【独自】インボイス個人情報漏洩の原因を「現行法上、変更できない」は本当か
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この記事を書いた理由
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インボイス事業者公表サイトで氏名を含む個人情報の全件ダウンロードは今現在も実質的に可能。その欠陥を国税庁は放置し続けている。
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根本原因である公表項目の必須・任意区分を改めることで部分的な改善は可能だが、国税庁はその提案すらも「現行法上、変更できない」と拒んでいる
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このまま今年10月の制度開始を迎えれば、ペンネームや芸名で活動するクリエーター(VTuber・YouTuber・漫画家・作家・アーティスト・俳優・声優 等)、本名を知る相手(家族、元パートナー、ストーカー、カルト宗教等)から逃げる個人事業主は本名バレ・居場所バレのリスクに晒され、廃業を検討せざるを得ない
この記事で理解できること
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インボイス事業者公表サイトの必須・任意区分を「現行法上、変更できない」とする国税庁主張の妥当性
インボイス発行事業者公表サイト(以降、「公表サイト」)の氏名を含む個人情報の全件ダウンロードに起因する本名バレ・居場所バレ問題。昨年9月に与党議員の要望後に国税庁が迅速に対応して解決したとされていましたが、実際は国税庁の対応がザル過ぎて解決していないことが発覚。今年2月3日の超党派議連ヒアリングで技術者が解説映像を交えて問題点、原因、改善策まで詳細に説明したにもかかわらず、その後も国税庁は問題を理解できないフリをしてまで改善対応に応じないという異様な状況が続いています。
これらの制度欠陥の根本原因の一つは、公表の必須項目は氏名、任意項目は屋号と定めたことにあります。現に、芸名で活動する声優・俳優と取引する日本俳優連合 事務局員の小林氏は実務担当者の視点で筆者にこのように語っています。
「実務担当者が公表サイトで登録番号を検索する際に最も知りたいのは、取引で日常的に用いる屋号(=芸名)。芸名さえ分かれば、登録番号の有効性は確認できる。逆に、本名は検索結果として表示される必要はない。そもそもインボイス発行事業者への登録時にe-Taxを経由する仕組みなのだから、国税庁側としては本名もマイナンバーも確認済みのはず。それにもかかわらず、公表サイトで改めて本名を公開する必要性が分からない。『公表サイトからの個人情報流出が原因で、アイドル声優などへのストーカー被害が発生したらどうするのか?』と国税庁に電話で問い合わせても、『事件が起こらないと対応できない』の一点張り。こうした懸念があるためインボイス登録をためらっている声優・俳優は大勢いる」
*問題の前提知識が無い場合は配信済みの以下3本の記事を適宜ご参照ください。
▼本名バレ・居場所バレに繋がる欠陥の詳細(芸名の俳優・声優と取引する日本俳優連合の実務に基づいて解説)
▼超党派議連ヒアリング(今年2月3日)での技術者の具体的提言の詳細
▼上記の提言を受けても問題を放置する国税庁の見解。本編はサポートメンバーのみ購読可
こうした問題意識に基づいて、今年2月3日のインボイス超党派議連ヒアリングで日本俳優連合 小林氏は改善を具体的に提案しましたが、国税庁(課税部 軽減税率・インボイス制度対応室長 福田あづさ氏)は「現行法上、できない」と拒否。
*該当シーンは上記Youtubeの18分32秒から視聴可能
【日俳連 小林】芸名を使っている以上、(事務局はインボイスの受け取り時に)芸名でしか確認できないです。(しかし、本名と芸名をセットで登録すれば)登録番号から本名がバレる。(現状の仕組みとは)逆に屋号を必須にして、本名は隠せないでしょうか?
【国税庁 福田】氏名に変えて屋号を公表することは、現行法上はできないとご理解頂ければと思います。
【日俳連 小林】ですから、それでは全く使えないデータベースになります。現に(公表サイトに)現在登録されている内容を見ると、屋号はほとんど入っていません。特に声優さんは(本名バレ・居場所バレに)気を遣って絶対入れないようにしています。そうなると、(インボイスを受け取った事務局は)番号の本人確認ができず、全く意味のないデータベースになっています。本名について、税務署は分かるが(公表サイトでは)公表しないようにできないでしょうか?
【国税庁 福田】最初のお答えになって恐縮ですが(中略)氏名に変えて屋号を公表することはできないとご理解頂ければと思います。
【日俳連 小林】それでは、ほとんどの声優さんは登録しなくなり、インボイス制度が成り立たないのではないでしょうか。
実務担当者の具体的な改善提案に対して、国税庁は最後まで「現行法上、できない」の一点張り。しかし、これまでの国税庁の情報セキュリティ対策の杜撰さを踏まえると、この質疑を現地で聞いていた筆者は「『現行法上、できない』という国税庁の主張は本当なのか?」という疑問を持ちました。そこで、その「回答根拠」と「必須・任意区分に関する検討経緯」を開示請求。結果、たった5枚のA4文書が開示されました。
今回のニュースレターでは、「開示された行政文書」と「国税庁職員への個別の聞き取り」によって明らかになった、国税庁見解の妥当性をお伝えします。
本編の目次
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国税庁に「回答根拠」と「検討経緯」を開示請求
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回答根拠として開示された、たった5枚のA4文書
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検討経緯が一切存在しない理由
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