【文字起こし】神宮外苑 環境影響評価審議会 2023年5月18日
*すでに樹木伐採に向けた工事が開始されており公共性が高いと判断したため、公開120時間後(5月27日19時頃)から無料読者にも全文を公開しました。
このニュースレターはフリー記者の犬飼が「大手メディアが報じない読み応えのある検証記事」を月に6 本以上(目安)配信します。皆さんの生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を、正しく理解できるように分かりやすく解説しています。
サポートメンバー登録によって運営されており、利害関係に縛られず取材・検証を日々行っており、総理大臣記者会見にも出席しております。サポートメンバー登録(月額600円〜)いただくと、以下の特典を得られます。
-
有料記事を過去配信も含めて全て購読できる
-
記者会見での質問内容をリクエストできる
-
今後扱ってほしいテーマをスレッドで要望できる
サポートメンバーのおかげで私は継続しての運営が可能になり、より多くの報じられることのない事実を検証することができます。応援いただける方はぜひご登録をお願いいたします。
*ニュースレターの重点テーマ、特に反響が大きかった過去のコンテンツはリンクを参照ください
この記事を書いた理由
-
今年1月に事業者が示した神宮外苑再開発の環境影響評価書には虚偽や誤りが多数あり極めてレベルが低いことを日本イコモスはすでに約4ヶ月にわたって指摘し続け、見直しを求めている
-
これらの指摘に対して事業者側(主に三井不動産)が弁明した東京都 環境影響評価審議会の第2回(5月18日)では、第1回(4月27日)に続いて計画の杜撰さ、恣意的に問題を隠そうとする悪質さが改めて浮き彫りになった
-
しかし、審議会全体としては会長や部会長を中心に「影響評価が変わるほどの虚偽や誤りは無いため、再調査の必要は無い」という予定調和な結論が導かれ、杜撰さを放置したまま審議は終了してしまった
この記事で理解できること
-
審議会当日の事業者の態度、委員間の温度差
-
審議会として下した判断の妥当性
神宮外苑再開発をめぐって、事業者(三井不動産、伊藤忠商事等)は今年1月20日に環境影響評価書を提出。しかし、評価書には虚偽や誤りが多数あったため、日本イコモスはわずか3日後(1月23日)に東京都宛に要請書を発出し、専門家の見地から具体的に指摘しました。
こうした指摘を受けて、東京都 環境影響評価審議会では2回(1回目:4月27日、2回目:5月18日)にわたって日本イコモス指摘にもとづいて審議。計画の杜撰さが改めて浮き彫りになりました。
*1回目(4月27日)の質疑詳細は以下ニュースレター参照
今回のニュースレターでは、前回同様に2回目(5月18日)の詳細をオンライン傍聴した筆者の視点で文字起こしを中心にお伝えします。
*神宮外苑再開発の前提知識が無い場合は、全体像を整理した以下ニュースレターを適宜お読みください
概要
審議会の冒頭に示された資料。前回同様、確認事項2点を明らかにすることが本日のゴールであり、そのために①②③の順で進行。
中段「前回審議会の結果」の「虚偽や誤りがないことを確認」という記載が象徴する通り、実際は計画の杜撰さが多く明らかになった事実を審議会は軽視・無視しており、審議会が公平中立に機能していないことを示唆している。
*審議会の構成(氏名、所属、専門分野)は委員名簿参照
事業者(三井不動産、日建設計)は約10名が出席。
*式次第に事業者の所属、役職、氏名の記載は無く、約3時間の審議会で一貫して事業者は誰一人として名前を名乗らなかったため、これ以上の詳細は不明

筆者がオンライン傍聴した環境影響評価審議会のzoom画面。左上:柳会長、右上:委員、左下:事務局(東京都 環境局)、右下:事業者
*三井不動産見解(個人情報保護のため顔出しNG)に従い、事業者(右下)のみはモザイク加工済み
事業者説明
前回(4月27日)と同様、前半(約1時間半)はイコモスからの指摘および委員からの意見に対して、事業者が自らの見解を以下3点の資料で説明。
-
事業者説明用資料 *資料2-1と2-2の内容を統合
*前回同様、約1時間半にわたって資料を読み上げただけのため文字起こしは省略。
また、上記資料および事業者の口頭説明には一貫して以下の特徴あり。
-
従来説明の繰り返しが大半
-
「記載に虚偽はあったか否か」に焦点を当て、「記載は虚偽ではなかったが、誤解を招く不備はあったので、今後は誤解を招かないように注意する」という態度
-
計画の抜け漏れや曖昧さの指摘に対しては、「今後、検討する」「事後調査では考慮する」等の曖昧な説明で済ませる
質疑応答
前回同様、不毛な時間と言って差し支えない事業者説明の終了後、ようやく質疑応答が開始。複数の委員がそれぞれの専門領域の知見を交えて質問し、事業者側の計画の杜撰さ、恣意的に問題を隠そうとする悪質さが改めて浮き彫りになりました。しかし、先に結論は決まっていたと思えるほど審議会全体としては予定調和な進行に終始。
そうした実態を明らかにするため、これ以降、約1時間半にわたった質疑応答の全文(約1万7千字)を文字起こしします。また、専門的議論の理解を助けるため、議論対象のイコモス指摘、図面などの資料も適宜掲載します。
*すでに樹木伐採に向けた工事が開始され、公共性が高いと判断したため、公開120時間後(5月27日19時頃)から無料読者にも公開しました。メールアドレス登録のみで無料で全て読めるので、お気軽にご登録ください。
この記事は無料で続きを読めます
- 質疑 横田樹広委員(東京都市大学教授)
- 質疑 水本和美委員(東京藝術大学非常勤講師)
- 質疑 保高徹生委員(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 研究グループ長)
- 質疑 池邊このみ委員(千葉大学大学院教授)
- 質疑 齋藤利晃 第一部会長(日本大学教授)
- 質疑 水本和美委員(東京藝術大学非常勤講師)
- 質疑 横田樹広委員(東京都市大学教授)
- 質疑 池邊このみ委員(千葉大学大学院教授)
- 質疑 齋藤利晃 第一部会長(日本大学教授)
- 総括 齋藤利晃 第一部会長(日本大学教授)
- 総括 宮越昭暢 第二部会長(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
- 総括 柳憲一郎 会長(明治大学名誉教授)
すでに登録された方はこちらからログイン
こんな内容をニュースレターでお届けします。
・基本週次の配信
・いつでも配信停止可
・読みやすいレターデザイン