【都知事選2024】「共産党と連携したから蓮舫氏は支持を失った」は本当か

蓮舫氏が都知事選で落選した理由を「共産党と協力したために支持者が離れた」「野党共闘は失敗だった」とする主張は正しいのか。直近の選挙での野党共闘4党(立憲・共産・社民・れいわ)の得票数に基づいて検証します。
犬飼淳 2024.07.12
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この記事を書いた理由

  • 2021年の衆院選以来、野党共闘の候補者が選挙戦で苦戦する度にテレビ・新聞がその原因を「共産党との連携と一方的に決めつけて総括することが3年にわたって執拗に続けられている

  • 直近の都知事選においてもテレビ・新聞は一切の定量的根拠を示さないまま、これまで同様の短絡的な総括を繰り返し、「共産党との連携は失敗」という不確かなイメージを拡散している

この記事で理解できること

  • 直近の主な選挙(2020年都知事選、2022年参院選 東京選挙区、2024年衆院補選 東京15区、同年都議補選)から導かれる、東京都の野党共闘4党(立憲・共産・社民・れいわ)得票数のポテンシャル

  • そのポテンシャルに対して、都知事選の蓮舫氏得票数のギャップを示す数字

  • そのギャップを生み出した原因に、共産党連携が含まれるのか否か

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7月7日投開票の都知事選は現職・小池百合子氏の圧勝による3選という結果に終わりました。上位5名の得票数は以下の通りです。 *()内は得票率

小池百合子 2,918,015票(42.4%)
石丸伸二 1,658,363票(24.1%)
蓮舫 1,283,262票(18.7%)
田母神俊雄 267,699票(3.9%)
安野貴博 154,638票(2.2%)

現職再選は筆者もある程度は予想(覚悟)していたものの、つい数ヶ月前までほとんどの都民は名前も知らなかったであろう石丸伸二氏(安芸高田市 前市長)が蓮舫氏の得票数を約37万票も上回ったことには多くの方が驚いたのではないでしょうか。筆者も同様です。

知名度や実績の面で小池氏と対等に戦える候補と目されていた蓮舫氏が、当選どころかほぼ無名の新顔にすら負けたことを受けて、今回の都知事選は「失敗」と総括する声も聞かれます。そして、その原因は「共産党と連携・協力したために支持者が離れた」として、「野党共闘は失敗。次の選挙では共産党との選挙連携は見直すべき」という論調の報道がテレビ・新聞から相次いでいます。

これらの報道は見出しでは蓮舫氏失速の原因が共産党との連携であると決め付けていますが、記事の中身を読めば分かる通りその主張を証明する定量的・客観的な根拠は皆無です。つまり、ただの憶測に過ぎないのです。

そもそも初めての本格的な野党共闘と言える2021年の衆院選以来、野党共闘の候補者が選挙戦で期待以上の成果を少しでも出せないとテレビ・新聞が原因を「共産党との連携」と短絡的に総括することは、実に約3年にわたって執拗に続けられており、もはや使い古されたプロパガンダの域に達しています。

現に、筆者が2021年衆院選で野党が候補者を一本化した220小選挙区の得票を定量的に検証した結果は真逆でした。むしろ野党共闘による候補者一本化は、野党(立憲・共産・れいわ・社民)が勢力を伸ばす上で絶大な効果を発揮しており、与党(自民・公明)の大きな脅威になっているのです。だからこそ野党共闘を崩そうと必死なのでしょう。

*詳細は2021年11月7日に配信した下記ニュースレター参照

そこで今回の都知事選においても、「共産党と連携したから支持を失った」という主張に妥当性があるのかを定量的に検証します。具体的には、直近の主な選挙(2020年都知事選、2022年参院選 東京選挙区、2024年衆院補選 東京15区、同年都議補選)から導かれる東京都での野党共闘4党(立憲・共産・社民・れいわ)の得票数のポテンシャルを仮算出し、今回の都知事選での蓮舫氏得票数とのギャップを導き出します。そして、そのギャップを生み出した原因に共産党との連携は含まれるのか否かを、客観的に明らかにします。

本編の目次

  • 2020年都知事選との比較

  • 2022年参院選 東京選挙区との比較

  • 2024年衆院補選 東京15区との比較

  • 蓮舫氏の得票が伸びなかった本当の理由

  • 参考:2024年都議補選との比較

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