東京大学の学費値上げは本当に必要?(1)
*東京大学は経営協議会(9月18日)を経て9月中に学費値上げを正式発表する恐れが非常に高く、緊急性・公共性が高いと判断し、公開直後から無料読者にも全文を公開します。
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この記事を書いた理由
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東京大学が学費を値上げすれば他大学に波及することは歴史的事実が証明しているため、学生を中心に大きな反対運動が起きている
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しかし、大学側は「財務諸表に基づいた合理的説明」も「学生との対面での対話」も拒否したまま、9月10日に改めて値上げ案を一方的に発表。値上げの既成事実化を図っている
この記事で分かること
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9月10日に発表された学費値上げ案には学生間の差別と分断を招く仕掛けが複数確認できること
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同じく9月10日に発表された増収分の使途には複数の不審点があり、学費値上げを急ぐ必要に改めて疑問符が付いたこと
東京大学の学費値上げをめぐって、6月21日に開催された総長対話(藤井輝夫総長と東大生が対話する場)は、学生が強く要望した対面開催ではなくzoomによるオンライン開催だった上、「学生と対話した」というアリバイづくりが目的と判断せざるを得ないほど形式的で中身が無いものでした。その後、大学側は総長対話が不十分だったことは認めた一方で、学生が強く求め続けた対面での対話には応じないまま3ヶ月近くが経過。
こうした膠着状態で迎えた9月10日の16時、大学側は突如として2025年度入学者から学士課程は年間約11万円も学費を値上げすることなどが明記された「授業料改訂案」等を学務システムを通じて全学生に一方的に通知。さらに同日18時台から一部のメディアを対象に記者会見を開催して改訂案を説明。対象者の入学まで既に7ヶ月を切ったタイミングでの改めての発表だったため、大半のメディアは学費値上げを「案」ではなく「ほぼ決定事項」扱いで当日中に続々と報道。結果、わずか1日で東京大学の学費値上げは既成事実化されました。
*東京大学が同会見の参加を記者クラブ(大学記者会、文部科学省記者会、科学記者会)に限定した問題の詳細は筆者ポスト参照
大半の学生がキャンパスには居ない夏季休暇中に、学生には事前告知せずの対応だったため、まさに「騙し討ち」そのものでした。
当日の発表内容や進め方の問題点については既に複数の学生団体(学費値上げ反対緊急アクション、教養学部学生自治会)が声明で網羅的に指摘済みですが、今年6月から継続的にこの問題を追ってきた者として問題点を改めて簡潔に整理したいと思います。具体的には、大学側が当日発表したスライド2枚に着目して、学費値上げによって助長される学生間の差別と分断、増収分使途の不審点を指摘していきます。
*東京大学は経営協議会(9月18日)を経て9月中に学費値上げを正式発表する恐れが非常に高く、緊急性・公共性が高いと判断し、公開直後から無料読者にも全文を公開します。メールアドレス登録不要で要点は理解できるので、お気軽にお読み下さい。