【体験レポート】初めての記者会見

初めての記者会見参加となった2021年9月30日(旧市庁舎売却契約締結当日)の 横浜市長会見。参加に至った経緯、事前準備や当日の流れをお伝えします。
犬飼淳
2021.10.12
有料限定

*今回のニュースレターは、9割以上の内容を未登録者にも公開します。ただし、事前準備していた質問のカンペ(計2枚)と、これらのカンペをもとに当日の質疑中に考えていたことだけは、自分の手の内を見せることになり、あまり積極的に開示したくないため有料購読者のみに公開します。

***

こんにちは。犬飼淳です。まず最初に改めてお伝えしたいことがあります。私が専業の記者だと勘違いしている方がまだまだ多いようですが、私の本業は政治とも報道とも縁遠い業界の会社員です。

3年前、このツイートをきっかけに国会質疑や政治報道に関する情報発信を始めましたが、本業の傍らで限られた時間と様々な制約の中で活動を続けています。

その後、今年5月に閉鎖されたハーバー・ビジネス・オンラインで署名記事を掲載したり、いくつかのメディアに私自身のことを取り上げて頂いたりはしましたが、特定のメディアに所属したこともありません。

そもそも記者やライターとしての教育を受けたことすらありません。

*これまでの執筆記事、メディア掲載の実績については以下を参照ください

juninukai.theletter.jp

そんな私が初めて記者会見に参加することになった経緯、当日の流れなどを今回のニュースレターではお伝えしたいと思います。

***

参加資格があることに気づいた経緯

私はこれまで記者会見(総理大臣、大臣、横浜市長など)に関する情報発信も行ってきましたが、会見の様子を確認する方法は大手メディア中心の記者が質問する様子を中継映像で見るだけでした。

が、ふとしかきっかけで、実は他にも方法があったことに気づきます。発端は、横浜市長記者会見の参加ハードルが高くなったことです。

林文子 前市長時代は、フリーランス記者は参加はできても質問はできないという閉鎖的な運営でしたが、新しく就任した山中竹春市長は1回目の8月30日の記者会見でフリーランスも参加・質問をOKとして、情報のオープン化に努めました。しかし、1回目の記者会見でフリーランス記者が数々の疑惑(パワハラ、強要未遂、経歴詐称)を追及した終盤、市長は質問に全く回答できない状態が続き、最後は司会者が一方的に会見を終了させ、フリーランス記者たちの抗議の声を完全無視して市長は退出するという大混乱が生じました。

*1回目の記者会見(8月30日)の終盤の実態は以下のニュースレターを参照ください

juninukai.theletter.jp

こうした経緯を経て、横浜市は 2回目の記者会見からは参加条件を厳しくしました。具体的には、内閣府大臣記者会見同様の参加基準を設けたのです。

*横浜市が示した案内は以下を参照ください

www.city.yokohama.lg.jp

参加条件に関する部分を以下に抜粋します。

会見への参加可否の基準については、「内閣府[報道関係者向け]大臣定例記者会見について」(令和3年9月1日時点)の参加登録対象を準用しています。   

<参加登録対象>
 1.(社)日本新聞協会会員社に所属する記者
 2.(社)日本専門新聞協会会員社に所属する記者
 3.(社)日本地方新聞協会会員社に所属する記者
 4.(社)日本民間放送連盟会員社に所属する記者
 5.(社)日本雑誌協会会員社に所属する記者
 6.日本インターネット報道協会法人会員社に所属する記者
 7.外務省が発行する外国記者登録証保持者
 8.上記1~6のメディアが発行する媒体に署名記事等を提供し、十分な活動実績・実態を有する者(いわゆるフリーランス)等

横浜市ウェブサイト「市長定例記者会見の参加申込について」

この文章を最初にざっと読んだ時は、要は「日本○○協会」という立派な団体に所属するメディア企業の記者だけが参加できるので参加のハードルが上がったのだなと素直に受け取っていました。

が、項番8の「署名記事」という文言に気づいて、改めて文章を読み直してみたら、気づいてしまったのです。

あれ?? もしかして、自分は参加条件を満たしているのでは?? ・・・・と。

私はハーバー・ビジネス・オンラインで署名記事を84本書きました。しかも、そのうち11本は横浜市政に関する内容です。具体的には、2019年8月の林文子 前市長のカジノ誘致発表後、主にカジノIR誘致に関する記事を書いてきました。

*ハーバー・ビジネス・オンラインに掲載した署名記事は以下を参照ください

hbol.jp


ハーバー・ビジネス・オンラインはWebメディアですが、運営していたのは扶桑社です。

*だいぶ余談ですが、扶桑社はフジサンケイグループです。一度だけ浜松町の本社オフィスを訪問したことがありますが、同じフロアには教科書問題で悪名高い育鵬社(扶桑社の子会社)が入居しており、なかなか衝撃的でした・・・。同じフロアにいるグループ会社なので、社員同士も普通に交流がある様子で、思想と業務はあっさりと切り分けているのかなと感じました。 

その扶桑社は「週刊 SPA!」などの雑誌を発行している会社です。書店・コンビニで普通に陳列される雑誌を発行している会社なのだから、もしかして扶桑社は項番5の日本雑誌協会の会員社なのでは?と考えて、協会のWebサイトを確認すると・・・

一般社団法人 日本雑誌協会ウェブサイト
一般社団法人 日本雑誌協会ウェブサイト


バッチリありました! 「は行」の中に扶桑社の名前が。

つまり、私は項番5の日本雑誌協会会員社(=扶桑社)が運営する媒体(=ハーバー・ビジネス・オンライン)に署名記事84本(そのうち11本は横浜市政関連)を提供したわけです。ここで項番8の内容を改めて振り返ると、以下のように書かれていました。

8.上記1~6のメディアが発行する媒体に署名記事等を提供し、十分な活動実績・実態を有する者(いわゆるフリーランス)等
横浜市ウェブサイト「市長定例記者会見の参加申込について」

さすがにこの段階で確信します。

誰がどう考えても、自分は参加条件を満たしているではないか!!・・・と。

しかも、これは内閣府 大臣定例記者会見の基準に準じているので、今までずっと歯がゆい思いで中継映像を見ていた総理大臣会見や他の大臣会見についても理論上は参加資格があったのでは??・・ということにも気付きます。

(さすがに実際の参加ハードルはもっと高いだろうし、前日や当日に日程が決まる状況では本業がある身としては予定しづらいし、参加できても指名されないとなると、参加は現実的ではないですが)

とにかく横浜市長記者会見については前の週の金曜日に開催日時が発表されるので、本業の休暇取得の調整さえつけば参加できる可能性があると分かりました。

自分が記者会見に参加するなんて今まで考えたこともなかったので、これは個人的には衝撃的な発見でした。

***

第2回会見 参加失敗までの流れ

私が実際に参加した横浜市長記者会見は第3回(9月30日)ですが、もともとはその前の第2回に参加するつもりでした。

しかし、それは失敗に終わりました。

その流れを簡単に紹介します。当初、第2回会見は9月14日14時〜の予定でした。私はこの会見への参加を目指して、まずは本業の勤務先に当日の午後休を申請して上司承認を頂き、予定を空けておきました。そして、期日までに申込書をメール送付。参加可否は横浜市と横浜市政記者会(=大手メディアの記者で構成される、横浜市役所の記者クラブに相当する組織)が判断するという案内だったため、参加が認められるのかドキドキしながら前日を過ごしていました。

しかし、前日(9月13日)の17時過ぎになって、予想外のメールが届きます。

以下、やり取りのメールを可能な範囲で一部公開します。

お申込みいただきました横浜市長定例記者会見につきましてご参加いただけることとなりましたので、ご連絡いたします。なお、お申込みいただきました中、大変申し訳ございませんが、日時が次のとおり変更となりました。
【変更前】9月14日(火)14時から【変更後】9月17日(金)15時30分から
つきましては、引き続きご参加をご希望されるかどうか【9月16日(木)15時まで】までにご返信いただきますようお願いいたします。
横浜市から筆者宛のメールの一部(9月13日 17時台に受信)

!!!!!!

まさか前日17時過ぎになって、日時変更の連絡を受けるとは完全に予想外でした。変更後の日程である9月17日は本業の方で出席必須の会議予定があり、午後休取得は不可能だったため、泣く泣く参加辞退の旨を返信しました。

参考:当日の私のツイート(横浜市ウェブサイトでは、メール連絡よりも2時間ほど早い15時に更新されていた模様)

ただ、参加自体は認める内容が書かれていたので、タイミングさえ合えば いつか参加できるかもしれないという希望は持つことができました。ちなみに第2回の会見に向けて、質問内容をツリー構造で整理して準備したのですが、それはお蔵入りとなりました。参加した第3回会見でも質問できていない内容なので、いずれ機会があれば再利用するかもしれません。

***

第3回会見 参加までの流れ

いつか参加できるだろうとは思っていましたが、その機会は意外と早く訪れます。次の第3回会見(9月30日)に私は参加できました。それまでの流れも振り返ります。

*正直、前日のドタバタが多く、あまり価値のある内容でもないので、興味がなければこの項目はざっと読み飛ばして頂いて大丈夫です。

前回同様に本業の勤務先では当日の午後休を取得して、期日までに改めて申込書を横浜市宛にメール送付。前回同様に前日に日時変更されてしまう可能性に怯えながらも、会見前日(9月20日)は詳細な案内メールが届くことを私は待っていました。そして、前日の17時過ぎに集合時間や受付の流れを案内メールが横浜市から無事届きます。

ただ、その中に非常に困った一文が含まれていました。

当日は受付にて名刺を頂戴します
横浜市から筆者宛のメールの一部(9月13日 17時台に受信)

実は、私はこうした政治関係の情報発信のライター業の名刺をつくらないまま3年以上を過ごしていたのです。

常識的に考えて、こうした記者会見の場で名刺を求められることは十分あるとは思っていましたが、3年以上が経過しても名刺が絶対に必要な場面に遭遇したことがなく、「まあ、今回も何とかなるだろう」と たかを括っていました。当然ながら本業の勤務先の名刺は持っていますが、書かれているのは本業の勤務先の情報なので使えません。

名刺切れを理由に乗り切ることも考えましたが、相手はルールに厳格なイメージのある役所。万が一にでも、せっかく現地に行ったのに「名刺が無い」などという下らない理由で参加を拒否されたら、泣くに泣けません。これまで私が発信してきな内容を踏まえると、横浜市は私の会見参加には乗り気でない可能性の方が高く、参加を拒む理由を探しているでしょうし。

この困った事態に直面したのが、会見前日の17時過ぎ。

本来であれば前日夜は質問準備に時間を割く予定でしたが、ここから私は「名刺をつくる」という、ちょっと意味不明なことに前日夜の大半の時間を割く羽目になります・・・・。

自作名刺についてインターネットでざっと調べたところ、コンビニ印刷では紙がペラペラ過ぎるようなので、100円均一ショップなどで売っているミシン目入りの名刺カード(A4サイズで10枚分の名刺を印刷できるタイプ)が良さそうだなとアタリをつけました。

↓こういう商品です。

craftwriter-blog.com
iemonocatalog.com

そして本業の在宅勤務を終了させた18時以降、近所の100円均一ショップを3軒まわって探しましたが、なぜか目的の名刺カードがなかなか見つからない・・。今になって冷静に振り返れば、パンデミックによって紙の名刺を配る機会が激減して、こうした名刺関連商品の需要が落ちたために店舗在庫が品薄だったのだろうと思います。

当時の神奈川県は緊急事態宣言下だったので、ほとんどの店の閉店時間は20時。悠長に探す暇もないので、結局、目当ての名刺カードは諦めて L版光沢紙(普通は写真などをプリントする用紙) だけを買って帰宅します。

ある程度の厚みがあるのでペラペラの紙よりはマシだし、名刺のほぼ2倍サイズだから半分にカットすれば大きさも合わせられるし。ちゃんと探せば、デザイン性の高い無料テンプレートもあったのでしょうが、帰宅した時点で既にクタクタに疲れていたので、もう内容にはこだわらず超特急で自作名刺をつくりました。

自戒の意味も込めて、あえて晒しておきます。いずれ時間ができたら、ちゃんとした名刺を準備したいと思います・・・。

<前夜に慌てて作成した手作りの名刺> どうか笑わないでください・・。

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

はい、改めて酷い出来ですね・・・。

自分で半分にカットしたので上下のラインがちょっと乱れているし、本来は写真をプリントする光沢紙を使っているので文字も掠れてしまっているし、ハリボテ感を隠せない・・・・。

本業の勤務先では当然のようにちゃんとした厚紙で見た目もキレイな名刺を支給されてきましたが、そのありがたみを実感する羽目になりました。

肩書きがないのは、なんと名乗るべきなのか自分でもしっくり来てないところがあり、結局、何も書けなかったためです。「ジャーナリスト」とか、さすがに恐れ多くて書けないし。この酷いハリボテの名刺を受付で渡すのかと思うと気が滅入りましたが、ようやく名刺の準備が完了しました。

***

移動や夕食の時間もあったので、この時点で既に22時。翌日も午前は本業の業務があり夜更かしはできないので、24時をタイムリミットに設定して、残り2時間で翌日の質問準備にようやく取り掛かります。前日夕方に質問準備が終わっていた前回とは異なり、今回は余裕がなくて質問準備は完全に未着手の状態。

契約締結の期限日と会見日が重なっている旧市庁舎売却は今回の会見で何らかの発表がある可能性が高く、最重要テーマだと考えられるため、この点に絞って直近の議会質疑や報道内容を確認。特に、井上さくら市議は主な問題点をブログで公開していたので、大変役立ちました。

こうした確認結果を踏まえて、前回同様にツリー構造(質問に対する回答をYesとNoで分岐させ、相手の回答に応じて次に質問・確認すべき内容を辿ることができるスライド)で質問内容を準備しました。

*実際のスライドは、本ニュースレター末尾(有料会員のみに公開している部分)に掲載してます。付加価値があるかという微妙ですが、自分の手の内を見せることになり、積極的に開示したくない内容のため。

***

第3回会見 当日の流れ

そうして迎えた会見当日の9月30日。午前中は在宅勤務で本業の業務をこなした後、14時開始の横浜市長記者会見に向けて、午後から新市庁舎に移動します。

横浜市民としては横浜市役所と言えば関内駅前にある渦中の旧市庁舎であり、桜木町の新市庁舎には行くこと自体が私は初めてでした。新しくて立派な建物ではありましたが、やや複雑な構造に少し戸惑い、迷いそうになりながらも、秘書部の方の案内のおかげで開始15分前になんとか会見室に到着。

そして、会見室前の受付で、例の名刺の提示を求められます・・・。さすがに名刺がハリボテだからといって会見参加を拒否されることは無いとは思っていましたが、あまりに酷い出来に笑われるのではないかと不安に思ったりしましたが、ごく普通に受け取って頂き、一安心。配布資料を手渡され、無事に会見室の中に入れてもらえました。

私が入室したのは開始15分前の13:45 頃だったと思いますが、8席×3列から成る記者席はほぼ全てがまだ空席で、前方の幹事社席以外であれば どこでも座ってOKとのこと。どこに座って良いのか戸惑っていたら、親切な横浜市の職員の方が、後方の良さげな席を案内してくれました。市長に近い前方よりは、全体を俯瞰できる後方の方が自分も都合が良かったので、ありがたい。

記者席の机上にはバウンダリーマイクが1席に1つずつ設置されていて、自分が発言する際に使用できます。1人で1つのマイクを占有できるとは、想像以上に設備が充実していて驚きました。進行をスムーズにするために、こんな案内文も頂きました。

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

席に着いて一息ついたら、先ほど受付で手渡された「旧市庁舎街区・活用事業について」と題した29ページにわたる配布資料を早速確認。

©︎2021 Jun inukai
©︎2021 Jun inukai

*実際の配布資料は横浜市ウェブサイトで閲覧可能

表紙の次ページの「会見の目的」と題したスライドにいきなりこのように書かれていたので、今日の会見の趣旨をすぐさま理解しました。

会見の目的:旧市庁舎の売却価格の算定の妥当性を確認し、結果を市民の皆様と共有すること
2021年9月30日 横浜市長会見資料「旧市庁舎街区・活用事業について」

会見開始前の10分ほどで29ページをざっと斜め読みしたところ、資料は全編にわたって「旧市庁舎の建物に経済価値は無く、売却価格は妥当である」と主張しており、市長はこの会見で旧市庁舎売却決定を発表すると会見開始前に予想がついてしまい、胸がざわつきました。

そうこうしているうちに他の記者たちや市の職員も続々と入室。予定通り14時に山中市長も入室し、会見が始まります。

*当日の質疑の詳細はこちらのニュースレターでご確認ください

juninukai.theletter.jp

以下、雑多ですが会見中に感じていたことを箇条書きで列挙してきます。

・会見の開始直後、一斉に始まった記者たちのタイピング音が凄まじくて、ビックリ。会見冒頭はワクチン接種や横浜文化賞についての原稿読み上げで、自分としては細かく記録する必要はなかったけど、何もせずに話を聞いている自分があまりにも周りから浮いている気がして、持参したiPadでタイピングのフリだけしてみる・・。

<参考写真:会見冒頭にワクチン接種率を説明する山中市長>

©︎2021 Jun Inukai
©︎2021 Jun Inukai

説明対象のスライドが両脇のディスプレイに投影されている。また、市長の前にはアクリル板があり、記者の声が小さい場合やこもっている場合は市長は聞き取りづらい状況。

・会見開始12分頃から始まった旧市庁舎の資料説明があまりにも長すぎて、辟易とする。結局、市長による29ページの資料の一方的な読み続けは44分間も続いた。これまでの会見は1時間程度で終了しているので、もしや資料説明で時間を稼いで質疑を時間切れにさせる作戦なのでは・・と不安になり、「市長が長々と読み上げている内容は、配布された紙資料を読めば分かる内容しかないので、早く質疑に移ってほしい」と抗議しようかとも考えたが、さすがに他の記者たち全員が市長のお言葉を静聴している中、初参加で勝手もわからない自分が市長の説明をぶった切って声をあげる勇気はなく、おとなしく説明を聞き続ける。

・会見開始から56分後、ようやく旧市庁舎売却の質疑が始まる。幸いなことに司会者は挙手がある限りは指名してくれたので、先ほどの時間稼ぎの心配は杞憂に終わる。また、大手メディアであってもフリーランスであっても先に手を挙げた人を司会者は順番に指していたようで、指名順番は公平だと感じた。第1回会見では冒頭は大手メディアしか指名されず、フリーランスは終盤になってようやく指名され始め、その点を第2回会見で猛抗議したフリー記者がいたので、潔く改善したのかもしれない。

・途中で気づいたが、過去2回の会見で市長は着席していたが、今回の記者会見では終始立っている。記者側は全員が着席しており、常に市長に上から見下ろされながら質疑を進める形になるので、やや圧迫感を感じる。横浜市側にそのような意図があったのかは分からない。今回、市長は投影資料のパソコン操作があるため立った方がスムーズだと判断しただけかもしれない。

・先ほど写真も載せた通り、最初に「所属、名前」を述べてから質問するように案内文も配布されていたが、直前の午前中までは本業の業務をこなしていたこともあって、自分が咄嗟に本業の会社名を言ってしまわないか・・と不安になり、実は自分が質問される順番を待っている間、言い間違えないようにイメトレしていた。

***

<自らの質疑について>

そして、ついに自分も質問。緊張したつもりはなかったけども、手持ちのカンペを持つ手が明らかに震えていることに途中で気づき、やや動揺しながら質問を始めます。

以下、自分の質疑内容を引用。

【司会者】フリーランス、犬飼さん。
【フリーランス 犬飼】犬飼と申します。よろしくお願いします。えーっとですね、9月24日に、あの、市長は「本契約を一旦停止して市民と対話を図ってほしい」という趣旨の署名を受け取ったと思います。署名数は本日時点で5000名を超えているかと思います。あの、本契約の前に市民との対話を図ってほしい。これ、決して難しい要求ではなかったと思うんですけども、もうこの要望に応じるつもりは無いということでよろしいでしょうか?

【山中竹春市長】ま、その、あれですかね、判断にあたって、えー、私が意見を聞く場を、おー、設けて、えー、欲しいという、あのー、えー、ですがー、あのー、まあ、評価の観点に関してはですね、えーとー、まあ、どこの鑑定士がですねー、この資格にもとづいて、えー、まあ、判断している、そのー、鑑定にもとづいて判断している、しておりまして、えー、まあ、どういったですね、鑑定評価が行われたのかっていうことをですね、まず検討することがですね、そのことを明らかにして開示することこそが、説明になるというふうに、いー、考えておりました。

【フリーランス 犬飼】関連して、いいですか。えーと、市長は、あのー、選挙時ですね、あのー、「市民に誠実、データに正直な市政の実現」というキャッチフレーズ、掲げられたと思います。今のご説明、誠実ですか?

(周りの記者から失笑が漏れる)

【山中竹春市長】あのー、誠実かどうかは、(苦笑しながら)市民の方に判断いただければと思うんですが、あのー、本来であれば、このまま立ち止まらずに、いー、契約まで向かい、説明が行われなかった可能性があるところを、改めて第三者の調査を行い、その時間をかけて、その結果を確認し、いー、評価の妥当性を報告している。まあ、これが私の、今の進め方でございます。

【フリーランス 犬飼】
はい。ありがとうございます。関連して、もう1点いいですか。あのーですね、今月ですね、都市整備局の方が、あのー、三井不動産とかDeNAとか開発事業者が出した提案書を公開していると思います。ただ、その中身の半分以上が黒塗りで、いわゆる海苔弁状態でした。えー、どのような提案内容だったのか、価格が妥当なのか全く判断できない状態です。えー、また選挙時の公約になるんですけども、まあ、「行政データのオープンデータ化と透明性の担保」。あの、100個くらいあった公約に入っていたと思うんですけども、これも公約を満たしているとお考えですか?

【山中竹春市長】そちらの黒塗りに関してはですね、あのー、色々な守秘義務上のものも含まれると思いますので、改めて、えー、担当部局の方で、えー、方に、確認をいたしまして、出せるものに関しては、あー、オープンにしていきたいと考えております。ただ、守秘義務上、ノウハウ上、出せないものもあるので、それに関しては、ご了承頂きたいんですけども、今ご指摘頂いた点に関しては、あの、担当部局の方に確認をして参りたいと思います。

【フリーランス 犬飼】ありがとうございます! 守秘義務に抵触しない限りは、公開して頂くというふうに理解しました!
【山中竹春市長】(遮るように)市のルールもありますので、照らし合わせて、そして守秘義務。様々な点に関して、それに抵触しないと判断できたものに関しては見直すように指示を致します。

【フリーランス 犬飼】はい。ありがとうございます。以上です。

こうして冷静に文字を眺めると、ほとんどの質問に全く回答してもらえていないのですが、質疑中に瞬時に判断して切り返すことはかなり難しいなというのが実感でした。

普段、信号無視話法などの分析手法を用いる際は何度も聞き返しながら じっくりと内容を判断できますが、自分自身が質問して次の質問にどう繋げるかも考えながら相手の回答を聞いている状況では、相手が何を言っているのかを理解するだけでも大変でした。

特に山中市長の場合、質問とかけ離れた内容を話すことが多く、「あれ? もしかして自分が質問の伝え方を間違えたのだろうか?」と本気で不安になったりしました。

国会質疑を見ていると、相手が質問に回答しなかった際、「私が聞いたのはAでしたが、回答して頂いたのはBでした。Aについてはどうですか?」と瞬時に相手が話した内容を整理した上で切り返すことができる議員が数名いますが、あの議員たち(山添拓議員、小池晃議員など)はとてつもなく優秀なんだな〜と改めて実感しました。

私が質疑前に準備していた内容を説明しておくと、2つのテーマ(旧市庁舎売却における市民との対話、旧市庁舎売却の情報公開)について、各1枚のカンペを用意していました。

まず、1テーマ2点ずつで計4点のゴールを設定。そのゴールは、1回の記者会見参加では絶対に達成できないような非常にハードルの高い内容でしたが、質疑の目標を明確化するためにも、私は本気でそのゴールを目指して質疑を進めていました。

また、ツリー構造(質問に対する回答をYesとNoで分岐させ、相手の回答に応じて次に質問・確認すべき内容を辿ることができるスライド)で質問の展開を事前に整理していました。

結果、ゴールは4つのうち1つしか達成できなかったし、ツリー構造で整理する方法もあまりうまくいかず、私の質疑は完全に失敗だったと捉えています。

自分の質疑中に考えていたことや、事前準備した2テーマ分のカンペ(ゴール及びツリー構造の質問構成)は、本ニュースレター末尾(有料会員のみに公開している部分)に掲載します。正直、付加価値があるかという微妙ですが、自分の手の内を見せることになり、あまり積極的に開示したくない内容のため。

以下、自分の質疑が終了した後の会見中に感じていたことにも幾つか触れておきます。

***

<会見終盤の打ち切りについて>

過去2回(8月30日、9月17日)の会見でも一方的に会見を打ち切る様子は画面越しに見て知っていたので心の準備はできていたものの、会見の終盤にNIH時代の経歴詐称を質問したサキシル西谷記者への司会者の質問妨害や一方的な会見の打ち切りは衝撃的でした・・。

山中市長が質問と全く噛み合わない意味不明な回答を繰り返すから記者は繰り返し質問しているのに、「同じ質問と回答が続いている」という理由で強引に質疑を終了させる司会者。

サキシル西谷記者が抗議する中、自ら挙手して最後の質問者の権利を得ながら、具体性の低い質問(「通常登校再開にあたっての児童や保護者へのメッセージをお願いします」という内容)でお茶を濁して、市長と司会者をアシストしたように見える神奈川新聞 三木崇記者。

司会者が一方的に会見終了を宣言した後、たった一人で抗議するサキシル西谷記者の声が全く聞こえないかのように、一斉に平然と帰り支度を始めた大手メディアの記者たち。(私自身も会見終了時に抗議の声をあげることはできなかったので同罪ではありますが)


これまで画面越しでは分からなかったものまで見えてしまい、ショックも大きかったです・・・。

これらの会見終盤の異様な様子については、私が制作した以下の動画で確認できます。(動画の0分54秒〜)

私は終盤のやりとりを自分自身のカメラで録画しており、横浜市公式の録画映像と横並びで比較することで、その異様さがより伝わるように意識しました。

映像にはっきりと映っている司会者の女性は横浜市の職員です。第1回会見の時から高圧的な態度が目立っていましたが、今回は都合の悪い質問を粘り強く続けたサキシル西谷記者の質疑を打ち切るために別の記者に完全に命令口調で「手を挙げて!」と指示を出したり、想像以上に強烈でした・・・。(その様子は、上記動画の3分38秒で確認できます)

撮影した映像には映っていませんが、この司会者に対して男性職員が自らの腕時計を指差しながら会見終了を暗に指示したようにも見えました。

***

<大手メディアと権力者の癒着について>

大手メディアが権力者(今回の場合は市長や横浜市職員)と癒着しやすいという構造についても、画面越しに見るよりもリアルに感じることができた気がします。

冒頭に説明した通り、私はこの会見の参加基準を満たしていましたが、横浜市および横浜市政記者会(=大手メディアの記者で構成される、横浜市役所の記者クラブに相当する組織)がフリー記者の参加可否を判断する形になっているため、司会者(横浜市職員)や大手メディアの記者たちから睨まれるようなことはやりにくいな・・という意識は自然と働きます。

(とはいえ、先ほどのYouTube動画で思いっきり睨まれるような内容を公開してしまったので、もはや気にしても手遅れだと諦めてますが・・)

今回は参加を許可されたし、司会者も公平に指名してくれましたが、出入り禁止をくらったり、挙手しても指名してもらえない状況に追い込まれたら・・と思うと、厳しい質問はしにくいという心理は理解できます。

正直、私の場合はもともとは会見に参加するという発想自体がなく、偶然にも参加基準を満たしていると気づいたおかげで参加しています。もし出入り禁止を言い渡されても、これまでの状態に戻るだけで失うものは無いので、ある程度は好き勝手に振る舞える面があります。

しかし、横浜市政が担当業務である大手メディアの記者たちの場合、事情は全く違うでしょう。横浜市役所との関係が悪化して取材が難しくなってしまうと、会社員としての評価は非常に厳しいものになると想像できます。

私も本業の会社員の方で、ここまで周りと戦っているかと言われると、実はそうでもない気がします。この横浜市長記者会見においては、私の方が大手メディアの記者たちよりも制約が少ないだけの話だと思ってます。

***

次回に向けて

私は全く別の本業があり、平日昼間の記者会見に参加するには本業で休暇を取得するように調整する必要があるため、頻繁な会見参加は難しいです。日程が前の週の金曜日に発表される上、前日に日程変更されることもあるので。

今後も記者会見に参加する機会があるかどうはか正直わかりませんが、もし運良く機会が巡ってきた場合は、今回の反省を活かして会見に臨みたいと思います。

雑多で冗長な文章が続いて恐縮ですが、今回の本編は以上になります。

2021年10月12日 犬飼淳

***

以降は、今回の記者会見の質疑にあたって、私が事前準備した2テーマ分のカンペ(ゴール及びツリー構造の質問構成) 計2枚と、これらのカンペをもとに質疑中に考えていたことなどを掲載します。正直、付加価値があるかという微妙ですが、自分の手の内を見せることになり、あまり積極的に開示したくない内容のため有料会員のみに公開します。

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