【参院選2022】新聞1面見出しの与野党 報道割合から読み解く中立性(後編)

朝日新聞・毎日新聞の1面の見出しに着目して、参院選2022における与野党の報道割合を2回にわたって検証する企画の後編をお届けします。
犬飼淳 2022.07.10
誰でも

このニュースレターでは、国政、地方行政、メディア報道などを客観的事実に基づいて検証しています。以下のボタンから登録すると、次回以降のニュースレターを逃さずチェックできます。

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こんにちは。犬飼淳です。

2022年7月10日、ついに参議院選挙の投開票日を迎えました。

今日は表立った選挙応援は難しい日ですので、こちらのニュースレターの続編をお届けします。

結局、今回の参議院選挙も大手メディアの報道は最後まで少なかった上、たまに見かける報道は与党勝利を決めつけるものばかり。投票意欲を削がれた方も多いことでしょう。その一方、7月8日に安倍元総理が銃撃された件については、テレビ・新聞が大々的に報じ続け、報道のアンバランスさを際立たせました。

そこで今回のニュースレターでは、前編に続いて その違和感を可視化します。具体的には、新聞の朝刊1面 見出しに着目して、選挙戦後半の報道で与党と野党に言及した量を文字数ベースで比較します。

*特定の政党・候補者を応援する文言は含まれていないため、投開票当日(7月10日)もSNS等で拡散して頂いて問題ない内容になっています。

前提条件

  • 新聞はいわゆるリベラルと位置付けられる全国紙である2紙(朝日新聞・毎日新聞)を対象とする

  • 時期は選挙戦後半にあたる投開票までの10日間(7月1日〜10日)を対象とする

  • 与党に関する内容は赤字、野党に関する内容は青字で記載する

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毎日新聞の場合

©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai

驚くべきことに、1面見出しに選挙報道が出たのは、投開票日を含めても僅か3回のみ。さらに、与党(赤字)野党(青字)の報道の割合を色分けして文字数ベースで比較した結果、実に100%が与党への言及です。今回は選挙報道が少なすぎるので比率に着目すると検証の精度を欠きますが、異常な比率であることは明らかです。

参考までに1面トップ(最も大きな文字で目立つ位置に書かれていた記事)の見出しも確認したところ、海外情勢(ウクライナ、アメリカ、イギリス)や電力供給などが目立ちます。これらは目前に迫った自国の国政選挙よりも本当に報道の優先度が高いのでしょうか? 私は非常に疑わしく思います。

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朝日新聞の場合

©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai

与野党の比率は50%ずつと見事に平等です。しかし、毎日新聞と同様に1面見出しで選挙報道が出たのは、投開票日を含めても僅か3回のみあまりにも少なすぎる。ちなみに1面トップの見出しは海外情勢(NATO、ロシア、ウクライナ)や気候変動などが中心。これらも重要なテーマであることは確かですが、目前に控えた国政選挙より優先すべきなのかは非常に疑問です。

この検証手法はあくまでも朝刊1面見出しに絞っているので、新聞記者の方々からは「1面以外でも選挙を取り上げているし、野党についても取材して記事を書いている」という反論が予想されます。しかし、私に言わせれば、忙しい一般市民が一つ一つの記事を本文までチェックすることは困難であり、せめて選挙期間中は最も重要なテーマである国政選挙について1面で大々的に報じるべきでしょう。前編でも同様の指摘をしましたが、残念ながら全く改善されませんでした。

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参考:昨年の衆議院選挙との比較

私は昨年10月の衆院選でも同じ観点で検証しており、その際のスライドも紹介しておきます。

©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai

毎日新聞、朝日新聞ともに1面見出しに与党の報道割合が多い点は大差ありません。しかし、大きな違いとして、投開票までの12日間で毎日新聞は7回(割合に換算すると58.3%)、朝日新聞は6回(同50%)は1面見出しに選挙報道があります。

しかしながら、今回の参院選では両社ともに10日間で3回(割合に換算すると30%)にまで激減しました。毎日新聞も朝日新聞もただでさえ少なかった国政選挙の報道をさらに少なくして、国民の関心を向けさせないことに加担したと言えます。

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今回のニュースレターは以上になります。

大変残念ながら、依然として既存メディアに投票率アップに繋がる報道を期待することは厳しい状況ですので、あと1日(正確には本日20時まで)、皆さん自身が身の回りの人に声をかけて投票所に向かうように呼びかけて頂けると嬉しいです。また、このニュースレターを読んだことで、選挙に行くつもりがなかった人に反骨心が湧いて「何が何でも投票してやる!」と考える可能性もゼロではないと思います。同じ問題意識を感じた方は、SNSや口コミで紹介をお願いします! リンク先を紹介するだけでなく、ご自分のコメントも交えて紹介して戴けると拡散しやすいので大変ありがたいです。

*投開票日であっても投票を呼びかける行為は禁止されてないので問題ありません。ただし、特定政党や候補者への投票呼びかけは公職選挙法に抵触するのでご注意ください。

2022年7月10日(参議院選挙 投開票日)朝 犬飼淳

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