【都知事選2024】Rシールをめぐる主張の記録(1)
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この記事を書いた理由
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都知事選の前後、Rシールに由来する蓮舫支持者・陣営への理不尽な攻撃が爆発的に広がった
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投開票前の情報発信は有権者の投票行動に悪影響を与えた可能性があり、投開票後の情報発信は野党支持者・陣営の「不当なイメージ低下」や「本来は不必要な分断・萎縮」を招いた
この記事で理解できること
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Rシールをめぐる主張はあまりにも荒唐無稽だったにもかかわらず、発信者の属性ごとの役割分担が功を奏して拡散されたこと
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発信者の実に過半数が当てはまる共通点があること
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若者やひとり街宣を萎縮させる狙いも垣間見えること
現職・小池百合子氏の圧勝による3選という結果で終わった都知事選挙(7月7日投開票)。すでに記憶の彼方に忘れてしまった(もしくは最初から全く知らなかった)方が多いでしょうが、この都知事選の前後に奇妙な言説が瞬間沸騰的に巻き起こっていました。その主張は、
「蓮舫支持者・陣営が当選確率を引き上げるために『R』と書かれたシールを街中に貼りまくった。本来は選挙後に自ら剥がすべきなのに放置しており、無責任だ」
という趣旨の内容です。
この主張は意味不明すぎて、大半の読者の頭の中には「?」がたくさん浮かんだことと思います。Rシールが街中にあったからといって支持が広がるかは不透明だし、そもそも「R」だけでは蓮舫支持者・陣営が本当に関与したかすら分かりません。しかし、この奇妙な言説がSNSを震源地として広がった後、なぜか新聞・テレビまでもが追随して報道。結果、一定の認知度・信頼度を得ることとなりました。
主張内容は荒唐無稽にもかかわらず、
ある時期を境に突如として爆発的に拡散され、
「数の暴力」と「大手メディアの加担」によって一定の正当性を得た。
継続的にこのニュースレターをご購読頂いている方はお察しかと思いますが、筆者はこの状況に「デジャブ」と呼べるほどの既視感を感じました。約4年前の「無症状者を含む積極的なPCR検査が医療崩壊を招く」という主張、約半年前の「能登半島地震被災地にボランティアが来ると渋滞が悪化して迷惑する」という主張が拡散された際の出来事と異常性が瓜二つなのです。
*それぞれの詳細は配信済みの以下ニュースレター参照
この直感に従って類似の手法で膨大なSNS上のデータを約1ヶ月かけて少しずつ整理・分解・俯瞰したところ、全体像はおおむね明らかになりました。過去2回と比較して、今回は主張内容の荒唐無稽さ・意味不明さが群を抜いて酷いという致命的欠陥を補うため、発信者の属性ごとに巧妙に役割分担され、その役割に応じて各自が適切なタイミングで情報発信したことが大きなポイントだったと筆者は現時点で結論付けています。
©️2024 Jun Inukai *詳細は本編で説明
そこで今回のニュースレターでは過去2回の知見を活かしつつ、Rシールをめぐる主張を多角的に検証していきます。具体的には、主張が爆発的に広がった10日間(2024年7月5日~14日)、Rシールを理由にした蓮舫支持者・陣営への攻撃に加担したアカウントに着目。対象ポスト260件を22要素に分解し、拡散の手法を定量的・視覚的に明らかにしていきます。
©️2024 Jun Inukai *詳細は本編で説明
©️2024 Jun Inukai *詳細は本編で説明
*通常のニュースレターよりも桁違いに長い(総文字数11万字超、スライド80枚)ため、まとまった時間がある時にお読み下さい
*都知事選でひとり街宣やスタンディングに取り組んだり、新宿バスタ前での街宣で工夫を凝らしたり、神宮外苑再開発見直しを求めて声をあげた市民を理不尽に攻撃するポストが多数含まれるため、気持ちに余裕がある時にお読み頂くことをおすすめします
本編の目次
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主張22点の構造 ~込められた4つのメッセージ~
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主張の偏り ~三本柱に大きく依存~
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時期の偏り ~突如始まり、急激なピークを経て、わずか10日で収束へ~
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発信者ごとに異なる役割 ~伝言ゲームの連鎖で情報の信頼度を引き上げた手法~
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政治家の所属政党の偏り
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Colabo攻撃の発信者との重複
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拡散の過程 ~動画、新聞記事、テレビ番組の特性をフル活用~
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若者・ひとり街宣への攻撃
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