役人の隠蔽(1)たった23日で証拠メールを廃棄する東京都

役人がありえない理由で開示請求を無効化した実例を通して、情報隠蔽の手口を紹介するシリーズ。第1回は、わずか23日前の英語スピーキングテスト(ESAT-J)関連メールを「廃棄済み」と主張する東京都報道課と、隠蔽に加担する都庁記者クラブを紹介。
犬飼淳 2023.03.20
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この記事を書いた理由

  • 行政文書の開示請求は、国民の「知る権利」を守る重要な手段である。行政機関(官公庁、自治体 等)の情報公開の透明性が落ちた昨今、その重要性は一段と増している

  • しかし、あり得ない理由で開示請求を妨害する事例が後を絶たず、役人にとって不都合な情報は容易に隠蔽されている

この記事で理解できること

  • 英語スピーキングテスト(ESAT-J)をめぐる不都合な情報の報道発表でフリー記者を排除するために東京都はどのような詭弁を用いたか

  • 詭弁の実態を隠すため、どのようなありえない理由で東京都報道課は筆者の開示請求に「非開示決定」を下したか

  • 都庁記者クラブは東京都の隠蔽にどのように加担したか

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筆者は昨年末から様々な行政機関(国税庁、東京都、横浜市、世田谷区、等)に自ら開示請求するようになり、対応方針に様々な特徴があることが見えてきました。また、ありえない理由で非開示決定を下すケースが想像以上に多いことにも大変驚きました。そこで、筆者が自ら経験した「ありえない」事例の数々をシリーズ形式で不定期にお伝えすることで、役人の情報隠蔽の手口を共有したいと思います。今回は、継続的に取り上げてきた英語スピーキングテスト(ESAT-J)に関連して、東京都報道課の対応に焦点を当てます。

*行政文書の開示請求の流れを全く知らない場合は、東京都の例を参照ください。各機関によって電子申請の導入有無、手続き方法などに細かい差異はありますが、大きな流れは同じです。請求から決定までの期限は、自治体は14日以内、官公庁は30日以内。

「『レク』であって『会見』ではない」という詭弁

山積みの問題を放置したまま学力検査(2月21日)を強行しようとしていた真っ最中の2月7日、東京都教育委員会は突如として録音不具合による採点ミスと8名の採点修正を発表

当日の正午12時過ぎ、午後に本件の会見を東京都教育委員会が行うらしいという情報を筆者は市民からのツイートで知ります。

まゆりんtakada
@lisamayu0317
@jun21101016 @kaoruishida
お世話になります。これ以上の情報がなくてすみませんが、本日7日午後、可能ならよろしくお願いします。
#ESATJは中止を
まゆりんtakada @lisamayu0317
本日午後から都教委が記者対象に説明するとのこと。 出席可能な記者さん、鋭い質問をお願いします。 #ESATJは無効 https://t.co/0Ih1XMQhmD
2023/02/07 12:23
6Retweet 6Likes

これを受けて、13時頃に東京都報道課に問い合わせたものの、「本日午後に教育委員会がESAT-Jの件で会見を開く予定は無い」と一蹴。

犬飼淳
@jun21101016
東京都 報道課に13時過ぎに電話確認しましたが、「本日午後に教育委員会がESAT-Jの件で会見を開く予定は無い」とのことでした。

「その後で開催が急に決まった」という理屈で開催する可能性はありますが・・。
*本件とは無関係ですが、これをフリー記者排除の常套手段とする自治体(横浜市)もあり
まゆりんtakada @lisamayu0317
@jun21101016 @kaoruishida お世話になります。これ以上の情報がなくてすみませんが、本日7日午後、可能ならよろしくお願いします。 #ESATJは中止を https://t.co/6z6rd0vGtC
2023/02/07 13:44
42Retweet 58Likes

ところが、当日夜(18:36)に都議から、まさに私が電話で問い合わせていた13時台に会見(レク)が開催されていたとツイートで情報共有。

竹井ようこ 東京都議会議員(小平市)
@takeiyo
@jun21101016 13時から記者「レク」が開催されたようです…
2023/02/07 18:36
2Retweet 5Likes

いったいどういうことなのか。

以下2つの可能性を例示して東京都報道課の見解を問い合わせたところ、翌日午前に驚くべき返信が返ってきました。

  • 電話対応した職員が会見を行なっていた事実を知らなかった

  • 「会見」ではなく「レク」のため別物と判断した

筆者から東京都報道課へのメール(2023年2月7日)および返信メール(翌8日)

筆者から東京都報道課へのメール(2023年2月7日)および返信メール(翌8日)

なんと東京都報道課は、「『会見』ではなく『レク』である」と判断したため、私が電話で問い合わせた真っ最中に開かれていた会見(レク)の存在を隠したという詭弁を堂々と主張してきたのです。

しかし、翌9日の都議会 文教委員会で、早々に矛盾が明らかになります。フリー記者を実質的に排除して都庁記者クラブのみを対象に2月7日に会見(もしくは記者レクチャー)を開いた問題を都議に追及されると、教育庁 瀧沢部長は「7日には『会見』を開いて、記者の皆さんにしっかり説明しました」と答弁。「会見ではなくレク」と主張する報道課の回答と、真っ向から矛盾。

また、筆者が都庁を訪れた際に報道課職員に「会見」と「レク」の定義の違いを自ら問い質したこともありますが、明確な回答は返ってこず、東京都は「会見」と「レク」という言葉遊びを都合よく使い分けている実態が改めて露呈しました。

結局、問題の2月7日の会見(もしくは記者レクチャー)の実施はいつ決まったのか。

なぜ「レクであって会見ではない」という詭弁を用いてまで筆者を含むフリー記者を排除したのか。

当日、東京都 報道課、教育委員会、都庁記者クラブはどのようなやり取りをしていたのか。

これらの疑問を明らかにするため、筆者が開示請求したところ、東京都はまさに「ありえない」理由非開示を決定。都庁記者クラブも「黙認」という形で隠蔽に加担しました。

©️2023 Jun Inukai

©️2023 Jun Inukai

*都庁記者クラブを構成する主なメディアは朝日新聞、NHK、共同通信、産経新聞、時事通信、TBS、テレビ朝日、テレビ東京、東京新聞、TOKYO MX、日刊工業新聞、日経新聞、日本テレビ、フジテレビ、毎日新聞、読売新聞など

本編の目次

  • 開示請求内容

  • ありえない非開示決定 〜わずか23日前のメールの廃棄を主張〜

  • 問題のメールをやり取りした都庁記者クラブの認識

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