【独自】東大は政治に影響を与える教室使用はNGなのか?(1)

2024年4月29日、大学の自治侵害に懸念を抱く関係者が東京大学で開催したシンポジウム。皮肉なことにその会場使用をめぐって、大学の自治侵害は関係者の想像を超える形で進んでいたことが露呈。
犬飼淳 2024.06.17
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この記事を書いた理由

  • 2004年の国立大学法人化以降、大学の自治侵害は着実に進み、キャンパス内での言論の自由は低下の一途を辿っている

  • 直近では、今年4月29日の東京大学でのイベント開催をめぐって教員の想像を超える形で大学の自治侵害が進んでいたことが露呈。さらに、6月以降には学費値上げ反対運動でも深刻な問題が発生し始めている

この記事で分かること(冒頭)

  • 4月29日に東大で開催されたイベントで露呈した、大学の自治侵害の悪化を示唆する問題の概要

この記事で分かること(本編)

  • 東大が「政治の方向に影響を与える」目的の教室使用を禁止したことは事実なのか

  • それはどのような根拠に基づいているのか

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「稼げる大学」を加速させる国立大学法人法改正をめぐって、昨年12月に与党は立法事実を示さないまま強行に成立させた上、今年3月には運営方針会議に学外委員を入れて重要事項は学外委員の承認を得るという方針を総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で決定。本来であれば法案の審議中に国会で明らかにすべき重要な方針追加を、法案成立後に省庁の会議で独断で決定したことになり、悪質な「騙し討ち」と言えます。当然ながら大学関係者からは戸惑いと怒りの声が沸き起こり、「「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワーク」(以降「大学横断ネット」)は4月7日に撤回を求める声明を発表。さらに、4月29日には「「稼げる大学」はどこへ行く? アカデミック・キャピタリズム再考」と題したイベントを東京大学本郷キャンパスの構内(一般教室)で開催。

「稼げる大学」はどこに向かおうとしているのか?それは本当に研究力の向上や「イノベーション」につながるものか?与党政治家と官僚や特定の大企業が癒着しながら経済を支配するクローニー・キャピタリズム(縁故資本主義)と結びついて研究不正を蔓延させ、研究力を低下させ、大学の私物化を推進するだけではないか? 今日の大学をめぐる状況があまりにも深刻であるだけに、できるかぎり根底的。原理的な次元にさかのぼって学術的に考える機会としたい。

当日は稼げる大学と密接に関係する「アカデミック・キャピタリズム」(大学資本主義) をサブテーマに据えて、2部構成で実施。

  • 1部 シンポジウム *パネリスト3名の発表、コメンテーター・一般参加者を交えた意見交換など

  • 2部 それぞれの現場からの問題提起 *当事者5名(広島大学、千葉大学、大阪公立大学、学生有志、他1名)の生々しい告発や意見表明

*筆者が撮影・公開した第1部の映像は以下YouTubeで公開

ところが、このイベントをめぐって予想外の出来事が起きました。

主催者である大学横断ネットは過度な「選択と集中」に危機感を抱いて2022年から活動を始めた大学教員を中心とするグループのため、当然ながら大学関係者の中でも大学の自治侵害に特に強い問題意識を持ちます。しかし、その主催者の想定を超える形で大学の自治侵害が進んでいたことが今回のイベントでの東京大学の教室使用許可(管轄は東京大学 教育学部)を通して露呈したのです。

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教室使用許可問題の概要

当日の会場使用を東京大学に申請したのは、大学横断ネットの呼びかけ人の1人である隠岐さや香教授呼びかけ人は全国各地の大学教員などから構成されており、東京大学に所属するのは隠岐さや香教授のみのため、必然的に当日運営に関する東京大学との折衝の窓口を担いました。しかし、手続きを進める中で、自らが所属する東京大学 大学院教育学研究科に提出した「教室使用願 兼 許可書」のフォーマットに「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張または反対すること」が目的でないことを求める記載があり、さらに目的に反する場合は教室使用許可を取り消したり、イベントを中止させることを匂わせる記載まであったのです。

この状況がいかに異常で滑稽であるかは、イベントの冒頭で大学横断ネットの呼びかけ人の1人である指宿昭一弁護士が冒頭挨拶で示した以下の見解を聞けば、お分かり頂けるはずです。

今日、政策に影響を与えるシンポジウムを学内でやってもらったら困ると。そういう微妙な文が(教室使用願に)入っていると。政策に影響を与える言論が学内で出来ないとしたら、あらゆる研究、教育活動、授業もできないですよね。全ての授業は何らかの意味で政策に影響を与える可能性があります。何も言えなくなる。学生を前にして90分ずっと黙ってなきゃいけなくなる。だから、こんなことは気にせずに「大学の自治」や「学問の自由」に基づいて我々は発言すべきだと思います。

本編の目次

  • 問題の文書実物

  • 東大が主張の盾にする規則

  • 部局ごとにバラバラな運用

  • 改善に向けた今後の動き

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