【現場リポート】初めての国会傍聴で目撃した議会形骸化の理由 ~国立大学法人法改悪~
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この記事を書いた理由
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法案の内容に関係なく賛成してしまう政党(自民、公明、維新、国民民主等)が国会で圧倒的多数の議席を確保しているため、審議が不十分なままで問題法案(入管法、マイナ法案等)が次々と強行採決される状況が続いている
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さらに、国会内での報道の権限を実質的に独占する大手メディアの怠慢が、国会審議の緊張感欠如を助長している(ように筆者には見える)
この記事で理解できること
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2023年11月15日の衆議院文部科学委員会でインターネット中継には映らなかった事柄から見える、国会審議の問題点
今年9月に突如として発覚した国立大学法人法の改正案は従来の議論から大きく逸脱しており策定プロセスが不明な上、日本の大学教育を崩壊させるほどの問題点を抱えています。
*問題の全体像は以下のニュースレター参照
しかも、11月7日の国会審議入り後、11月14日に参考人質疑を1回行っただけで翌15日には強行採決の可能性があり、法案内容に対する与党の後ろめたさを表しているとも言えます。
こうした緊迫した状況の中、参考人質疑と同日(11月14日)に大学関係者の有志グループ(大学フォーラム、「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワーク等)は衆議院第二議院会館で院内集会を緊急開催。法案の問題点を改めて訴えました。
同集会では複数の発言者が、強行採決の可能性があった翌15日の国会審議の傍聴を依頼。特に指宿昭一弁護士は今年6月の入管法改悪反対での自らの経験に基づき、強行採決を食い止めるには当日の傍聴人の多さも重要な意味を持つと力説。実は筆者は国会傍聴の経験が無かったこともあり、翌15日の国会審議を傍聴することにしました。
当日は、ほぼ以下のタイムスケジュール通りに進行。
2023年11月25日 文部科学委員会予定
約5時間の質疑中、全10名の質問者はおおむね9割程度を当日最大の関心事である国立大学法人法について様々な角度から質問。
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合議体の設置対象は本来は国際卓越研究大学(現在の認定候補は東北大学のみ)だけだったのに、なぜ急に5大学(東北大学、東京大学、東海国立大学機構、京都大学、大阪大学)に広がったのか(=今後も曖昧な理由で設置対象は拡大するのではないか)
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どのような人物の場合に文科大臣は合議体の委員を任命拒否するのか(=大学への人事介入に繋がるのではないか)
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軍事研究を促進したいのではないか
等々
しかし、盛山正仁文科大臣および文科省は従来通りの曖昧な説明に終始し、こうした懸念点は全く払拭されないまま、予定していた質疑は14時58分に終了。そして、5分間の休憩を挟んでの再開時、田野瀬太道委員長(自民党)は以下の内容を宣言。
休憩前に引き続き会議を開きます。ただいま議題となっております内閣提出「国立大学法人法の一部を改正する法律案」に対する質疑は終局いたしました。次回は、来たる17日 金曜日、午前9時20分 理事会、午前9時30分 委員会を開会することとし、本日はこれに散会いたします。
この内容を解説すると、衆議院 文部科学委員会としての質疑は終了したものの、辛うじて採決は明後日(17日)に先延ばしになったことを意味します。残りの質疑は実質的に参議院 文教科学委員会に託された形です。
正直なところ、与党が強行採決に踏み切らなかった理由は不明です。与党議員は傍聴席を気にする素振りは見せていたため、当日に全18席の傍聴席が常時ほぼ満席だったことが多少影響したのかもしれません。また、これだけ問題だらけの法案を拙速に採決したことが報道されれば政権のイメージがさらに悪化するため、強行採決だけは避けたという見方もあるようです。ただ、現地で傍聴した者として、この「報道によるイメージ悪化を避けた」という見方には懐疑的です。というのも、約5時間の審議の大半の時間帯において全40席の記者席に姿を見せた記者は0~1名程度でガラガラだったのです。テレビカメラに至っては、強行採決の可能性があった終盤のほんの一瞬に辛うじて1社が現れたのみでした。
このことに限らず、初めての国会傍聴では筆者がこれまで見えなかった色々なものが見えてしまいました。国立大学法人法の問題点とは観点がややズレますが、今回のニュースレターでは「委員室のレイアウト」や「記者席」に着目して昨今の国会審議そのものの問題点について所感を共有したいと思います。
*特に問題と感じた国会議員およびメディアは実名を挙げて指摘します
本編の目次
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国会での写真・映像撮影の権限を独占しながら、報道を放棄する大手メディア
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満席の傍聴席とガラガラの記者席
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終了間際に1社だけ現れたテレビ局クルーの目的
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委員会の大半の時間帯で不在だった議員たち
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委員会の大半を内職に費やした議員
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