【独自】石垣のりこ議員に聞く「食料品の消費税ゼロ」への本音

実態は飲食店へのステルス増税であり、廃業・物価高をむしろ悪化させる恐れが高い「食料品の消費税ゼロ」。政策を推進する立憲民主党の勉強会に幹事長代理として参画した石垣のりこ議員の認識を1時間弱の対面インタビューで確認しました。
犬飼淳 2025.05.23
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この記事を書いた理由

  • 食料品の消費税ゼロ」を提唱する声が強まり一定の支持を得ているが、日本の仕入税額控除の仕組みを踏まえると食に携わる事業者の廃業と物価高騰をむしろ悪化させる恐れが高い

  • しかし、当然ながら一般市民は「食料品の消費税ゼロ」と聞けば「食料品や外食の価格が下がって生活が楽になる」と誤解するため、実態と虚像のギャップが広がってしまっている

この記事で理解できること

  • 「食料品の消費税ゼロ」の悪影響に対する石垣のりこ議員の認識

  • インボイス定着化と標準税率引き上げの布石になる可能性も踏まえると、初当選した2019年参院選から一貫して訴えてきた消費税廃止と矛盾することに同議員はどのように折り合いをつけているのか

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4月下旬以降、複数の主要政党(立憲民主党、日本維新の会、社民党など)が減税・物価高改善という趣旨で「食料品の消費税ゼロ」(以降「本政策」と省略する場合あり)を公約として正式に掲げ始めました。しかし、筆者としては本政策が注目され始めた今年2月から一貫して指摘してきた通り、日本の仕入税額控除の仕組みと消費税の実態に即して考えれば、得られる効果は以下の通り真逆と考えています。

  • 飲食店は食料品を仕入税額控除できず、ステルス増税となる。結果、外食産業の販売価格高騰・廃業が悪化する

  • 他業種(小売・卸など)についても、もし「非課税」扱いであれば仕入税額控除できずステルス増税となる。結果、食に携わるあらゆる産業の販売価格高騰・廃業が悪化する。一方、「0%」扱いであれば特定業種のみ還付金を得るため業種間の不公平が生じる。もしくは、多数の零細事業者(八百屋、肉屋、魚屋など)への還付金にそもそも税務署が対応し切れない

こうした悪影響は、筆者に限らず税理士を始めとする識者も今年2月頃から繰り返し指摘し続けたため、ここ数ヶ月で一般の方々にもかなり認知度が高まったように見えます。しかし、肝心の本政策を早くから推進してきた政治家からは、悪影響への真っ当な反論はほぼ皆無。もはや悪影響を理解しているかすら怪しい状況が続いています。そこで筆者は、参院選が今年7月に迫っていたこともあり、本政策を推進する主張を確認できる参院選候補者に対して4月28日に6問程度の簡単な質問状を送付。確実視される様々な悪影響にどのような制度設計で対処する考えなのかを中心に問い質しました。しかし、4週間の猶予を持たせた回答期限(5月26日)が目前に迫る中、残念ながら大半の候補者は回答どころか反応も一切無い状況です。

ただ、真面目にご対応頂いた候補者も僅かにいました。今回の主人公である立憲民主党・石垣のりこ議員もその一人です。そもそも同議員は本政策を明確に推進する主張を確認できたわけではありませんが、本政策を推進する党内の勉強会に幹事長代理という立場で参画していたと確認できたため、質問状を送付。結果、2週間後に秘書から「回答を差し控える」旨のメールが届きますが、対面で意図を直接伝えたいという提案も添えられていました。

議連の役員を務めていますが、党として制度の詳細については党内にチームが出来ており、石垣はそのメンバーでないので責任もった回答は出来かねるので回答は差し控えさせていただきます。そもそも、石垣個人は消費税自体を廃止すべきだという考えをもっており、特にインボイス制度の問題点をこれまでも指摘してきた立場から食料品の税率をゼロにするということが100点満点の策だとは考えておりません。メールでの回答だと十分にこちらの意図をお伝え出来ないと考えますので、犬飼様が可能なら面会して石垣本人の口から直接お話をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか。
2025年5月12日 石垣のりこ議員秘書 筆者宛回答メール抜粋 *太字は筆者判断

せっかくの機会なので筆者も提案に応じ、数日後に1時間弱対面インタビューが実現。石垣のりこ議員の本政策への考えを様々な角度から確認でき、大変有意義な場となりました。今回のニュースレターでは、このインタビューを文字起こし中心にお伝えします。

2025年5月中旬 議員会館での石垣のりこ議員 対面インタビュー時の様子(撮影:犬飼淳)

2025年5月中旬 議員会館での石垣のりこ議員 対面インタビュー時の様子(撮影:犬飼淳)

本編(インタビュー内容)の目次

  • 冒頭挨拶(経緯の振り返り)

  • メールでは伝え切れなかった意図とは

  • 飲食店へのステレス増税は認識しているのか

  • 特定業種への還付金による不公平は認識しているのか

  • なぜシンプルな「一律5%減税」に注力せず、あえて複雑な「食料品の消費税ゼロ」を進めるのか

  • 消費税を支払っているのは「事業者」と「消費者」のどちらか

  • 党内の「参院選 政策懇話会」での出来事

  • 悪影響を無視したままの財源確保の強調は「責任政党」の振る舞いなのか

  • クロージング(消費税への問題意識)

*今回は完全独自のため、続きはサポートメンバー限定で公開します。一定期間経過後も無料読者には公開されません。ただし、参院選への影響も踏まえて、同インタビューの撮影映像抜粋は遅くとも公示(現時点では7月3日見込み)前に一般公開します

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