【参院選2022】新聞1面見出しの与野党 報道割合から読み解く中立性(前編)

朝日新聞・毎日新聞の1面の見出しに着目して、参院選2022における与野党の報道割合を2回にわたって検証します
犬飼淳 2022.07.02
誰でも

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こんにちは。犬飼淳です。

参議院選挙の投開票が8日後の7月10日に迫りました。しかし、相変わらず大手メディアの報道は少ない上、たまに見かける報道は与党勝利を決めつけるものばかりで投票意欲を削がれている方も多いことでしょう。そこで今回のニュースレターでは、その違和感を可視化したいと思います。具体的には、新聞の朝刊1面 見出しに着目して、選挙戦前半の報道で与党と野党に言及した量を文字数ベースで比較します。

前提条件

  • 新聞はいわゆるリベラルと位置付けられている全国紙である2紙(朝日新聞・毎日新聞)を対象とする

  • 時期は選挙戦前半にあたる公示日からの9日間(6月22日〜30日)を対象とする

  • 与党に関する内容は赤字、野党に関する内容は青字で記載する

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毎日新聞の場合

©️2022 Jun Inukai

©️2022 Jun Inukai

公示日の6月22日〜24日にかけて3日連続で参院選を取り上げているものの、岸田首相のコメントであったり、改憲勢力が2/3を超えるかであったり、完全に与党側の視点で見出しがつくられています。さらに、公示3日目(24日)の段階で与党が過半数をとる勢いであると伝えています。一方、野党については27日に議席減の見込みであることを伝えるのみ。

結果、文字数ベースで比較すると、与党89%に対して、野党11%にとどまっています。

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朝日新聞の場合

©️2022 Jun Inukai

©️2022 Jun Inukai

朝日新聞も毎日新聞と非常に似た結果となりました。公示日の6月22日〜24日にかけて3日連続で参院選を取り上げているものの、岸田首相のコメントであったり、改憲勢力が2/3を超えるかであったり、完全に与党側の視点公示3日目(24日)の段階で与党が過半数をとる勢いであると伝えた一方、野党は「1人区ふるわず」と劣勢であることのみを伝えています。そして、選挙期間中にもかかわらず25日〜30日にかけては6日連続で朝刊1面見出しでは選挙には一切触れませんでした。

結果、文字数ベースで比較すると、与党79%に対して、野党21%にとどまっています。

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これはあくまでも朝刊1面見出しに絞って比較しているので、新聞記者の方々からは「1面以外でも選挙を取り上げているし、野党についても取材して記事は書いている」という反論が予想されます。しかし、私に言わせれば、忙しい一般市民が一つ一つの記事を本文までチェックすることは困難であり、せめて選挙期間中は最も重要なテーマである国政選挙について1面で大々的に報じるべきでしょう。また、先ほどスライドで示した通り、1面で報じたとしても見出しの文言が明らかに与党側に偏った視点・主語でつくられている点も問題です。

この状況で「選挙に行けば変わる」と言われても無理があります。それどころか「選挙に行っても、どうせ何も変わらない」という空気の醸成に新聞が加担しているとさえ言えます。こうした悪影響を懸念して海外では選挙前の一定期間は世論調査の公表を禁止する国々(イタリア、オーストラリア、カナダ、韓国、スペイン、ドイツ、フランス等)すらあることを日本の新聞記者が果たして知っているのかすらも疑わしく思います。

*公示直後に特定政党を利する選挙情勢を報じることについて、筆者が朝日新聞に簡易的な公開質問で認識を問うた結果は配信済みのニュースレターを参照ください

選挙戦後半(7月1日〜投開票日 10日)についても同様の手法で観察を続け、改善するのか注視したいと思います。

今回のニュースレターは以上になります。

このニュースレターが拡散されることで、メディアの報道姿勢が改善される可能性が僅かながらあると思うので、同じ問題意識を感じた方はSNSや口コミで本ニュースレターの紹介をお願いします! リンク先を紹介するだけでなく、ご自分のコメントも交えて紹介して戴けると拡散しやすいので大変ありがたいです。 

2022年7月2日 犬飼淳

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