国立大学法人法改正案を逸脱した、財界の京都大学私物化
*公共性が非常に高いと判断したため、公開直後から無料読者にも全文を公開します
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この記事を書いた理由
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2023年12月に成立した国立大学法人法改正案は日本の大学教育を崩壊させるほど問題だらけな上、法案の検討・意思決定プロセスは今も不明
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法案成立後も同様の手口で国会を通さずに水面下の省庁会議で次々と重要事項を決定。重要な決定はギリギリまで伏せることで抗議のタイミングを遅らせ、既成事実化させようとしている
この記事で理解できること
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京都大学で今年9月に明らかになった運営方針会議の実態は、昨年12月の国立大学法人法改正案の範囲を明らかに逸脱しており、ただでさえ反対の声が大きかった改正時よりも大学の自治侵害の懸念はさらに大きくなっていること
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一部野党が有効性を訴える附帯決議の実態
昨年(2023年)12月、いわゆる悪政4党(自民・公明・維新・国民)が強行に成立させた国立大学法人法(以降「国大法」と表記する場合あり)改正案は、日本の大学教育を崩壊させるほど多くの問題点を抱えています。
*前提知識が無い場合、問題の全体像を整理したtheLetter「第二の日本学術会議問題。国立大学法人法改正による大学教育崩壊の全体像」(2023年11月10日)を先に参照下さい
特に重大な改悪ポイントは、「運営方針会議」の必置対象が「国際卓越研究大学」から「5法人(東北大学、東京大学、東海国立大学機構、京都大学、大阪大学)」に問答無用で拡大されたこと。
*運営方針会議:「合議体」と表記する場合があるが、意味は基本的に同じ
*国際卓越研究大学:認定を受けるとファンドから経済的支援を受けられる制度。優れた大学は優遇される反面、大学間の格差を広げることが懸念される
以下スライドの通り、学外者を含む運営方針会議(=合議体)に非常に強い権限が与えられるため、大学教育だけでなくキャンパスの土地・建物も財界の食い物にされることが強く懸念されました。
*2023年9月7日内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(以降「CSTI」)検討資料をもとに2023年11月に筆者が作成。翌12月の国大法成立時の解釈も同様
*大学トップに当たる「学長」を京都大学では「総長」と表記。以降も同様
さらに、今年9月に京都大学で運営方針会議の制度設計が徐々に明らかとなり、ただでさえ酷かった法改正時の検討内容よりも水面下でさらに悪質化されていたことが次々と発覚。危機感を強めた京都大学職員組合は10月17日に抗議声明を発出するに至ります。
今回のニュースレターでは同日(10月17日)に京都大学職員組合が開催し、筆者もzoom参加した記者レク内容に沿って、「国大法改正時の検討内容」と「京都大学検討案」のギャップを明らかにしていきます。
2024年10月17日 京都大学 職員組合 記者レク zoom画面 *左から大河内泰樹 副中央執行委員長、細見和之 中央執行委員長、駒込武 中央執行委員
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