第二の日本学術会議問題。国立大学法人法改正による大学教育崩壊の全体像
*既に法案は国会で審議入りして最短で11月15日には採決の可能性があり、緊急性・公共性が高いと判断したため、公開直後から無料読者にも全文を公開します
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この記事を書いた理由
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2023年9月に突如として発覚した国立大学法人法の改正案は従来の議論から大きく逸脱しており策定プロセスが不明な上、日本の大学教育を崩壊させるほどの問題点を多く孕んでいる
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大学関係者にすら改正案の問題点が十分に周知されていない中、政府は早ければ来週(11月15日)にも法案採決を狙っている
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このままでは大半の国民が問題点に気付くことすらないまま、「大学の自治」に実質的な死刑宣告が下されてしまう
この記事で理解できること
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2004年の国立大学法人化から始まった、大学の「失われた20年」の経緯
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改正案で最大の懸念事項である「合議体」が、第二の日本学術会議 任命拒否問題となる理由
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改正案による「稼げる大学」の過熱が「学問の多様性喪失」や「学生の教育環境悪化」も引き起こし、日本の大学教育全体を崩壊させていく問題の全体像
突如として巻き起こった国立大学法人法改正をめぐる問題を今回は初めて取り上げます。あまりにも急だったため、ほとんどの方は問題自体を認識していないと思います。実は筆者もこの問題をハッキリと認識したのはわずか3日前(11月7日)でした。
まずは直近2ヶ月の動きを紹介します。
9月7日:同日に開催されたCSTI(内閣府 総合科学技術・イノベーション会議)の検討資料を通して、従来の国際卓越研究大学をめぐる議論から大きく逸脱した内容で国立大学法人法の改正が検討されていると発覚。
9月22日~10月27日:文科省が国立大学協会の各地区の支部会議等で改正案を順次説明。実態が徐々に大学関係者に浸透し始める。(9月22日 九州、9月29日 近畿、10月10日 関東・甲信越、10月12日 中国・四国、10月13日 理事会、10月17日 北海道、10月27日 東海・北陸)
10月17日:自民党部会で改正案を審議
10月31日:政府は改正案を閣議決定
11月7日:国会で改正案が審議入り
11月14日(予定):国会で参考人質疑
11月15日(予定):国会で法案採決の可能性あり
国立大学協会への説明完了から1ヶ月も経たないうちに政府は採決を狙っていることになり、この法案の異常性を表していると言えます。
こうした状況に危機感を抱いた大学関係者の有志グループ(「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワーク)は11月7日に衆議院第二議員会館で記者会見を開催。法案の問題点を具体的に説明しました。
今回のニュースレターでは、筆者が同会見等で得た知見に基づいて問題の全体像を整理していきます。
ちなみに、この問題を深掘りする中で筆者が最近取り組んできた他のテーマと共通点が多いことにも気付きました。例えば「公教育の破壊」という点では、英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高入試活用と同じですし、「公共の財産が民間の過度な利益追求に巻き込まれて本来の価値を失おうとしている」という点では、神宮外苑や横浜花博を始めとする再開発問題にも繋がります。また、「政府による学問への人事介入」という点では日本学術会議の任命拒否と全く同じ構図です。このように、今回の国立大学法人法改正は現在の日本が抱える様々な問題と幅広く関係します。
*既に法案は国会で審議入りして最短で11月15日には採決の可能性があり、緊急性・公共性が高いと判断したため、公開直後から無料読者にも全文を公開します。メールアドレス登録のみで無料で全て読めるので、お気軽にご登録ください。
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- 国立大学法人化による、大学の「失われた20年」の経緯
- 大学自治の崩壊を加速させる最大の懸念事項「合議体」
- 「稼げる大学」の過熱による大学教育崩壊の全体像
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