【独自】ベネッセ、ESAT-J受験生の個人情報を強制入手直後から目的外利用の疑い

2014年に大規模な個人情報流出事件を起こしたベネッセ。同社が都立高校入試の英語スピーキングテスト(ESAT-J)で昨年に取得した個人情報を、あからさまに流用してダイレクトメールを郵送した疑惑が浮上。複数の保護者の情報提供に基づいて、詳細をリポートします。
犬飼淳 2023.04.11
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この記事を書いた理由

  • ベネッセは2014年に3500万件以上もの個人情報流出事件を起こした企業。今春の都立高校入試に活用された英語スピーキングテスト(ESAT-J)では、そのベネッセへの個人情報登録が必須のため、中学生・保護者は試験前から不安を感じていた。

  • 昨年7月〜9月の登録期間直後、ベネッセは入試で得た個人情報を自らの販促に目的外利用したと判断せざるを得ない事例が複数発覚し、その不安は的中した

この記事で理解できること

  • 英語スピーキングテスト(ESAT-J)で得た中学生の個人情報をベネッセがどのように目的外利用したのか

  • 保護者からの抗議に対して、ベネッセはどのように対応したのか

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3月1日に合格発表を迎えた都立高校入試。その合否判定に活用された英語スピーキングテスト「ESAT-J」をめぐって、入試の公平性や公共事業の透明性の観点で重大な問題が多々あったことは約半年にわたって繰り返しお伝えしてきました。

結局、受験生・保護者・専門家の反対の声を完全無視して東京都は入試活用を強行。「都政の暴走」と「都庁記者クラブの機能不全」という点で、神宮外苑再開発Colaboをめぐる問題にも繋がると言えます。

*問題の詳細(全体像、逆転現象)は配信済みの以下ニュースレターを参照ください

©️2022 Jun Inukai

©️2022 Jun Inukai

ESAT-Jの数えきれないほど多くの問題の一つ(上記スライドの⑩)として、受験生は一民間企業のベネッセに個人情報を登録しなければなりません。

ESAT-Jは都立高校入試の一環のため、受験生・保護者に登録を拒むという選択肢は無く、実質的な強制です。ベネッセのウェブサイトに登録しなければならない個人情報は以下の通り、必須項目に顔写真も含まれます。

ア 受験にあたっては、生徒は本人確認のために必要な、以下の個人情報を登録する。(*印がついている項目は任意)
・所属中学校名 ・組、番号 ・氏名 ・生年月日 ・顔写真 ・電話番号 ・Eメールアドレス(*)

ご存じの通りベネッセは2014年に実に3500万件以上もの個人情報流出事件を起こした企業です。受験生や保護者は個人情報流出のリスクに怯えながらも、志望校受験のために自らの個人情報を差し出さざるを得ませんでした。

そして、その不安は的中。「ベネッセはESAT-Jで入手した個人情報を自らの営業のために目的外利用したと判断せざるを得ない奇妙な出来事が起きた」と保護者から筆者に情報提供がありました。しかも、問題の出来事が始まったのは、個人情報を登録した直後の昨年10月。あまりにも、あからさまなタイミングでした。

*情報提供者は、自らもESAT-Jの問題を継続的に取材するフリーライター 黒坂真由子氏。中学3年生の子供が昨年11月にESAT-Jを受験しており、この問題の当事者でもある

今回のニュースレターでは、その顛末を時系列に沿って具体的に紹介します。

ベネッセからの計4回の回答の一部。説明が二転三転する、事実と異なる説明を繰り返す、一方的に対応を打ち切るなど、ベネッセの不誠実な姿勢が浮き彫りになった

ベネッセからの計4回の回答の一部。説明が二転三転する、事実と異なる説明を繰り返す、一方的に対応を打ち切るなど、ベネッセの不誠実な姿勢が浮き彫りになった

本編の目次

  • 登録直後の10月に届き始めたダイレクトメール

  • 抗議に対して事実と異なる回答を繰り返し、一方的に対応を打ち切るベネッセ

  • 抗議から2ヶ月も経過した後、大前提をひっくり返すベネッセ

  • 他の保護者からも同様の証言

*今回は完全独自の取材に基づいており、続きはサポートメンバーのみに限定公開します。通常と異なり、一定期間経過後も無料読者には公開しません。

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