【独自】能登半島地震 渋滞の定量データ(1)〜内閣広報室と石川県の発信根拠〜
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この記事を書いた理由
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能登半島地震(2024年1月1日発災)では渋滞悪化を理由に被災地入りを自粛すべきという言説が広がり、復旧の遅れに繋がった
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しかし、渋滞が発生していると情報発信した行政機関(石川県、内閣広報室、国土交通省)ですら定量的に説明しておらず、渋滞の実態は曖昧なままとなっていた
この記事で理解できること
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石川県および内閣広報室はどのような定量データに基づいて、能登半島入り自粛を要請するほどの渋滞が発生していると主張したのか
5W1Hによる混同を交えて能登半島地震被災地入りを拒む主張を検証した以下ニュースレター(1月23日配信)には大きな反響がありました。
ただ、この時点では被災地入り自粛要請の最大の理由に挙げられた渋滞についての言及は最低限にとどめていました。なぜならば、渋滞について情報発信した主な行政機関(石川県、内閣広報室、国土交通省)に対して、その真偽を定量的に確かめるための開示請求を同時並行で進めていたからです。
そして、現時点で結果はおおむね明らかになったため、今回のニュースレターでは一連の開示請求結果に基づいて渋滞の実態について言及します。
©️2024 Jun Inukai *詳細は本編で説明
©️2024 Jun Inukai *詳細は本編で説明
行政機関の情報発信
まず、行政機関が渋滞について情報発信した主な内容を振り返ります。
地震発生から4日後の1月5日、石川県は以下の内容をポスト。
能登へ向かう道路は渋滞で大変困っています。明日から三連休ですが、不要不急の能登への移動は、控えてください。物資が届かなかったり、患者の輸送回数が減っており、救援部隊も大変困っています。皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。
#令和6年能登半島地震 #道路
最も甚大な被害を受けた県の公式アカウントが「能登へ向かう道路は渋滞で大変困っています」とストレートに表現したこともあり、リポスト数は2万を超えています。さらに、このポストを引用する形で各方面に影響力を持つアカウント(国会議員、芸能界、地元紙等)も拡散に加担し、それらも含めるとリポスト数は6万超。被災自治体の公式アカウントを引用することで情報の信頼性は担保しつつ、「被災地は渋滞で困っている」というイメージが急速に広がりました。
*引用リポストの過程は、theLetter「能登半島地震 被災地入りを拒む主張の記録」(2024年1月23日)「拡散の過程」参照
このポストを引用した中には、正確な情報発信に特に重い責任を負う者もいました。首相官邸からの情報発信を一手に担う内閣広報室のトップを務める四方敬之 内閣広報官です。先ほどの石川県のポストのわずか4分後(13時15分)、ほぼ同じ文言を重ねて引用リポスト。石川県の情報発信に対して、首相官邸がお墨付きを与えたと言えます。
#能登 へ向かう道路は #渋滞 で大変困っています。明日から三連休ですが、不要不急の能登への移動は、控えてください。
物資が届かなかったり、患者の輸送回数が減っており、救援部隊も大変困っています。皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。…
これらの情報発信に根拠は存在したのか。その根拠は定量的データに基づいたものであったのか。一連の開示請求によって次々と明らかになりました。
本編の目次
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石川県が保有する道路ライブカメラ画像
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石川県が保有する定量データ
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内閣広報室が渋滞について情報発信した根拠
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石川県が渋滞について情報発信した根拠
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