【独自】東京都担当職員が初めて明かしたESAT-J最大の問題「不受験者 得点推定」の認識

都立高入試に活用した英語スピーキングテスト(ESAT-J)最大の問題、不受験者の得点推定。開示請求の文書交付(2023年10月4日)を通して、担当職員の認識を初めて確認できた結果をリポートします。
犬飼淳 2023.10.13
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この記事を書いた理由

  • 英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高入試 合否判定への活用は、入試の公平性を破壊するほど多くの問題を抱えている

  • 特に「不受験者の得点推定」は本人の試験結果をもとに合否判定する入試の大原則から完全に逸脱し、本来は合格なのに不合格に転落した受験生が相当数いた恐れが高い

  • このESAT-J最大の問題に対して、東京都はひたすら「時間稼ぎ」と「説明から逃げる」ことで今も隠蔽を続けている

この記事で理解できること

  • 8ヶ月弱も説明から逃げ続けた東京都職員の認識

  • 都立高校 全186校で複雑怪奇な不受験者の得点推定は一律に運用されたのか

  • いつも「席外し」の不受験者 得点推定の担当者はいったい誰なのか

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2023年度都立高校入試の合否判定に活用されたESAT-Jをめぐって、入試の公平性や公共事業の透明性の観点で重大な問題が多々あったことは1年近くにわたって繰り返しお伝えしてきました。

その中で最も深刻な問題は、「不受験者の得点推定」を原因とする「逆転現象」。入試と異なる位置付け(都内の公立中学校在籍者向け)の試験を無理やり都立高入試に活用したため必ず存在する「不受験者」(国私立中学在籍で都立高校志望 等)に対して、東京都は赤の他人(志望校が同じ受験生で英語学力検査の得点が近い者)の得点をもとに不受験者の得点を推定するという信じ難い手法を採用。「本人の試験結果をもとに合否を判定する」という入試の大原則から完全に逸脱しているのです。

©️2023 Jun Inukai

©️2023 Jun Inukai

さらに、得点推定パターンが複雑すぎるため、都立高校 全186校で一律に運用して公平に得点算出できるのか不安視されていました。

©️2023 Jun Inukai

©️2023 Jun Inukai

*不受験者の得点推定によって発生する逆転現象の詳細は、theLetter「高得点が原因で不合格!高校入試が運任せのギャンブルと化すESAT-J「逆転現象」のカラクリ」(2023年1月27日)を適宜参照ください

その不安が的中するかのように、2023年1月下旬~2月上旬に保護者の会が複数の都立高校に電話確認した結果、入試(同年2月21日)を目前に控えたタイミングにもかかわらず、各校の認識はバラバラであることが判明。

*実際に電話確認した保護者の会による説明は上記映像(2023年2月20日記者会見)の5分50秒~13分25秒で視聴可

事態の深刻さを踏まえて、筆者は問題発覚直後の2月23日(同会見3日後)、 不受験者の得点推定に関して東京都教育委員会が都立高校に示した一切の記録を皮切りに計3回にわたって開示請求。

しかし、これ以降、東京都はありとあらゆる手段を使って、ひらすら「時間稼ぎ」と「説明から逃げる」ことに没頭。

(例)あらゆる開示請求を「多忙」等の曖昧な理由で決定期限を60日に延長、開示請求内容(ソフトウェア、マニュアル・手順書)の存否の記載が漏れる、開示文書の交付時に担当部門(都立学校教育部)をあえて同席させない、審査請求および取消訴訟に踏み切ると「今は訴訟で係争中だから」という理由で一切のコメントを拒否する 等

そんな中、追加の開示請求(7月24日に開示請求したNo3)に対して文書1件の開示が決定。これまでの経緯を踏まえて、不受験者の得点推定の担当部門(都立学校教育部 高等学校教育課)は必ず同席するように調整した結果、ついに担当部門の職員と正式にアポをとった上で会うことが初めて実現しました。不受験者の得点推定に関連して筆者がコンタクトを開始してから、実に8ヶ月弱を要したことになります。

*ESAT-J関連の東京都の記者会見は、事前に察知して自ら東京都に問い合わせても「レクであって会見ではない」等の理屈で東京都は参加を実質的に拒むため、参加できるのは都庁記者クラブのみ。詳細はtheletter「たった23日で証拠メールを廃棄する東京都」(2023年3月20日)参照

そして迎えた交付当日(2023年10月4日)、フリー犬飼がアポの時間(16時)に都庁を訪問すると、東京都教育庁は職員2名が対応。

  • 都立学校教育部 高等学校教育課 嶋田祐士氏 *ESAT-J 不受験者の得点推定 担当部門

  • 総務部 総務課 藤原聖氏 *開示請求の窓口部門

2023年10月4日、都庁での交付時の様子。左から藤原聖氏、嶋田祐士氏。アクリル版に反射するのが交付を受ける筆者

2023年10月4日、都庁での交付時の様子。左から藤原聖氏、嶋田祐士氏。アクリル版に反射するのが交付を受ける筆者

当日は開示文書1点(契約書)の基本的確認に加えて、ようやく存在を認めたものの不可解な理由で不開示決定になった文書3点(システムマニュアル、研修会資料、手順書)についても筆者は確認。しかし、取消訴訟で係争中であることを理由に都職員は大半の問題についてコメント自体を拒否。残念ながら、新たに分かったことはごく僅かです。しかしながら、明らかに訴訟に無関係な超基本的な内容すらもロボットのようにコメントを拒否続ける姿勢を通して、とにかく「時間稼ぎ」と「説明から逃げる」ことに徹する東京都の異常性がさらに浮き彫りになったと言えます。

今回のニュースレターでは、約30分にわたった交付時のやり取りを詳細にリポートします。また、同時並行で進めている処分訴訟の最新状況もお伝えします。

本編の目次

  • 担当者の同席を拒否し続けた経緯

  • 一部開示した「契約書」の意味不明な黒塗り理由

  • 不開示決定した文書3点の意味不明な不開示理由

  • 不受験者の得点推定の担当者は誰なのか

  • 約4万人の合否判定に疑義を生じさせた責任

  • 参考:自ら原告として東京都を提訴した関連訴訟の予定

  • 参考:開示文書「契約書」全30枚

*今回は完全独自の取材に基づいており、続きはサポートメンバー限定で公開します。一定期間経過後も無料読者には公開されません。

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