【メディア視覚化】自民党総裁選と衆院選の新聞報道 比較(告示・公示から投開票までの12日間)

新聞1面の見出しに着目して、自民党総裁選と衆議院選挙の報道の温度感の落差を検証(続編)
犬飼淳 2021.10.31
誰でも

*衆議院選挙の投票モチベーションに影響する情報のため、公共性を鑑みて全体に公開します。

こんにちは。犬飼淳です。

2021年10月31日、ついに衆議院選挙の投開票日を迎えました。

今日は表立った選挙応援は難しい日ですので、こちらのニュースレターの続編をお届けします。

1政党の党首選びに過ぎないのに投開票の1ヶ月前からお祭り騒ぎだった自民党総裁選に比べて、国政選挙とは思えないほどテレビも新聞もスルーしている衆議院選挙

その違和感をハッキリと可視化するために前回のニュースレターでは、新聞の朝刊1面の見出しに着目して、告示・公示までの2週間の報道内容を比較しました。今回はその続編として、告示・公示の翌日から投開票日までの12日間について同様の手法で検証します。

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毎日新聞の場合

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

たかだが1政党の党首選びに過ぎない自民党総裁選は58%(=7日/全12日)の頻度で1面で報じた一方、国政選挙である衆議院選挙はあろうことか50%と下がってしまいました。重要性を考えれば、後者の方が圧倒的に多くならないとおかしいでしょう。

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

また、衆議院選挙に関する報道がされている場合であっても、主語が与党目線になっていることが気にかかり、視点を変えて整理した結果が上記のスライドになります。

与党(赤字)野党(青字)の報道の割合を色分けした結果、与党92% 対 8%となり前回同様に圧倒的な大差がつきました。

前回(公示までの2週間)は衆議院解散前だったので、政権を担う与党の方が注目を浴びる場面が多かったことは理解できますが、今回は解散後なので立場は対等です。それにもかかわらず、「議席の増減」や「選挙の勝敗」が全て与党目線の書き方になっており、野党は「意気込んだ」ことしか触れられていません。毎日新聞がとことん権力者目線(=与党目線)であることが伺えます。

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朝日新聞の場合

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

左右の2つの選挙について、1面見出しで扱った頻度はおおむね同等です。ただ、全国の有権者が投票権を持つ衆議院選挙は、ごく一部の国民(自民党員など)しか投票できない自民党総裁選より明らかに重要性が高いのだから、物足りなさを感じます。

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

与党と野党の報道割合の比較については、与党60% 対 野党40%という結果であり、先ほどの毎日新聞ほど露骨な悪意は感じられません。与党について触れれば、その後で野党にも触れる場合が多く、毎日新聞よりは公平です。

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まとめ

どちらかというと政権寄り・権力者寄りの論調が多い読売新聞や日経新聞に比べて、毎日新聞・朝日新聞は市民寄りの論調が多いと一般的には認識されていると思います。私も今回の衆議院選挙報道までは何とかそう信じようと努めていた面があります。

しかし、残念ながら、それは幻想だったと思います。

毎日新聞・朝日新聞ですら、衆議院選挙の重要性をあえて下げて報じ、国民の関心を向けさせないように仕向けていると判断せざるを得ません。毎日新聞に至っては、露骨に権力者目線で報じることで野党の存在感を減らすことに貢献しています。

既存メディアに投票率アップに繋がる報道を期待することは厳しい状況にあるので、あと1日、皆さん自身が身の回りの人に声をかけて投票所に向かうように呼びかけて頂けると嬉しいです。

また、このニュースレターを読んだことで、選挙に行くつもりがなかった人に反骨心が湧いて「何が何でも投票してやる!」と考えを改める可能性もゼロではないと思うので、同じ問題意識を感じた方は、ツイートやシェアで紹介をお願いします! リンク先を紹介するだけでなく、ご自分のコメントも交えて紹介して戴けると拡散しやすいので大変ありがたいです。

*投開票日であっても投票を呼びかける行為は禁止されてないので問題ありません。ただし、特定政党や候補者への投票を呼びかける行為は問題になるのでご注意ください。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

2021年10月31日朝(衆議院選挙 投開票日) 犬飼淳

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P.S.

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