永住許可取消を含む2024年版入管法改悪案が助長する外国人差別

永住者の在留資格取消事由創設を中心に、2024年3月15日に閣議決定された入管法改定案の問題点を整理します
犬飼淳 2024.04.13
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この記事を書いた理由

  • 外国人差別を助長する入管法改悪が近年続いており、日本に住む外国人に対する人権侵害は悪化の一途を辿っている

  • このまま国全体の人権意識が低下していけば、いずれ矛先が外国人から日本人に向かった時には国民全員が同様の人権侵害を受ける恐れがある

この記事で分かること

  • 2024年版入管法改悪案の3つの改悪ポイント

  • 新たに創設される永住許可取消が特に深刻である理由

  • 問題行為を起こした場合の在留外国人と日本人に対する対応の

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経緯

昨年(2023年)6月、いわゆる悪政4党(自民・公明・維新・国民民主)は入管法(出入国管理及び難民認定法)改正案を強行採決。その2年前(2021年)に「難民の強制送還が容易になり外国人差別に繋がる」などの理由で反対の世論が広がり廃案に追い込まれたばかりにもかかわらず改正案の中身はほぼ同じだった上に、国会審議中に立法事実は次々と崩壊。こうした背景もあり国会前の反対デモには5千人以上が参加するなど反対運動はかつてない広がりを見せましたが、数の力によって強行されました。

さらに今年(2024年)3月15日、与党は新たな入管法改定案(以降「2024年版入管法改悪案」)を閣議決定。前回の入管法改悪からわずか9ヶ月しか経過していない上に、内容はまたしても外国人差別を助長する内容のため、司法関係者を中心に反対声明が相次ぎました。

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2024年版 入管法改悪案の3つのポイント

2024年版入管法改悪案には、大きく3つの改悪ポイントがあります。それぞれの概要と懸念点を以下のスライドに整理しました。

©️2024 Jun Inukai

©️2024 Jun Inukai

最も問題視されるのがNo1(永住者の在留資格取消事由を創設)です。税金の支払を怠った場合、犯罪を犯した場合などにたとえ永住者であっても在留資格の取消が可能となります。これは日本人より罰則が格段に厳しく、外国人に対して差別的と言えます。また、法務省は「育成就労制度の創設(=No2)によって永住に繋がる外国人増加が予想されるため永住許可の適正化が必要」と説明していますが、永住者になるには10年以上の在留歴が求められるため、簡単には増加しません。つまり、またしても立法事実が存在しないのです。

そこで今回のニュースレターでは、このNo1(永住者の在留資格取消事由を創設)に焦点を当てて、背景や予想される事態の深刻さを整理していきます。

*No2は立法事実の悪用という点でNo1と関連あり

*No3はカード再発行までのタイムラグに起因する違反の恐れがNo1と関連あり

*3日後(4月16日)に国会審議入り予定で緊急性・公共性が高いと判断したため、公開直後から無料読者にも全文を公開します。メールアドレス登録のみで無料で全て読めるので、お気軽にご登録ください。

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続きは、4535文字あります。
  • 在留資格別の外国人比率
  • 各国の永住資格要件
  • 永住資格が取り消される3つのケース
  • あとがき 〜裁判所で目撃した入管行政の差別意識〜

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