高校入試の「公平性」を破壊するESAT-J 問題の全体像

2022年11月27日に東京都の公立中学校3年生を対象に実施され、数々の問題を引き起こした英語スピーキングテスト「ESAT-J」。入試としての「公平性」と公共事業としての「透明性」に着目して、問題の全体像を整理します。
犬飼淳 2022.11.30
誰でも

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問題提起(この記事を書いた理由)

  • 英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高校入試活用によって、入試の「公平性」が破壊されつつある

  • このまま東京都での実績が既成事実化すればベネッセが他県に横展開することは必至であり、日本全国の高校受験生・保護者・教育関係者が多大な不利益を被る

本記事で理解できること

  • 問題の本質は「英語教育の是非」ではなく、「日本の入試制度の大前提である公平性を破壊してまで、民間企業ベネッセに利益誘導している」ということ

  • 入試としての公平性、公共事業としての透明性に着目した11の問題点の詳細

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2022年11月27日、英語スピーキングテスト「ESAT-J」がついに試験当日を迎えました。ESAT-J(English Speaking Achievement Test for Junior High School Students)とは東京都とベネッセが共同実施する英語のスピーキングテストで、タブレット端末で指示される問題に対して、受験者は音声を吹き込むことで解答します。今年度から都立高校入試の合否判定の一部に採用されましたが、様々な問題を懸念する保護者や教育関係者らから反対の声が巻き起こっていました。

懸念された通り、強行実施された11月27日の試験終了直後からTwitterでは受験者・保護者からトラブルが次々と報告されました。これまで問題を何となくしか認識していなかった方々であっても、杜撰なトラブルの数々(試験監督の指示が個人ごとにバラバラ、イヤーマフが痛くて耐えられない、待機中の前半組の音声が聞こえたため後半組は予習できてしまった、近くの席の受験生の声が聞こえるため真似できる、等)を知って、ようやく問題の深刻さに気づいたのではないでしょうか。

恥ずかしながら、筆者もその一人です。

そして、試験実施後の夜から丸2日間ほどかけて問題を一から把握していく中で、入試制度として担保されるべき「公平性」を破壊し、公共事業(都立高校入試)として担保されるべき「透明性」も無い試験であると確信しました。この問題を放置すれば他道府県に横展開されてしまう恐れが高いため、都立高校志望者に限らず、日本全国の中学生・保護者・教育関係者に大いに関係がある問題です。

これまでも様々な問題点を一部のメディア(朝日新聞EduA、東京新聞 等)は度々報じ、試験実施に反対してきた保護者や教育関係者も情報発信を続けてきました。しかし、あまりにも問題が多すぎるために全体像を把握することが困難になっているとも感じました。そこで今回のニュースレターでは、筆者同様に前提知識が無かった読者にもESAT-Jの問題の深刻さが伝わるように全体像を整理していきます。

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全体像

ESAT-Jの問題を一言で表すと、「入試の公平性を担保できず、スピーキング強化という本来の目的も達成できないうえ、公共事業でありながら民間企業へ利益誘導」していることだと私は理解しました。

©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai

入試としての「公平性」公共事業としての「透明性」を重視して問題点を分解すると、大きく11点に分かれます。

*他にも大小様々な問題がありますが、「公平性」「透明性」という観点に当てはまらない問題は記載を省略しています。

これら11点の問題について順番に説明していきます。

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制度設計の面で入試の公平性を担保できない

①フィリピンでの採点基準が不透明

約8万人(東京都の公立中学校3年生)の受験者の音声データの採点者はフィリピンにいます。東京都教育委員会は採点者について、「フィリピンの採点センターの常勤スタッフで、ESAT-Jの専門の研修を受けた専門家」と回答していますが、十分な研修を行うと公言していた試験監督アルバイトですら杜撰に採用していた実態(詳細は⑥で後述)を踏まえれば、採点者も同様に杜撰に採用している不安は拭えません。

そもそもフィリピンは英語話者の比率が高い国ではありますが、英語は母語ではなくあくまでも外国語です。仮に説明どおりに「専門の研修を受けた専門家」であったとしても、8万人もの音声データを正確かつ公平に採点するのは至難の業です。試験が終了した現在も、東京都教育委員会はこの懸念を払拭できるだけの回答は全くできていません。

さらに、採点結果の詳細を開示請求できないため、採点ミスがあっても見逃される恐れが極めて高く、今後の改善にも繋がりません。

ベネッセが運営する民間試験GTEC(詳細は⑪で後述)の採点者が兼ねている可能性があり、一定の採点品質は保たれるかもしれませんが、それはそれで民間企業の利権独占という問題に繋がります。

②点数配分が歪(いびつ)


ESAT-Jの点数は6段階評価(A〜F)をなぜか「4点刻み」にして算出します。①で述べた通り6段階評価の時点で採点基準が不透明という問題を抱えているにもかかわらず、さらに4点刻みにすることで採点の誤りや偏りが合否に影響する恐れを助長しています。

そして、学力検査の得点と調査書点の合計(1000点満点)にESAT-J点数(20点満点)を加えて、合否判定に用いられる総合得点(1020点満点)を算出します。この計算過程で調査書点を300点に換算する際、主要5科目は1科目あたり約23点に相当します。つまり、主要5科目(国語・数学・理科・社会・英語)の調査書点に匹敵する点数(=20点)が「英語」の「スピーキング」という極めて限定的な技能に配分されているのです。他の主要4科目に比べて英語は得点配分が2倍近くに偏るうえ、その英語の中でもスピーキングの比重が異様に高くなり、非常に歪(いびつ)です。

総合得点全体で見ても、ESAT-Jは1.96%(=20点/1020点)を占めます。1.96%は合否のボーダーライン上にいる受験生にとっては決して少なくない割合であり、公平性が全く担保されていないESAT-Jの結果で合否が変わる受験生が相当数出てくることは確実です。

③不受験者の得点を別人から推定

不受験者の「ESAT-J結果」は、「不受験者と英語学力検査の得点が同じ者の平均値」から算出するという信じ難い手法を採用しているのです。「本人の試験結果をもとに合否を判定する」という入試の大原則から完全に逸脱し、ESAT-Jをめぐる問題の中で最も深刻と言えます。

具体例を示します。

例えば不受験者の英語学力検査が75点の場合、英語学力検査の点数が同じESAT-J受験者10名の平均値(=16.4点)が採用されるため、不受験者の「ESAT-J結果」はBとなります。このケースの場合、英語学力検査の点数は同じだったグループの中で、ESAT-Jを受験してC評価を受けた2名よりも不受験者の方が高いB評価を受けます。

2022年12月1日修正:公開当初に記載していた一文「スピーキングに苦手意識がある受験生はESAT-Jを受けない方が得点が高くなる可能性が極めて高い」は、そうとは言い切れない(受験生のレベルにかかわらず得点が運で左右される)ため、記載を削除しました。また、参考資料として紹介した「ESAT-J 不受験者の仮結果推定の問題点」とも異なる見解でした。

11月27日の試験では申込者数 約76000人に対して、実に9%にあたる約7000人が欠席したと東京都は速報で発表。コロナ禍とはいえ入試に直結する試験を1割近い受験生が欠席した事実がESAT-Jの異常性を物語っています。

④一定数の不受験者が必ず存在する

先ほどの③の説明だけだと「不受験者は、当日に体調不良などで受験できなかった人だけなので、例外的な話では?」と思うかもしれませんが、実態は全く違います。そもそもESAT-Jは、「東京都の公立中学校3年生の英語スピーキングテスト」という位置付けのため、受験資格を持つのは「都内の公立中学3年生」のみです。

現に、東京都教育委員会はESAT-Jの不受験者を以下のように定義しています。


都立高校の志望者であっても「都外在住」の場合は基本的に受験資格がありません。また、「都内在住で都外中学校や都内国私立中学校に在籍」している場合は受験資格はありますが、所属中学の同級生の大半は受験しないため自らも受験しない選択肢をとる可能性もあります。

整理すると、このようになります。

©️2022 Jun Inukai
©️2022 Jun Inukai

「東京都の公立中学校3年生の英語スピーキングテスト」という位置付けのはずのESAT-Jを「都立高校の入試」という性質の異なるものに無理やり流用したことがそもそもの間違いとも言えます。

⑤居住地域や経済力で得点力に差が出る

ESAT-JはGTEC(ベネッセが運営する民間試験)と酷似した試験です。(詳細は⑪で後述)

そして、こうした特殊性が高い(絵や音声の指示に従ってタブレット端末を操作し、回答の音声を吹き込む)試験の場合、「慣れ」が得点に直結します。東京都の公立中学校でそのGTECを実施している自治体が約2割あり、これらの自治体の中学校に通う生徒はESAT-Jでも高い得点を出せる可能性があります。

大内裕和氏 ツイート
大内裕和氏 ツイート

また、こうした特殊で新しい試験の場合、ESAT-J対策を行っている塾に通うだけの経済力がある家庭の受験生は、そうでない受験生より有利とも言えます。

***

当日運営の面で入試の公平性を担保できない

⑥監督者は甘い採用条件でバイト募集

ESAT-Jのようにコンピュータ方式で行うスピーキングテストにはトラブルがつきものであり、現にベネッセが実施したプレテストで発生したトラブルでは実に73.9%(=17件/23件)が監督者に関わる内容だったと報告されています。予期せぬトラブルであっても迅速に対処するには、しっかりと訓練・教育された監督者は必須です。しかし、試験前月の10月になっても、ESAT-Jの監督等の求人が非常に甘い言葉(経験不問、1日限定空いた時間で稼げる、シンプルワークで難しいコトはない、面接もありません 等)と共に掲載されています。

下の画像は2022年10月12日時点で「求人中」の広告です。「ESAT-J」とは明記されていないが、「ベネッセ」「11月27日」「都内」のキーワードから判断してESAT-Jと判断できます。

下の画像は2022年9月6日に掲載された広告です。こちらは堂々と「ESAT-J」と明記されています。

これらの求人広告からは、監督者には事前にオンライン研修があったことしか確認できません。

この問題はESAT-Jに反対する教育関係者が10月14日に東京都教育委員会に提出した要望書で明確に指摘したにもかかわらず、試験当日には懸念通りの事態が発生しました。十分な教育やマニュアルもないまま、運営はアルバイトである試験管に丸投げされたため、個々の経験値や力量によって対応に大きな差が出たのです。

*詳細はTwitterのハッシュタグ #ESATJ1127 で確認できます

一例として、先の要望書を提出した5名のうちの1人でもある羽藤由美氏(京都工芸繊維大学名誉教授)のもとに寄せられた試験監督アルバイトからの情報提供の一部を紹介します。


⑦後半組に問題が漏洩

この問題もかねてより指摘されていたにもかかわらず、現実のものとなりました。6月16日に東京都が公表した実施要領の時点で、試験は前後半の2組に分かれて実施されることが明らかになっていました。

試験問題は前後半で同一のため漏洩リスクが懸念されており、前後半の間の時間に双方の組の受験生が接触しないように動線を分ける、等の対策が必須なことは明らかでした。

しかし、受験者や保護者の声を見れば明らかな通り、こうした超初歩的な対策さえも徹底されていませんでした。さらに、後半組の音声が待機中の前半組に漏れ聞こえるという、想像の斜め上をいく失態まで引き起こしました。

⑧近くの優秀な受験生の回答を真似できる

同じ教室で近くに座る受験生の声が聞こえるため、運良く優秀な受験生が近くに座っていた場合は回答を真似できるという指摘も多くありました。

実際問題、複数の受験生の中から優秀な受験生の声を聞き分けて真似すること自体にかなり神経を使う気がしますが、こうした方法で実力以上の得点を得た受験生がいる可能性はあります。

***

本来の目的が達成されない

⑨スピーキング力強化に繋がらない

これだけの問題が指摘されていながらESAT-Jを強行した小池百合子都知事。一貫して「日本はスピーキングが弱いので、世界でチャンスをつかむためにも話す力が必要だ」と主張してきました。現に、定例記者会見で日経新聞記者から「ESAT-Jの開催意義」を問われて、このように述べています。

スピーキングの部分が日本は非常に弱いです。それが日本のプレゼンスを段々低下させている。(中略)そういった大きな観点から、やはり世界への発信や、そして色々なチャンスをつかむためにも、話すという基本的なことが必要であり、今回のテストはこうだと、教育長、教育委員会とともに、都として理解をしていただけるように努めていきたい。(中略)これからも色々な意味でスピーキングは極めて重要だという認識を持っております。


しかし、「スピーキングが重要」という意見を認めたとしても、「ESAT-Jを導入すべき」という結論には繋がりません。なぜならば、ESAT-Jはスピーキング力を伸ばすという本来の目的すらも達成できない欠陥品だからです。具体的には、スピーキング以外の要素(想像力 等)が大きく影響する問題構成になっているのです。

それは、実際の試験問題を見れば一目瞭然です。

これは11月27日に実施された本試験のPartCの問題です。

「電車に乗車したら鳥が花を咥えて持って来て、飛び立っていった」という状況が4コマ漫画で示され、翌日にこの状況を留学生に英語で伝えようという問題です。

端的に言って、「日常生活で絶対に起こらないであろう状況を英語で説明しろ」と言っているに等しく、意味不明です。英語のスピーキング力以外の要素(想像力など)に大きく依存した問題構成とも言えます。

***

公共事業でありながら民間企業へ利益誘導

⑩ベネッセへ個人情報登録が必須

ESAT-Jを受験するためには、ベネッセのウェブサイトで個人情報(顔写真を含む)を登録しないと受験できない仕組みになっています。都立高校入試のための試験にもかかわらず、民間企業であるベネッセのウェブサイトで申し込むこと自体が異常ですし、ベネッセは2014年に実に3500万件以上もの個人情報流出事件を起こした企業です。

*事件の詳細は日経新聞記事 参照

受験生や保護者は個人情報流出のリスクに怯えながらも、都立高校を受験するためには自らの個人情報を差し出さざるを得ません。

⑪ベネッセのGTECを流用

東京都教育委員会は当初、ESAT-Jを「中学校英語スピーキングテスト Supported by GTEC」と表記していたことからも明らかな通り、ESAT-Jはベネッセが運営するGTECのスピーキングテスト部分のコンテンツ・ノウハウを流用した試験であることは間違いありません。

民間企業であるベネッセが運営する試験を公共事業(都立高校入試)で独占的に採用しており、癒着と判断せざるを得ません。

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その他の問題

「公平性」「透明性」には直結しませんが、制度設計や運営の杜撰さを表す問題はまだまだ山のようにあります。

採点結果の通知が遅すぎるため、願書提出直前に志望校変更を迫られる

ESAT-Jの得点は、学力検査前に判明する320点(=調査書点300点+ESAT-J20点)の実に6.25%を占めるため、志望校の判断に大きな影響を及ぼします。それにもかかわらず、ESAT-Jの採点結果が分かるのは、都立高校の願書提出まで約2週間後に迫った1月中旬。つまり、受験生は自らの志望校を願書提出直前まで明確に定められないまま受験勉強を強いられることになります。これは全ての受験生に共通するので公平性を損なう問題ではありませんが、受験勉強のモチベーションを保つうえで大きな障害になります。

また、予想と異なる結果が出て志望校の難易度を下げる(もしくは上げる)判断に迫られた場合、受験直前期に学校が三者面談などのサポートを行えるのかという不安もあります。

欠席連絡のための電話を丸一日かけ続けても繋がらない

イヤーマフが強力すぎて試験時間中に耳が痛くなる

キリがないため問題の紹介は以上としますが、Twitterアカウントをお持ちの方で気になる方はハッシュタグ「#ESATJ1127」「#ESATJは中止を」「#ESATJは止める」でお調べ下さい

***

トラブルから目を背ける東京都

大半は事前に指摘された問題でありながら具体的な対策を怠ってきた東京都。

11月27日は試験が15時40分以降に終了した直後から、Twitterでは受験生からのトラブル報告が相次いでいました。しかし、当日19時に東京都教育委員会が報告したトラブル例は、わずか2件

本ニュースレターでその他の問題として紹介した一点(欠席連絡の電話が繋がらない)は含まれていますが、当日運営の面で入試の公平性を担保できない重大な問題である⑥⑦⑧には一言も言及されていません。都合の悪い情報から目を背け、ESAT-Jの偽りの成功を既成事実化する東京都の姿勢がよく現れています。

確かにESAT-Jは既に実施されてしまいましたが、入試としての「公平性」が担保されていない以上、今年度の都立高校入試の合否判定に用いるのは今からでも中止させるべきです。このまま放置すれば他道府県に横展開されてしまう恐れが高く、ESAT-Jは都立高校志望者に限らず、日本全国の中学生・保護者・教育関係者に大いに関係がある問題です。

しかし、未だに大手メディアの多くは東京都の主張を垂れ流している状態のため、ごく一部(SNSユーザ、都立高校志望者、教育医関係者 等)を除いて、問題が広く周知されていません。

▼TBS 「採点基準の曖昧さやテストの実施体制など問題点が指摘されていましたが、大きなトラブルはなかったということです」という東京都側の主張をそのまま報道

トラブルの実態を具体的に報じているメディアも一部ありますが、圧倒的に少数派です。

▼東京MX 受験生の不満の声やトラブルを具体的に報道

絶望的な状況ではありますが、問題の深刻さに気づいた方にできる最もハードルの低いアクションとしては、こちらのオンライン署名があります。

微力ながら今回のニュースレターが問題周知の手助けになることを願っています。そのためにも、問題意識を感じた方はSNSや口コミで本ニュースレターの紹介をお願いします! リンク先を紹介するだけでなく、ご自分のコメントも交えて紹介して戴けると拡散しやすいので大変ありがたいです。また、筆者自身が試験実施後に問題の深刻さに気づいたため、今回は実質2日間ほどで把握できた情報に過ぎません。認識不足や誤りに気づいた方はその旨もご指摘頂けると助かります。

2022年11月30日 犬飼淳

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あとがき(都庁記者クラブの問題)

ESAT-Jという本題から少し逸れますが、直近1ヶ月の都知事 記者会見の質疑を筆者が確認した限り、残念ながら都庁記者クラブの記者が小池都知事にESAT-Jの問題点を追及する質問はゼロでした。1ヶ月以上前に遡れば、ESAT-Jに関する質問は確認できるものの、東京都側の視点に立った質問(「ESAT-Jの開催意義は何か」等)が大半

こうした実態を踏まえて、筆者が自ら小池都知事の認識を直接問い質すために12月2日の次回 都知事 記者会見(基本的に毎週金曜14時実施)への参加を申し込んでいます。しかし、同会見ではコロナ対策を理由に「都庁記者クラブ20社は各社1名が現地参加。それ以外の記者はオンライン参加」という措置がとられています。そのため、オンライン参加を強いられる私が都知事に本件を質問できるかは不透明な状況です。フリー記者を排除するためにコロナ対策を都合よく利用していると判断せざるを得ない状況のため、同会見を主催する都庁記者クラブ(窓口は12月幹事社の朝日新聞)と交渉中です。

*同会見の参加記者制限の経緯は東京新聞記事 参照

関連して、記者クラブ制度の構造的問題については、こちらのニュースレターをご覧ください。

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参考情報

今回のニュースレター作成にあたって参考にした情報

▼「ESAT-Jの都立高校入試利用中止の要望書」(2022年10月14日)

▼「ESAT-Jの都立高校入試利用中止を要望する会見」(2022年10月19日) *上記の要望書を提出した5名(阿部公彦  東京大学教授、鳥飼玖美子  立教大学名誉教授、南風原朝和  東京大学名誉教授、羽藤由美  京都工芸繊維大学名誉教授、大津由紀雄  慶應義塾大学名誉教授)による記者会見

▼「2022年10月19日 記者会見の読み方」 *上記会見を登壇者の大津由紀雄氏が自ら解説

▼東京都教育委員会 スピーキングテスト実施状況(試験当日11月27日 19時速報) *トラブルの報告例の記載は2点(欠席連絡の受付電話の回線が混み合って繋がりにくくなった時間がある、会場を間違えて遅刻した生徒がいた)のみ

▼東京都教育委員会「ESAT-J 本試テスト スクリプト」(試験翌日 11月28日17時 公開) *11月27日に実施された試験内容

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/files/esat-j/r4_script.pdf

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