【独自】傍聴で目撃した、ミソジニー全開のESAT-J質疑妨害

2023年2月9日、都議会の英語スピーキングテスト(ESAT-J)関連質疑で執拗に繰り返された都民ファスートの会 伊藤ゆう都議による質疑妨害。現地で傍聴した筆者が詳細をリポートします。
犬飼淳 2023.02.11
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この記事を書いた理由

  • 都立高校入試を目前に控える中、都議会で英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高校入試活用をめぐる問題が審議されたが、教育委員会はこれまで通り、問題点から目を背けて強行する姿勢を貫いた

  • さらに、ESAT-Jを推進する立場の男性都議が、ESAT-Jの問題点を指摘した女性都議4名の質疑中に執拗な質疑妨害をのべ約7時間以上にわたって繰り返し、その異常性が際立った

この記事で理解できること

  • 現地で傍聴した筆者が目撃した、質疑妨害の実態

  • 公式の中継映像には映っていない同席者(議員、都職員、都庁記者クラブ)の様子

***

これまでの経緯

*ESAT-Jの経緯を知らない方向けにおさらいします。すでにご存じの方は読み飛ばして下さい。

目前に控えている都立高校入試。その合否判定に活用される英語スピーキングテスト「ESAT-J」をめぐって、入試の公平性や公共事業の透明性の観点で重大な問題が多々あることを繰り返し伝えてきました。

*問題の詳細(全体像、逆転現象)は配信済みの以下2本のニュースレターを参照ください

山積みの問題を徹底的に無視して入試活用を強行する東京都教育委員会に対して、ESAT-Jに反対してきた各団体は1月30日に要望書を提出。

*要望書提出後の会見のノーカット映像は下記Youtubeで視聴可

・試験当日の音漏れの「実証実験」を東京都教育委員会、当会、第三者(マスコミ)を参加させて2023年2月21日(学力検査当日)より前に実施すること
・東京都教育委員会による「実施状況調査」を受験生、担当教員を対象に2023年2月21日(学力検査当日)より前に実施すること
入試改革を考える会・中止を求める会の主な要望内容
・ESAT-Jの採点過程がわかるもの、評価の根拠を開示すること(採点基準、採点の統計処理の方法と妥当性、6段階のグレードごとの解答例、各パートの問題別スコア)
保護者の会の主な要望内容

これらの要望書の回答期限を、ESAT-Jの審議を予定している都議会 文教委員会の前日(2月8日)にあえて設定することで、回答が無かった場合はESAT-Jに反対してきた都議が同委員会で徹底追及する構えでした。

結果、残念ながら想定した通り 東京都教育委員会から要望書への回答は一切無いまま、2月9日の都議会 文教委員会 当日を迎えました。筆者は同委員会の重要性を事前に認識していたため、現地で8時間以上(13時30分開会〜21時頃)にわたって傍聴

*一般枠の傍聴は先着4名のみと定員が少ないが、開始1時間以上前から並んで傍聴券を自ら入手

*閉会は、開会から約14時間後の翌日午前3時20分頃

***

教育委員会の答弁

当日、ESAT-Jにかねてから反対してきた会派(立憲・共産・ミライ会議)の都議4名は様々な観点で質問。

  • 前日が回答締切であった要望書になぜ回答すらしないのか

  • 2日前(2月7日)に突如として公表した受験者の採点ミスはなぜ起こったのか

  • これまで繰り返し指摘されてきた問題(音漏れ、GTEC実施自治体との不公平さ、試験監督教育の杜撰さ、前半組と後半組の平均点がほぼ同じであることの不自然さ、等)の検証はどうなったのか

しかし、残念ながら東京都教育委員会はこれらの問題に対して一貫して以下のような姿勢を続け、その異常性が際立つのみでした。

  • ESAT-Jの入試活用は予定通りに実施する

  • 要望書の内容に対応するつもりはない*特に、音漏れの実証実験については実施しないと明言

  • 今回の採点ミスはしっかりチェックしたので公表した8名以外には存在しない *しかし、そのチェック方法の詳細な説明は頑なに拒む

  • その他の数々の指摘も問題ない*しかし、その根拠は一切示さない

前半組・後半組の平均点が0.01点しか差がなく不自然である問題については、決定的な墓穴(約7万人が受験したにもかかわらず、たった8名の採点修正で平均点の小数点第2位が変動したと都は主張)を掘ったのでないかと感じる場面もありましたが、筆者が傍聴していた時間帯ではこれが唯一の収穫でした。

*詳細は筆者のツイート参照

***

伊藤ゆう都議の質疑妨害

本来であれば、これらの答弁の問題点を詳しく指摘するべきですが、現地傍聴で筆者は全く別次元の問題を目撃しました。ESAT-Jを推進してきた都民ファーストの会の伊藤ゆう都議が、ESAT-Jの問題点を追及する都議たちの質疑中に、執拗な質疑妨害を繰り返したのです。

  • 答弁者が質問に答えないために質問を繰り返さざるを得ない状況であるにもかかわらず、「質問のピントがズレている!」「地球が何時何分に何回回った時みたいな子供の言いがかりをするな!」等のまるで酔っぱらいのような意味不明な不規則発言を繰り返す

  • 時には、発言者の声が全く聞こえなくなるほどの大声で「撤回しろ!」等の罵声を浴びせる

  • こうした異常な質疑妨害を、のべ約7時間以上にわたって執拗に続ける

今回、ESAT-Jに反対の立場で質問した都議4名は全員女性であるため、40代後半の男性である伊藤ゆう都議のミソジニー(女性蔑視)の問題も含んでいると考えられます。

*(2023年2月18日追記)後日公開された公式映像をもとに自ら編集した質疑妨害の例は下記Youtubeで視聴可

ちなみに、文教委員会の構成を紹介すると、ESAT-Jに反対する立憲・共産・ミライ会議は全員女性。ESAT-Jに賛成する自民・公明・都民ファーストは、1名(入江のぶこ委員長)を除いて全員男性という構図。

都議会 文教委員会 名簿

都議会 文教委員会 名簿

伊藤ゆう都議ほど悪質・頻繁ではなかったとはいえ、ESAT-J賛成の会派の男性都議からは度々質疑を妨害する野次が飛び、それをESAT-J反対の会派の女性都議が受け続け、女性委員長(都民ファースト 入江のぶこ都議)は野次ではなく質問者を注意するという地獄絵図でした。

同委員会は約14時間に及ぶ長丁場となったうえ、東京都は録画映像をまだ公開しておらず全容が伝わりにくい状況にあるため、今回のニュースレターでは現地傍聴した筆者が質疑妨害の詳細をお伝えしていきます。公式の中継映像には映っていない同席者(議員、都職員、都庁記者クラブ)の反応にも適宜 言及します。

*慎重に公開すべき内容を含むため、続きは有料購読者に限定します。通常と異なり、一定期間経過後も無料購読者には公開しません。

*フリーランス記者の存在意義についてはリンクを参照ください

目次

  • 当日のタイムスケジュール

  • 質疑妨害の具体例

  • 伊藤ゆう都議の現地での様子(飲酒していたのか)

  • 自ら撮影した現地映像 公開に向けた東京都との交渉

  • 都庁記者クラブは何をしていたのか

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