シリーズ「役人の隠蔽」(5)整合性を完全無視して要望書対応の記録が無いと主張する東京都
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この記事を書いた理由
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行政文書の開示請求は、国民の「知る権利」を守る重要な手段である。行政機関(官公庁、自治体 等)の情報公開の透明性が落ちた昨今、その重要性は一段と増している
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しかし、あり得ない理由で開示請求を妨害する事例が後を絶たず、役人にとって不都合な情報は容易に隠蔽されている
この記事で理解できること
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東京都教育委員会は英語スピーキングテスト(ESAT-J)の改善を求める要望書を時間稼ぎした挙句、ゼロ回答で済ませたこと
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さらに、従来の開示請求対応との整合性を完全無視してまで、その対応経緯の開示も拒んだ
「役人の隠蔽」に焦点を当てたシリーズ企画の第5回として、英語スピーキングテスト(ESAT-J)の改善を求める要望書対応を取り上げます。3月1日に合格発表を迎えた都立高校入試の合否判定に活用されたESAT-Jをめぐって、入試の公平性や公共事業の透明性の観点で重大な問題が多々あったことは約半年にわたって繰り返しお伝えしてきました。
*ESAT-Jの前提知識が無い場合、theletter「高校入試の「公平性」を破壊するESAT-J 問題の全体像」(2022年11月30日)を適宜参照ください
東京都は一貫してあらゆる問題を無視し続けたため、学力検査を翌月に控えた1月30日、各市民団体(入試改革を考える会・中止を求める会・保護者の会)は東京都へ以下の要望書を提出。



入試改革を考える会・中止を求める会の連名による要望書の主な内容
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試験当日の音漏れの「実証実験」を東京都教育委員会、当会、第三者(マスコミ)を参加させて2023年2月21日(学力検査当日)より前に実施すること
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東京都教育委員会による「実施状況調査」を受験生、担当教員を対象に2023年2月21日(学力検査当日)より前に実施すること
保護者の会の要望書の主な内容
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ESAT-Jの採点過程がわかるもの、評価の根拠を開示すること(採点基準、採点の統計処理の方法と妥当性、6段階のグレードごとの解答例、各パートの問題別スコア)
*提出当日(1月30日)、要望書の内容を説明した記者会見の様子は以下の映像で視聴可能
各市民団体は都議会の日程も考慮して、回答期限は10日後(2月8日)に設定。翌9日に都議会の文教委員会でESAT-Jについて審議予定であり、期日までに回答が無かった場合は議会での更なる追及を可能にする計画でした。
*余談ですが、その都議会ではESAT-Jを推進する都民ファースト議員が常軌を逸した野次で質疑妨害する事件が発生。詳細は現地で傍聴した筆者のリポートを参照ください
結局、回答が届いたのは29日後の2月28日。すでに都議会(2月9日)どころか学力検査(2月21日)も終了した後だった上、その内容は完全なゼロ回答でした。

drive.google.com/drive/folders/… ESAT-J 公開質問状 - Google Drive Skip to main content Keyboard shortcuts Accessibility feedba drive.google.com

東京都教育委員会はこのゼロ回答をつくるために約1ヶ月も一体何をしていたのか。
この疑問を明らかにするため、筆者が本件の対応経緯を開示請求したところ、東京都教育委員会は対応期限を60日に延長した挙句、まさに「ありえない」理由で非開示を決定。散々時間稼ぎした挙句、ゼロ回答で終わらせた要望書と全く同じ対応でした。
今回のニュースレターでは、その「非開示理由」と「類似案件との対応の違い」で浮き彫りになった、東京都教育委員会の異常性を改めてお伝えします。
本編の目次
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開示請求内容
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60日の延長による時間稼ぎ
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整合性を完全無視した非開示決定の意味
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