【独自】インボイス個人情報問題の国税庁対応はザル。今も氏名を含む全件データは取得可能(1)

昨年9月に大きな注目を集めたインボイスの個人情報流出問題。与党議員の要望後に国税庁が迅速に対応して解決したとされていたが、実際は対応がザル過ぎて穴があることが判明しました。
犬飼淳 2023.02.02
サポートメンバー限定

今回のニュースレターは個人情報の悪用を助長する恐れがあるため、情報の抜き取り方法に関する核心部分の記載を当初は控えていましたが、告発(2023年2月3日 超党派議連公開ヒアリング)から1週間が経過したことを受けて、210日より後半(個人情報を全件取得できる仕組み、原因)を追記しました。

***

このニュースレターはフリー記者の犬飼が「大手メディアが報じない読み応えのある検証記事」を月に6 本以上(目安)配信します。皆さんの生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を、正しく理解できるように分かりやすく解説しています。

読者の有料登録によって運営されており、利害関係に縛られず取材・検証を日々行っており、総理大臣記者会見にも出席しております。有料登録(月額600円)いただくと、以下の特典を得られます。

  • 有料記事を過去配信も含めて全て購読できる

  • 記者会見での質問内容をリクエストできる

  • 今後扱ってほしいテーマをスレッドで要望できる

有料登録のおかげで私は継続しての運営が可能になり、より多くの報じられることのない事実を検証することができます。応援いただける方はぜひご登録をお願いいたします。

*ニュースレターの重点テーマ、特に反響が大きかった過去のコンテンツはリンクを参照ください

***

この記事を書いた理由

  • インボイス制度の問題の一つとして注目を集めていた氏名を含む個人情報の全件ダウンロードは、昨年9月に与党議員(赤松健氏、山田太郎氏)の要望後に国税庁が迅速に対応して解決したとされていた

  • しかし、実際はその対応がザル過ぎて解決していないという衝撃的な実態が判明した

この記事で理解できること

  • インボイス発行事業者の氏名を含む個人情報全件ダウンロードは今現在も実質的に可能

  • 昨年9月にあたかも問題が解決したかのように喧伝した与党議員、メディアの情報発信は不用意であった

***

これまでの経緯

インボイス発行事業者の氏名を含む個人情報の全件ダウンロードが可能な問題については、芸名で活動するクリエーター、本名を知る相手(家族、元パートナー、ストーカー、宗教)から逃げる個人事業主、有名人などにとって特に深刻なため、大きな注目を集めていました。

*問題の全体像に占める個人情報流出の位置付けは、筆者のニュースレター「国民全員に悪影響が連鎖するインボイス。被害の全体像」(2022年9月29日) 参照

この問題をめぐっては、昨年8月に市民団体が財務省・国税庁への申し入れで改善を求めたにもかかわらず、ゼロ回答

ところが、昨年9月22日に与党議員(赤松健氏、山田太郎氏)が国税庁に要望すると、なんと当日中に全件ダウンロードが停止。

赤松 健 ⋈(参議院議員・全国比例)
@KenAkamatsu
速報。インボイス(の本名バレ問題)の件で、国税庁の公表サイトからのデータDLが停止された事を確認しました。
invoice-kohyo.nta.go.jp/download/index…
今後の対応は、週明けに改めて国税庁に確認した上で各団体に報告します。国税庁の早めな対応は評価しますが、まだまだ最初の一歩。今後も気を緩めず行きます!
赤松 健 ⋈(参議院議員・全国比例) @KenAkamatsu
15時から山田太郎事務所と、インボイス(の特に本名バレ問題)について、漫協・JAniCA・日俳連を招いて国税庁に申し入れ。「氏名を含む個人情報を不特定多数が自由にダウンロードできる」のは異常事態です。各団体から懸念や改善要請が出て、国税庁からも「前向きに検討する」との正式回答を得ました。 https://t.co/LXbEHuOFm2
2022/09/22 19:39
12400Retweet 18956Likes

4日後(9月26日)には全件ダウンロードできるデータから個人情報(氏名・所在地・屋号等)を抜いて公開を再開。これまでとは一転して異様にスピーディーな展開を見せました。

赤松 健 ⋈(参議院議員・全国比例)
@KenAkamatsu
インボイス(の本名バレ問題)の件で、国税庁より連絡。全件データ(個人)から氏名・所在地・屋号・旧姓などの情報を丸ごと削除した上で、公表サイトでDL再開されました。
invoice-kohyo.nta.go.jp/download/index…
この形でも登録番号の有効性は確認できる上、webAPI(認証を強化)は生きていて企業も困らないはず。
赤松 健 ⋈(参議院議員・全国比例) @KenAkamatsu
速報。インボイス(の本名バレ問題)の件で、国税庁の公表サイトからのデータDLが停止された事を確認しました。 https://t.co/ygD6WYT20X 今後の対応は、週明けに改めて国税庁に確認した上で各団体に報告します。国税庁の早めな対応は評価しますが、まだまだ最初の一歩。今後も気を緩めず行きます! https://t.co/scfUq8xyzR https://t.co/LZUse2ne6t
2022/09/26 19:56
3005Retweet 5149Likes

また、9月22日の赤松健議員の報告ツイートのわずか1時間後、まだ具体的な改善方法すら不明の段階で朝日新聞があたかも身バレ問題が解決するかのように報道。 *報道の異様な早さから判断して、事前に財務省・国税庁からリークがあったと見られる

このように非常に奇妙な展開を辿ったため、「インボイス反対を掲げて参議院選挙に当選した自民党 赤松健議員は、この個人情報問題の改善を大々的に演出することで、むしろインボイス導入を後押ししているのではないか」という疑念を筆者も含めて多くの方々が抱きました。

犬飼淳
@jun21101016
懸念していた動き(個人情報流出に絞った極めて部分的な改善)が現実になりそうなので繰り返しますが、インボイス問題の本質は個人情報流出ではありません。

「税の押し付け合い(しかも弱い立場が押し付けられやすい)」と「事務負担の膨大な増大」です。
犬飼淳 @jun21101016
個人情報流出は関心が高いので今回の記事で取り上げましたが、残念ながらインボイス問題の本質では あ り ま せ ん。 本質的な問題(税の押し付け合い、膨大な事務負担等)の財務省見解は #theletter で公開してます。 (こちらも膝から崩れ落ちる内容なので閲覧注意) https://t.co/3EqYNTjPRi
2022/09/22 22:35
4530Retweet 4179Likes
***

問題が解決していないと発覚

そして、この懸念は的中したと言えます。

年が明けて1月、筆者のもとに「インボイス発行事業者の個人情報の全件ダウンロードは今現在も実質的に可能」という衝撃的な情報提供が寄せられたのです。筆者が方法を確認したところ、確かにその通りでした。

ちなみに2023年1月31日時点の個人事業主の登録数は約56万件。インボイス発行事業者公表サイトの情報をもとに「ある操作」を行うことで、氏名、所在地、屋号などの個人情報を含む全件データを約56万件も取得できるのです。筆者が昨年9月10日に公開した記事で指摘した個人情報をめぐる様々な懸念は今も解決していないとも言えます。

復元した個人情報。画像ではモザイクをかけているが、実際はモザイク無しで指名、所在地、屋号などがセットになったデータを数十万件単位で取得可能

復元した個人情報。画像ではモザイクをかけているが、実際はモザイク無しで指名、所在地、屋号などがセットになったデータを数十万件単位で取得可能

明日(2月3日)12時〜予定の超党派議連公開ヒアリングでは、この問題について技術者が説明予定なので、ぜひご注目ください。

これ以降、現時点で明かせる範囲で、この問題の詳細をお伝えします。

*個人情報の悪用の可能性を踏まえて、公開範囲は有料購読者に限定します。通常と異なり、一定期間経過後も無料購読者には公開しません。

*有料登録(月額600円)すると、今後も継続して発信予定のインボイスについて、いち早く全ての情報を入手できます。さらに、過去の配信分も含めて有料コンテンツが全て閲覧できます。無料読者と有料読者の提供価値の詳細についてはリンクを参照ください。

これ以降の目次

  • 氏名を含む個人情報を全件取得できる仕組み

  • 緊急対応がザルになっている原因

  • 改善策の具体的提案

  • まとめ(この記事で理解できたこと)

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、1778文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

読者の方にはこんな内容を直接お届けしてます。

・政策や報道の問題点を検証
・基本週次の配信
・いつでも配信停止可
・読みやすいレターデザイン
サポートメンバー限定
虚偽報道で共同親権導入を後押ししたメディアの記録
サポートメンバー限定
「インボイスは廃止一択」出版の裏話(1)
サポートメンバー限定
【独自】能登半島地震 渋滞の定量データ(3)
読者限定
共同親権導入後に別居親の同意が必要な範囲の「広さ」と「曖昧さ」が招く大...
サポートメンバー限定
【独自】隠された神宮外苑再開発(5)東京都とJSCの極秘協議(2016...
サポートメンバー限定
【独自】公文書が存在しない国立大学法人法改正案の検討プロセス(2)
サポートメンバー限定
【独自】「訂正」の域を超えた、志賀原発トラブルの北陸電力による「隠蔽」...
誰でも
初の著書「インボイスは廃止一択」出版のお知らせ