそれぞれの経緯は、以下2本のニュースレターの冒頭部分を参照
以下の通り少しずつではありますが、訴訟は着実に進んでいます。
時系列
2023年6月14日:取消処分訴訟 提起
*原告(筆者)が訴状、書証等を東京地裁に提出
同年9月14日:第1回期日(口頭弁論)
*被告(東京都)は反論が間に合わなかったため、訴状の基本的確認のみで終了
同年10月24日:第2回期日(口頭弁論)
*被告(東京都)が期日6日前(10月18日)に初めての反論(準備書面)を提出。原告(筆者)は再反論(準備書面)を2日後(10月20日)に提出した状態で期日を迎える
最大の進展は、被告(東京都)がようやく初めての反論を提出したこと。ただ、その主張は想像以上に荒唐無稽で、度肝を抜かれる内容ばかりでした。以下、ほんの一部の例として3点紹介します。
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録音ミスで採点修正した8名の受験回を「把握していない」と主張
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「平均点は事業者(ベネッセ)が算出し、受け取った紙資料には小数点第2位までしか記載されていない」と主張。(=ゆえに原告が開示を求める「小数点第3位を明らかにした平均点」を被告は公文書として保有していないという主張)
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「受験者が7万人超である事実を踏まえれば、ESAT-Jの平均点は手計算ではなくExcel等で電子的に算出したことは明らかである」を否認。(=約7万人の平均点を紙と手計算で算出したと主張?)
*概要は筆者ツイート参照
実は、同時並行で進んでいる審査請求でも東京都は筆者の主張の大半を根拠を示さずに否認するだけだったので、訴訟でもまともな反論は返ってこないだろうと予想していました。ただ、訴訟ではそれなりに具体性が求められることもあり、予想に反して被告(東京都)は審査請求よりは具体的な否認根拠を複数挙げました。ところが、それらはどう考えてもあり得ない荒唐無稽な主張ばかり。さらに、自らの主張の矛盾を自ら立証する書証を提出するなど理解に苦しむ対応も散見されます。
これまで「時間稼ぎ」と「説明から逃げること」と「虚偽説明」が許される閉鎖的な世界であぐらをかいてきた組織が説明せざるを得ない状況に追い込まれると何が起きるのか。それをまざまざと見せつけられているように感じます。率直に言って、被告(東京都)は説明すればするほど自らボロを出す泥沼にはまっているようにしか見えません。
とは言え、これで一般的には訴訟の情勢を事実上決定付けると言われている以下3点の書面がようやく揃いました。
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訴状
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被告 第1準備書面(訴状に対する被告の反論)
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原告 第1準備書面(被告第1準備書面に対する原告の再反論)
*これ以降の期日でも双方は準備書面を提出するが、裁判官は大量の資料を読み込む必要があるため、これら3点は特に重要と一般的に言われている
今回のニュースレターでは、「上記3点の書面 全文」と「特に重要な書証」を掲載しながら本訴訟の情勢を詳しくお伝えします。
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