【体験レポート】人生2回目の記者会見で自分1人が市長に1時間無視された話
*今回のニュースレターは、9割以上の内容を未登録者にも公開します。ただし、核心部分(会見中に自分が考えていた本当の内容、今後に予定していること)は、自分の手の内を見せることになり、あまり積極的に開示したくないため有料購読者のみに公開します。
こんにちは。犬飼淳です。
政治とも報道とも縁遠い業界の会社員である私が人生初めての記者会見(2021年9月30日 横浜市長記者会見)に参加した話はこちらのニュースレターに書かせて頂きました。
本業もあるので、次の参加はだいぶ先になるだろうと思ってましたが、意外なことに2回目の参加機会はすぐに訪れました。10月13日の横浜市長記者会見に運良く参加できたのです。
ところが、そこで衝撃的な体験をします。
私が真っ先に挙手しても、私1人しか挙手していない状況であっても、山中市長は別の記者を指名し続け、実質的に指名を拒否したのです。
結局、最終的に1問だけ質問はできましたが、それは指名されたからではなく、終了直前に大声で猛抗議して自ら質問権を獲得したからです。
中継映像をリアルタイムで視聴していた方には、なぜ私が大声で抗議したのかが伝わらなかったと気づき、会見終了直後に当日の出来事をざっとスレッド形式でまとめたのが、以下のツイートになります。このスレッドをざっと読めば、どれほど異常なことが起きていたかは大まかに理解できるはずです。
一般質疑の約50分間、私は真っ先に挙手し続けましたが、司会者と山中竹春市長は私の姿が全く見えないご様子で、ついに私が指名されることはありませんでした。
しかし、このツイートだけでは私の主張が事実かどうかは判断しづらいと思います。
そこで、「自席から撮影した映像」や「座席レイアウト」も示しながら事実を暴露したのが、こちらの動画になります。約50分間の一般質疑を通して視聴するのは大変だと思うので、事態を理解する上で不要な場面は早送りにしつつ、判断に必要な情報を補足説明して約11分にまとめています。
この11分間の映像を通して見れば、現場にいなかった方にも当日の状況は伝わると思うので、まずこの11分間の映像をしっかり見て頂きたいです。
以下は、この11分間の映像は見たという前提で、それでも伝えきれなかった情報を補足していきます。
横浜市公式映像からの抗議音声の消去
*この項目には「横浜市が私の抗議音声の一部を”意図的”に消去した」という前提で、その詳細を記載していましたが、誤解であると考えを改めたため、11月10日に該当箇所を削除しました。訂正の詳しい内容や経緯は以下のニュースレターは参照ください。
初めて感じた怒り
実は、私は当日の会見中はそこまでハッキリとした怒りの感情は湧きませんでした。本人の意思がどうだったのかは知る術はありませんが、山中市長は立憲民主党を始めとする野党に祭り上げられて、不相応な地位に就いただけの気の毒な方であると見ていたからです。9月からの市議会で連日のように答弁不能に陥り、日本語の会話もままならないほどの醜態を晒し続け、個人的には大いに同情していました。
しかし、この感情も大きく変化しました。
抗議した私に対して山中市長が放った「だったら、どうぞ」という言葉。
実は、この言葉は私が大声で猛抗議している最中の発言なので、現場にいた私はハッキリと聞き取れませんでした。私の方に左手を向けて質問を促すジェスチャーをしていたので、自分が質問する権利を得たのだと理解して、質問に移ったまでです。
先ほどの抗議音声の隠蔽に気づく中で、山中市長が私の質問を許可した際にどのように発言していたのかを初めて知ったのです。
「だったら、どうぞ」
あらゆる姑息な手段(私1人が挙手している状況では他の記者が挙手するまで待つ、中盤以降は私が座っていた会場右側は見ることもせず会場左側だけを見て指名を繰り返す、挙手している記者全員が私を除いて指名済みになると私を無視したまま2回目の指名に移る、等)を使って、1時間弱にわたって挙手を無視し続けた相手からの抗議に対しての返答が「だったら、どうぞ」。
ありえない。
こいつは、ありえない。
この人物がいったいどのような生い立ちでこのような人格が形成されてしまったのかを私は知らない。だが、少なくとも同情をかけるような相手ではないと確信しました。
8番目~13番目の指名で会場右側を見なくなった市長
山中市長の指名拒否の手口は冒頭の11分間の検証動画でおおむね説明してあるのですが、1点だけ動画では表現しきれなかったことがあるので、補足します。
7番目の質疑が終わった後、8番目~13番目の指名において市長は私が座っていた会場右側を全く見なくなるのですが、それには布石がありました。
それは、7番目に指名されたフリー 寺澤有記者の存在です。
寺澤記者は前々回(9月17日)の記者会見で、横浜市政記者会に所属する大手メディアばかりが優先して指名されていた現状が不公平であるとして、質問の中で「なんで、こんなことやってんの?怒ってんだけど」と強い口調で抗議した人物です。そして、全くの偶然ではありますが、寺澤記者は犬飼の非常に近く(左斜め後ろ)に座っていました。
*寺澤記者と犬飼の位置関係は以下のスライド参照
©︎2021 Jun Inukai
おそらく山中市長は、さすがにあれだけハッキリと指名順序に抗議した寺澤記者の挙手を無視することは難しいと考え、どこかのタイミングで寺澤記者を指名することは決めていたはずです。しかし、そのためにはすぐ近くで挙手している犬飼も明らかに視界に入ってしまう。そこで、寺澤記者のことはしっかりと指名して、寺澤記者の怒りを再び買うことは回避した上で、その後は会場右側を全く見ないようにして会場中央~左側だけを指名。
山中市長が終盤に6人連続(8番目~13番目)で会場中央~左側だけを見て指名し続けるという不自然な行動には、こうした背景があったのです。
*念のため補足しますが、会見終了後に他の記者たちは何事もなかったようにさっさと退出していった中、寺澤記者は「あの指名の仕方は酷いと思う。自分も抗議しようかと思った」と会見終了後の私に声をかけてくれた唯一の人物です。
なぜ私1人だけが挙手を無視されたのか
私は前回(9月30日)の記者会見が初参加で、山中市長と質疑のやり取りをしたのはその会見中の1回(計3問)のみです。
たった1回のやりとりをしただけの私を、なぜここまで徹底的に山中市長が指名を避けるのかワケがわからず、会見中も終了後も私は非常に混乱していました。
前回会見での犬飼と山中市長の質疑(旧市庁舎売却契約のプロセスの不誠実さ、情報公開の不透明さを指摘し、改善を要望)はこちらの文字起こしでご確認ください。そんなに厳しい質問をしたつもりは全くないのですが、私、何か嫌われるようなことをしたでしょうか・・??
思い当たることがあるとすれば、私は市長の言質を取ることを最優先して質疑を組み立てたこと。
具体的には、明確に4つのゴールを定めて質疑に臨みました。そのゴールは、1回の記者会見参加では絶対に達成できない非常にハードルの高い内容でしたが、私は本気でそのゴールを目指して質疑を進めていました。結果、4つのゴールのうち1つ(のり弁状態の黒塗り提案書の情報公開を市長に約束させること)だけは、「担当部局に確認して出せるものはオープンにしていきたい」という市長の回答を引き出し、ゴールを達成できました。ただ、その際に私が意図的にオーバーに「ありがとうございます! 守秘義務に抵触しない限りは、公開して頂くというふうに理解しました!」と反応したため、明らかに市長は守りの姿勢に入って私を警戒したように見えたので、これがきっかけかもしれません。
*前回の質疑で私が設定した4つのゴール、質疑中に考えていたことは、こちらのニュースレターで公開しています。自分の手の内を見せることに繋がるため、末尾の有料購読者限定の部分に記載してます。
証言者
冒頭の11分間の検証動画の決定的な問題点は、私の挙手は映っていないことです。私が前方に向けたカメラで撮影したから当然ですが。
しかし、私の挙手が無視され続けたことは、私の後方で全てを目撃し、会見後に私に同調するように声をかけてくれたフリー寺澤有記者はきっと証言してくれるはずです。これまで全く面識はなく、会見後に初めて会話をした方ではありますが。
また、会場の左側後方にいたフリー 麻生記者も事実と認めてます。会見室で特に言葉を交わしてはいませんが、France10から派遣された方だったようです。
*余談ですが、この2人目の証言者は本当に麻生太郎氏と同姓同名とのこと
会見の流れとあわせて示すと、幹事社であり1列目に座っていた1番目の日刊工業新聞記者を除いて、基本的に2列目以降に座っていたので、2列目右端にいた私の挙手は角度的に見えていたはずです。寺澤記者を除いて、全く関心を示さずに何事もなかったように退室していったことを考えると、事実を述べてくれるかどうかは怪しいですが。
©︎2021 Jun Inukai
・朝日新聞 武井宏之
・毎日新聞 樋口淳也
・読売新聞 田ノ上達也、樋口貴仁
・東京新聞 丸山耀平
・神奈川新聞 サトウ
・タウンニュース 門馬康二
・フリー アソウ、アリムラ、坂田拓也
司会者の変更
今回の会見の開始前、全く別の異変がありました。
それは、司会者の変更です。
過去3回の会見で高圧的な対応やあからさまな質問妨害を繰り返していた女性職員は会見に同席したものの、全く進行には関与しませんでした。
前方2列目右端に座った私のわずか2~3メートルの至近距離に陣取っていた横浜市政策局 秘書部秘書課 報道担当 5名の位置を位置関係を示した下記スライドで説明すると、5名のうち最も右下にあたる席(つまり、長机すら用意されていない端っこの席)に座り、まるで存在自体を消すかのように押し黙っていました。
©︎2021 Jun Inukai
この不可解な突然の司会者変更について会見でなんの説明もありませんでしたが、この女性職員が同席していたことを考えると体調不良やスケジュールが原因ということはあり得ず、本当の理由は会見前夜に私が公開した動画だと考えられます。
前回会見(9月30日)で厳しい質問をする記者の質疑を打ち切るため、仲間内の横浜市政記者会所属記者に「手を挙げて!」と明らかに命令するなど露骨な質問妨害を繰り返したことを証拠映像とともに私が暴露したため、不公平な司会進行に市民からの非難が殺到しました。
つまり、自ら撮影・編集・公開した映像が原因で司会をおりたと思われる女性職員が至近距離(リアルに1~2メートルの距離)にいる状況で私は1時間の会見を過ごしていました。私が座る位置は自ら選んだので全くの偶然だとは思いますが、これは心理的にかなりのプレッシャーでした・・・。
今回の本編は以上になります。
このニュースレターで指摘した問題点に共感した方は、ツイートやシェアで紹介をお願いします!ただリンク先を紹介するだけではなく、ご自身のコメントも交えて書いて頂けると拡散に繋がるので大変ありがたいです。
2021年10月19日 犬飼淳
以降は、会見中に自分が考えていた本当の内容、今後に予定していること、などを掲載しています。付加価値があるかは微妙ですが、自分の手の内を見せることになり、あまり積極的に開示したくない内容のため有料会員のみに公開します。