「共同親権で親子の面会交流が実現する」という幻想

離婚後の両親が共に親権を持つ「共同親権」。賛成派主張のミスリードを面会交流を中心に指摘します。
犬飼淳 2024.03.03
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*政府は今国会で共同親権を含む民法改正の国会提出・成立を目指しており、緊急性・公共性が高いと判断したため、公開直後から無料読者にも全文を公開します

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この記事を書いた理由

  • 共同親権を推進する主張には、対象の混同言葉の定義のズレに関連して多くのミスリードが含まれている

  • このまま国民の多くが誤った理解のまま共同親権が導入されてしまうと、離婚家庭の子供を中心に社会全体が取り返しがつかないほど甚大な被害を被る恐れがある。最悪の場合、法制度の欠陥によって子供が命を落とすことになる

この記事で理解できること

  • 面会交流を肯定する主張は、対象の混同に基づいていること

  • 両親が共同保有する概念を表す言葉自体が、「日本」と「世界の潮流」では大きくズレていること

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政府が今国会での法改正を目指す、離婚後の両親が共に親権を持つ共同親権。現行の単独親権と比較して、共同親権には以下のようなメリットがあると喧伝されています。

  • 離婚後も2人の親が協力して子育てできる

  • 片方の親による連れ去りを防止できる

しかし、こうした共同親権を推進する主張には、対象の混同や言葉の定義のズレに関連して多くのミスリードが含まれています。そこで今回のニュースレターでは、痛ましい事件が度々発生している面会交流に焦点を当てながら、共同親権をめぐる議論のミスリードを視覚的に整理していきます。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、5143文字あります。
  • 決定的に異なる2つの「面会交流」の混同
  • 子供の「会いたくない」意思だけは捻じ曲げる混同
  • 親権・監護権をめぐる定義のズレ
  • 「連れ去り」をめぐる前提条件の漏れ

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