【参院選2022】候補者の「良いところ」を知ろう!(比例代表 編)
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こんにちは。犬飼淳です。
参議院選挙の投開票が約2週間後の7月10日に迫りました。しかし、相変わらず大手メディアの選挙報道は少なく、候補者が誰なのかもよく知らない方が大半でしょう。
そこで今回のニュースレターでは、直近 約4年間で50件以上の国会質疑の視覚化を続けてきた筆者の経験を活かして、候補者の国会質疑での働きぶりを「良いところ」に絞って、お伝えします。具体的には2回(前回:選挙区、今回:比例代表)に分けて、候補者が関わった国会質疑を整理し、「質疑の概要」と「候補者の良いところ」を列挙していきます。
*投票時、2枚目の用紙に記入するのが「比例代表」。1枚目の「選挙区」と異なり、住民票がある都道府県は一切関係なく、「政党名」もしくは「比例代表で出馬している候補者名」を記入できる。誰が立候補しているのかは NHK特設サイト等で確認可。比例代表の仕組みは以下ツイート参照
注意事項
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「候補者の良いところ」は国会でどのような鋭い質問を行ったか、理不尽な委員会運営にどのように抗議したかという観点でまとめています。必然的に、与党と対決する立場の野党(立憲・共産・れいわ・社民)や無所属の議員が多くなっています。
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過去の国会質疑にもとづくため、今回紹介できるのは国会議員経験者に限られる上、計14名(選挙区8名・比例代表6名)にとどまります。他の候補者については自ら公約や演説を確認して、ぜひ「良いところ」を見つけてみて下さい。
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今回紹介する候補者の中には、過去に虚偽発言を行なったり、所属政党が問題のある判断をしても暗に従ったなど様々な「悪いところ」があることは百も承知です。しかし、今回はそうしたネガティブな情報にはいったん目を瞑って、ポジティブな情報だけに着目します。
*候補者名の五十音順に記載
有田芳生(立憲民主党)
2018年12月6日 参議院法務委員会 vs 安倍晋三総理 & 山下貴司法務大臣
<質疑概要>
実質的な移民政策である入管法(出入国管理法改正案)が参議院で強行採決された前日の質疑。技能実習生が2015~17年の3年間だけで69名も死亡(実習中の事故12名、自殺6名、殺害4名を含む)という衝撃の事実が明るみに出て、有田議員が追及するが、死亡原因の詳細は明らかにされないまま法案は成立してしまった。 *質疑中に使用した死亡事案一覧は蓮舫議員の同日のツイート参照
<候補者の良いところ>
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有田議員は69名死亡という衝撃的な事実をどのように総括するのかを安倍総理に問うも、なぜか指名していない山下法務大臣が答弁に立ち、質問と無関係な内容であからさまに時間稼ぎを図る。答弁中に有田議員は「総理に聞いているんです!」と何度も大声で抗議。しかし、山下法務大臣は完全に無視して一方的に答弁をまくし立て、与党の異常さを浮き彫りにした(動画の40秒頃〜1分54秒)
大門実紀史(共産党)
2022年4月26日 参議院 財政金融委員会 vs 鈴木俊一 財務大臣 & 奈尾基弘 審議官
<質疑概要>
インボイス導入後にシルバー人材センターおよび個人タクシーでどのような悪影響が出るのを具体的に追及。質問で示された懸念に対して政府は具体的に回答できず、何の対策もとっていないことが露呈した。
<候補者の良いところ>
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各業界でどのような悪影響が出るのかを現場の声にもとづいて具体的に指摘している。(シルバー人材センター・高齢者の問題は動画の12分34秒〜、個人タクシー・サラリーマンの問題は24分51秒〜)
辻元清美(立憲民主党)
2019年10月11日 衆議院予算委員会 vs 小泉進次郎環境大臣
<質疑概要>
パリ協定(温暖化抑制の国際的取り決め)からアメリカのトランプ大統領が脱退したことを受けて、環境大臣としての認識を質問。辻元議員が小泉環境大臣を安倍内閣の「消臭剤」と表現したことでも大きな注目を集めた。
<候補者の良いところ>
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これまで歴代政権を厳しく追及してきた実績はもちろんのこと、独特のユーモアや言葉のセンスがあり、今回も「消臭剤」「清涼剤」という言葉で小泉環境大臣を揶揄したことで自ら注目を集めさせた
2020年11月4日 衆議院予算委員会vs 菅義偉 総理
<質疑概要>
日本学術会議の任命拒否問題について菅義偉総理が「6名の任命拒否を決裁前に知っていたこと」を突如として認めた質疑。これまで「任命前の105名のリストは見ていない」としてきた菅総理の主張と真っ向から矛盾するため、大きな注目を集めた。
<候補者の良いところ>
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これまでと全く異なる主張(6名の任命拒否を決裁前に知っていた)を菅総理が突如として始めて委員会室が大混乱に陥る中、その答弁に基づいて誰から事前に説明を受けたのかまで一気に畳み掛けて確認し、回答(杉田副長官)を引き出している。(動画の1分43秒〜4分15秒)
田村智子(共産党)
2019年11月8日 参議院予算委員会 vs 安倍晋三総理&大塚参考人
<質疑概要>
桜を見る会が安倍総理の地元 山口県の有権者との親睦行事となっていたことを数々の証拠にもとづいて徹底的に暴露した質疑。後に大問題になる「参加者個人がホテルに会費を支払った」という荒唐無稽な答弁も飛び出し、桜を見る会問題において重要な質疑となった。
<候補者の良いところ>
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政党機関紙である赤旗の取材力をフル活用して、具体的な証拠(参加者のブログ、首相動静など)にもとづいて、桜を見る会の実態が地元有権者との親睦行事であることを次々に明らかにした。
2020年12月25日 参議院 議院運営委員会 vs 安倍晋三 元総理
<質疑概要>
桜を見る会を巡って不起訴処分となった安倍晋三 元総理が事実と異なる答弁の訂正についての申し出を行った翌日、衆参両院の議院運営委員会で安倍氏への質疑が計約2時間行われた。しかし、これまでの答弁のどこが誤っており、どのように訂正するのかすら説明できず、挙げ句の果てには新たな虚偽答弁と判断せざるを得ない回答も散見される。最後の質問者となったのは、約1年前(2019年11月8日)に追及のきっかけとなる重要な質疑を行った張本人・田村智子議員で注目を集めた。
<候補者の良いところ>
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虚偽答弁の訂正のために行ったはずの質疑ですら、答弁拒否や虚偽答弁を繰り返す安倍 元総理に対して、その度に「それは質問の答えではない」「◯◯の話を聞いているんじゃない。△△を聞いているんです」と粘り強く指摘して、軌道修正を試みている。
福島みずほ(社民党)
2018年12月4日参議院厚生労働委員会 vs内閣府 石川室長
<質疑概要>
水道民営化によって料金高騰や品質低下が問題になり再公営化したフランス・パリ市の視察に関する内閣府の不自然な動き(視察報告書が存在しない、失敗理由を聞いたにもかかわらず報告すらしない、等)について質問。
<候補者の良いところ>
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なかなか質問に答えない回答者に対して、その度に厳しく指摘して、回答(パリで誰と面会したのか、パリの失敗理由を聞き出したのか)を引き出している。
藤末健三(自民党)
2022年3月16日 参議院財政金融委員会 vs重藤哲郎 国税庁次長
<質疑概要>
インボイスによってペンネーム・芸名で活動するクリエーターの本名がバレてしまう問題について質問。問題の深刻さに反して、一般的な認知度は低かったため、後に大きな注目を集める。
<候補者の良いところ>
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インボイスをめぐる問題点を取り上げる国会議員は共産党を中心に複数いたが、ペンネーム・芸名で活動するクリエーターの本名がバレるという問題を取り上げたのは、藤末議員ただ一人。この質疑がなければ、問題がここまで広く知られなかった恐れがある。(動画の5分28秒〜7分24秒)
*藤末議員はインボイスについて問題意識を持って質問しているが、所属する自民党はインボイス導入を進めてきた立場であることには注意が必要
今回のニュースレターは以上になります。
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2022年6月28日 犬飼淳
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