【文字起こし】学費値上げ 東京大学総長対話2024年6月21日
*東京大学は学費値上げを水面下で決定済みの恐れが高いこと、他大学も追随する恐れが高いことを踏まえて緊急性・公共性が高いと判断し、公開直後から無料読者にも全文を公開します。
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この記事を書いた理由
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5月半ばに突如判明した東京大学の学費値上げをめぐって、学生と藤井輝夫総長がこの問題を話し合う「総長対話」が6月21日に開催された
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しかし、約2時間の総長対話で起きたことを正確に伝える報道が少ない上、事後の安田講堂前での抗議について一部メディア(朝日新聞・読売新聞等)は大学側の大本営発表を垂れ流し。学生側を貶め、大学側の対応に正当性を持たせる意図が疑われる情報発信を繰り返している
この記事で分かること
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総長対話で藤井輝夫総長を始めとする大学側は、学生側の数々の本質的な指摘に対して正面から回答できたのか
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総長対話では、東大生たちに対してどのような制約が課されていたのか
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総長対話後、東大生たちは何に怒っていたのか
5月15日、東京大学が年間約10万円の学費値上げを検討していることを一部メディアが報道。東京大学の学生全員および教員の大半は、この報道を通して初めて学費値上げの動きを知ったため、大学当局は秘密裏に検討を進めていたことを意味し、プロセスの不透明さに疑問の声が挙がっています。
一般的な反応としては、「より良い教育のために年間10万円の値上げは許容範囲では?」「そもそも東大生の親は平均年収が高いから問題ないのでは?」という声もありますが、以下のとおり実態は大きく異なります。
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学費を自ら支払わなければならない事情がある東大生にとって、年間10万円は決して安くない。バイトを増やしたことで各基準(扶養控除103万円、勤労学生控除130万円 等)を越えれば新たな不利益も被る
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授業料減免などの措置はあるが現行の仕組みにも問題があるため、学費値上げ後に不利益を被る学生は確実に増える (例)親の収入が基準のため「親の収入は高いが、親との関係性が悪くて援助を受けられない学生」は支援からこぼれ落ちる、手続きが煩雑過ぎる、減免を受けていない他学生に対して心理的な負い目を感じる 等
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東京大学が値上げすれば他大学も追随して値上げすることは過去の歴史的事実が証明しているため、「東京大学」に限らず「全ての高等教育」のハードルを引き上げる。つまり、裕福な家庭の子供しか大学に行けない国になる
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そもそも東京大学は値上げの必要性を財務諸表に基づいて説明できていない。値上げによる増収分を何に使うのかの説明は「DXによる教育の充実」など極めて曖昧で、用途別の必要予算すら現時点で示せていない
これらはあくまでも一例で、問題は他にも山ほどあります。
*学生視点の問題の詳細は、上記映像(6月14日に文部科学省で開催した記者会見)の冒頭約36分間で説明あり
*識者(学者・教職員)視点の問題の詳細は、上記映像(6月21日に安田講堂前で開催した総長対話プレイベント)の冒頭約33分間で説明あり
このように問題だらけな上に大学側の説明が圧倒的に不足しているため、「総長対話」(学生と藤井輝夫総長が話し合う場」について学生側(自治会)は徹底な討論の場になるように開催形式について具体的に要望しましたが、大学当局(藤井輝夫総長)の回答は以下の通り大半を拒否。
2024年6月14日 記者会見 配布資料 「学費問題を考える」(東京大学教養学部学生自治会) P32
結果、学生側が最低限の条件と考える「対面での複数開催」は実現せず、「zoomでの1回のみの開催」となったのです。
そして、6月21日19時から21時頃まで約2時間にわたって、zoomによる1回きりの総長対話が開催。前置きが長くなりましたが、今回のニュースレターでは、この2時間の総長対話の出来事を文字起こしを中心にお伝えします。
*筆者は本郷キャンパスの一般教室で開催されたパブリックビューイングに現地参加
*東京大学は学費値上げを水面下で決定済みの恐れが高いこと、他大学も追随する恐れが高いことを踏まえて緊急性・公共性が高いと判断し、公開直後から無料読者にも全文を公開します。メールアドレス登録のみで無料で全て読めるので、お気軽にご登録ください。
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