【正式な議事録と正確な議事録】2021年5月28日 総理記者会見
こんにちは。犬飼淳です。
2021年5月28日、9都道府県の緊急事態宣言延長決定を受けて、菅義偉総理は約1時間にわたって記者会見を開催し、計13名の記者が質問しました。
しかし、こちらのニュースレターで検証した2週間前の会見と同様、菅総理は質問に対応した回答を返せないことが多く、質問と回答が全く噛み合わない状況が続きました。
加えて、菅総理は「緊急事態宣言」「ステージ4」などの基本的な用語やワクチンの接種回数などの重要な情報を言い間違える場面が度々ありました。しかし、翌日に官邸Webサイトが公開した質疑全文では、それらの言い間違いや誤認識は正しい情報に書き換えられ、あたかも菅総理が正しく回答できたかのように改ざんされていました。
そこで、今回のニュースレターでは、当日の記者会見における菅総理の全発言(冒頭発言、および全13名の記者との質疑)について、正式な議事録と正確な議事録を比較して、政府の公式発表がどのように書き換えられたか(改ざんされたか)を検証します。
*この検証手法は約3年前に筆者が試行したものを引き継いでいます

昨日の #国会パブリックビューイング での荻上チキ氏のコメントに着想を得て、両者の違いを視覚化。
note.mu/jun21101016/n/…
この5月23日の質疑は、これまで私が見た国会質疑で最も異常なものでした。
その上、議事録まで異常とは・・・。
まず、本記事における「正式な議事録」と「正確な議事録」は以下のように定義します。
正式な議事録:首相官邸Webサイト「令和3年5月28日 菅内閣総理大臣記者会見」に記載された内容
正確な議事録:上記Webサイトで公開されている会見動画を筆者が書き起こした内容
正式な議事録は左側、正確な議事録は右側に並べて比較します。
赤字は、正式な議事録で書き換えられた箇所を指します。つまり、実際には発言していなかったり、言い間違えたりしたのに、あたかも正しく発言したように記載された箇所です。
青字は、正式な議事録で消された箇所を指します。つまり、実際には発言したり、言い間違えたりしたのに、あたかも発言していなかったようにされている箇所です。
*「ですね」、助詞の「を」など、単に不要な日本語が削られているケースもありますが、公平を期すためにこうしたケースも青字で記載します。
冒頭発言




記者会見の冒頭発言は、事前に用意された原稿内容をプロンプターを見ながら朗読するだけなので、あからさまな改ざんと思われる箇所はありません。
単に滑舌が悪いために、正確に発音できずに左右でズレが生じている箇所が散見されるのみです。特に菅総理はサ行の滑舌に難があると思われ、サ行を含む単語になると発音が不正確になります。
以下、発音が不正確だったものの正式な議事録では修正されていた単語を列挙します。
トウコウ歴 → 渡航歴
カソ化 → 加速化
マサク → マスク
カンシン → 感染
キンダン → 診断
セイヨウ → 専用
単語が聞き取れないほど滑舌が悪く、後で公開された公式の全文を読むまでは何と言おうとしていたのか分からないのは、聞く側にとっては大きなストレスです。ただ、こんな滑舌の悪さがかわいく思えるほど、これ以降に始まる13名の記者との質疑においては、致命的な言い間違いが連発されます。
1人目 共同通信 吉浦記者の質疑

主に以下3つの言い間違いをしていますが、正式な議事録ではあたかも正しく発言したように書き換えられています。
緊急宣言事態 → 緊急事態宣言
レベル4 → ステージ4
解消 → 解除
総理が「緊急事態宣言」や「ステージ4」すらも正確に認識できていないことに非常に大きな不安を覚えます。
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- 2人目 東京新聞 清水記者の質疑
- 3人目 TBS 後藤記者の質疑
- 4人目 毎日放送 三澤記者の質疑
- 5人目 読売新聞 黒見記者の質疑
- 6人目 テレビ東京 篠原記者の質疑
- 7人目 フェニックステレビ リ記者の質疑
- 8人目 NHK 長内記者の質疑
- 9人目 フジテレビ 鹿嶋記者の質疑
- 10人目 ブルームバーグ 延広記者の質疑
- 11人目 日経新聞 重田記者の質疑
- 12人目 西日本新聞 湯之前記者の質疑
- 13人目 朝日新聞出版 飯塚記者の質疑
- まとめ
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