【参院選2022】アンケートほぼ無回答の生稲晃子候補は街頭演説で何を語っているのか

NHKアンケート 26問に憲法改正以外は全て「無回答」で注目を集めた生稲晃子候補(自民・東京選挙区)。街頭演説ではいったい何を語っているのか文字起こしでお伝えします。
犬飼淳 2022.06.29
誰でも

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こんにちは。犬飼淳です。

参議院選挙に東京選挙区で自民党から立候補した元アイドルの生稲晃子候補。NHKの政策アンケート計26問に対して、憲法改正以外は全て「無回答」であることが明らかになり、批判が高まっています。さらに批判の声を受けて、6月28日に選対広報担当を務める川松真一朗 都議会議員は「事務局責任者の処理ミス」で当該者(=NHK)に修正をお願いしているとツイートで公表。

川松真一朗【Statesman、墨田区選出・41歳】
@kawamatsushin16
【生稲晃子マスコミ質問について】
選対広報担当として発信致します。
「無回答」は事務局責任者の処理ミスで、本人は回答を出していました。当該社には修正をお願いし、本人からはtwitterスペースなどを使いながら考えを述べさせて頂く段取りを私の責任で調整しています。何卒宜しくお願い致します。
2022/06/28 13:01
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実際、問題のNHK候補者アンケートにおける生稲晃子候補の回答は事後に修正されてしまいました

*このアンケートをめぐる詳細については6月29日付SAKISIRU記事を参照

しかし、「処理ミスであれば、なぜ憲法改正だけは回答できたのか」という疑問に対して納得できる答えは一つもありません。さらに、生稲晃子候補は日本テレビの候補者アンケートでもごく一部の項目(自衛隊の憲法明記、防衛力強化、敵基地攻撃能力)に「賛成」と回答した以外は全て無回答で済ませています。(6月29日 15時現在)

これらの事実を踏まえると候補者アンケートへの無回答は「処理ミス」ではなく、意図的であった可能性が非常に高いと言えます。つまり、知名度を活用して当選するつもりの生稲晃子候補は候補者アンケートに真面目に回答するつもりすらなかったが、批判を浴びたために体裁を取り繕ったに過ぎないと見られます。

今回のニュースレターでは、そんな生稲晃子候補は街頭演説でいったい何を語っているのか。5月29日に候補者の地元・武蔵小金井駅前で行った約12分間の街頭演説を対象に文字起こしでお伝えします。

*映像は現地取材した畠山理仁氏のYoutubeで公開中

表記の注意事項

  • 発言をそのまま書き起こす。ただし、どうしても聞き取れなかった部分は○○と表記する

  • 太字は、「当選後に国会議員として何をするのか」に関係すると判断した箇所

  • ( )は現場の様子の補足説明

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文字起こし

(司会を務める男性が「大変長らくお待たせしました。参議院議員選挙 候補予定者 生稲晃子 ご本人よりご挨拶賜ります!よろしくお願いします!」と紹介。生稲候補は笑顔を浮かべながら、周囲にお辞儀をしながらハンドバイクを受け取って、演説を開始する。聴衆からは「あきこー!!」という歓声も巻き起こる)

どうも、ありがとうございます。皆さん、こんにちは。生稲晃子です。よろしくお願いします。(感極まって涙ぐむ様子を見せながら)泣いている場合でないんです。走らなければいけないんですけども、今日、東小金井駅から始まりました。そして自分の母校、第三小学校を見て、緑中学校を見て、今はそうは言わないんでしょうか、昔は青少年センターと言ってましたけども、今は違いますか? 青少年センターで卓球をしていたことを思い出して、皆さんとお話をしたり、同級生のお母様とお話をしたりしていたら、本当に懐かしくて、帰ってきたな〜という感じがしまして、(聴衆から「おかえり!」と声がかかったことに対して)あ! ありがとうございます! こうして皆様に暖かく迎えて頂けれたら・・、(涙目を見せながら)泣いてる場合じゃないんですけど。知らないうちに涙が出てきてしまいました。(聴衆から「泣いちゃうぞー!」と声がかかったことに対して)ありがとうございます! 

もう7月の参院選まで本当に時間がなくなってきました。私は4月6日に記者会見をさせて頂きました。本当に時間がない中で一生懸命、東京をまわってきました。まだまだこれから、あと1ヶ月ちょっとですか。頑張らなきゃいけないんですけども。改めて東京って広いな〜って、思ってます。どんなに周っても周っても周りきれないんです。でも、だからこそお一人お一人の顔をしっかり見て、しっかりと声かけをして、自分の一生懸命さを知って頂いて、そして私の笑顔を見て頂く。それを心がけるようにしています。間に合わなくても、会った人、一人一人が私の味方になってくれればそれで良いと思って、今頑張っています。そういう思いで入っています。

今日はこうやって自分が3歳から育った小金井に戻ってこられて本当に幸せなんですけども、私は実は30歳までこの小金井で生活していました。ここから仕事場に通ってました。36年間、芸能界で活動してきました。私のことをテレビで見て下さったことありますでしょうか? 36年前はおニャン子クラブというグループからデビューしたんですけど、その後はドラマ・舞台など俳優業として出演させて頂いていました。皆さんが見て下さっていたドラマと言えば、「暴れん坊将軍」かなと思うんですね。め組の女将をやらせて頂いてました。少し若い世代の皆さんは「キッズウォー」というドラマで私のことを見て下さったかなと思っております。またちょっと前、2年くらい前でしょうか、「グッディ!」という情報番組が午後ありまして、安藤優子さんが司会をやってました。そこでコメンテーターをさせて頂いたりもしたので、皆さんはテレビでも私のことを見ていて下さったのかなと思うんですけども、その36年間に子育てもしてきました。

私の娘がまだ5歳だった時に乳がんの告知がありまして、その後2度の再発があって、3度目があると危険であるということで胸を全摘出いたしました。全部で5回の手術を経験しまして、がん治療と仕事の両立。そして、その間で10歳に満たない子供を育てるという毎日はやはり大変なものがありました。再発という言葉はとても怖かったです。でもまだ子供が小さかったので死ぬわけにはいかない。この子が成人するまでは責任を持って育てなければいけないと、そういう思いで頑張って参りました。そういった経験もありまして、2016年です、政府の安倍晋三先生、議長のもと働き方改革実現会議に民間議員として選んで頂きまして、そこで様々な発言をさせて頂きました。やはり自分の中心に持ってきたテーマというのは、病気の治療と仕事の両立支援です。そして、トライアングル型支援というものを提言しました。このトライアングル型支援、どういったものかと言いますと、患者の体のことを一番わかっている主治医と、患者である労働者の働きというものを一番分かっている企業側と、そしてその2つを繋ぐ役目として、両立支援コーディネーターというものをつくって、しっかり連携をとって患者である労働者を守っていく。そういったものです。このトライアングル型支援、働き方改革実行計画に盛り込んで頂きまして、現在厚生労働省でもうこの支援が始まっています。動いています。一民間議員の意見が今、日本の中で政策として動いている。それを聞いた時は本当に嬉しかった。大きな喜びでありました。やりがいというものを感じました。せっかく動かして頂いている、このトライアングル型支援、もっともっと多くの方に知って頂いて、もっともっと成長させたい。そのように考えております。これが私の今、大きな夢であります。がん対策推進企業アクションという団体に入って、がん対策などの活動を中心に行なってきました。そこで私がとても驚いたデータと数字があるので是非皆さん聞いてください。2人に1人ががんになる時代です。ぜひ、このデータと数字、聞いて頂きたいと思います。ほとんど全てのがん細胞が1センチの大きさになるのに10年から20年かかるんだそうです。でも、1センチから2センチの大きさになるのは1〜2年でなってしまうそうなんです。急に成長を早めてしまうんですね。私はこのデータにとても驚きました。でも2,センチくらいまでなら、まだ早期がんです。ここでがんをやっつけてしまえばいいわけです。ですからよく病院の先生方が1年に1回、2年に1回の検診が大切ですよとおっしゃいますけども、なるほどそういうことかと納得しました。私の乳がんも検診で見つけて頂きました。自覚症状は全くありませんでした。がんという病気は自覚症状がなかなか表れない病気なんだそうです。だから検診というものが大切なんですね。そして、もう一つ驚いた数字がありました。働き盛り、子育て盛りの30代から40代の女性の皆さんの多くががんになっていることです。39歳までのがん患者の8割が女性なんだそうです。私の乳がんも42歳の時に見つかりました。なので、この数字には大変心が痛みました。今現在、乳がんは40代後半がピークです。そして、子宮頸がんは30代前半がピークなんです。でも、皆さんどうでしょう。こういったデータとか数字。なかなか皆さんの耳には入ってきていないのではないかと思うんですね。ただ検診に行ってください。検診に行ってくださいと言ったって、皆さん毎日お忙しいわけですから、なかなか検診に行けないと思います。でも、こういったデータとか数字をきちっと皆さんにお伝えすることによって、がんというのは本当に怖い病気なんだ。でも検診に行けば、もしがんに見つかってしまっても早期発見、早期治療で命は助かることができるんだ。皆さんにそういうふうに分かって頂けると思うんです。ですから、私はまずは皆さんにがんというものの正しい知識、そういったものをお伝えして、そこから皆さんに検診に行こうと思って頂きたいんですね。例えば、子宮頸がん、乳がん、がん検診の受診率、アメリカでは80%なんですけど日本では40%台なんです。これではまだまだ皆さんの命を守るまで、全然いかないと思うんです。男性の肺がん検診だけは50%を超えている状態なんですね。皆さんの命を守っていきたい。誰もがそう思ってると思うんんですけど、このがん検診の受診率ではなかなかそこまでいかないと思うんです。でも皆さんにがんというのはこういうものだから検診に行ってくださいときちんとお伝えすることによって、皆さんに行って頂けると思うんです。今、子供たちは学校でがん教育が始まってますけども、私たち大人はがんの知識を知る機会がありませんでした。だから私は今後、国会議員になれたら、まずそこから皆さんにお伝えする立場を担って、そして皆さんの健康を守っていきたい。そのように考えています。こういって、自分の経験とか、そして活動から皆さんをがんから守っていきたい。

そういった思いと、そして、がんだけではありません。がんや大きな病気になっても生きがいを持って働ける社会を実現したい。そういう思いを強く、強く持つようになりました。そして今回、この参院選に挑戦しようと決意したわけです。途中で働くことを諦めてしまったり、生きることに自信を無くしてしまうような世の中だといけないと思うんです。周囲のみんながその人を支援して、その人の体を、その人の仕事を、そしてその人の家族をみんなで守っていく。そういった社会をつくっていきたい。今、そのように強く、強く考えています。そして、その思いを皆さんに届けていきたい。そのように考えています。7月の参院選までもう本当に時間がなくなってきました。どうか皆様、生稲晃子の名前と顔を覚えてください。この小金井の皆さんは、もう生稲のこと分かっているよって言ってくださるかもしれません。でも、まだまだ生稲ってどういう子なんだ、どういう人なんだ、と思っている方もいらっしゃるかもしれません。生稲晃子、ちょっと覚えにくい名前なんですけども、どうぞ覚えて下さい。もし覚えにくかったら、今日から1日1回か2回でいいです。ぼそっと生稲晃子って、心の中で言ってみてください。7月10日頃には私が皆様の頭の中に入り込んでいると思います。どうぞ生稲晃子の顔と名前、覚えて下さい。そしてどうぞ、私にご支援をよろしくお願いいたします。最後まで話を聞いて頂いて、本当にありがとうございました。生稲晃子、がんばります。よろしくお願いします。ありがとうございました!

(生稲晃子氏、笑顔で聴衆に向かってお辞儀を繰り返す。聴衆からは自然と歓声と拍手が沸き起こる。歓声に対して、生稲氏は笑顔で手を振って応じる。司会を務める男性が「もう一度大きな拍手をお願いします!」と呼びかけると、聴衆からはさらに大きな拍手が沸き起こる。)

***

文字起こしは以上です。

見ての通り、太字(「当選後に国会議員として何をするのか」に関係すると判断した箇所)は非常に少ないです。本当に国会議員にならなければできなのかという疑問はおいて列挙しても、以下3点しか見つかりません。

  • トライアングル型支援(自ら民間議員として提案し、すでに厚労省が始めている取り組み)をもっと多くの方に知って頂く

  • がんの正しい知識を伝えて、がん検診の受診率を上げ、国民の健康を守る

  • がんや大きな病気になっても生きがいを持って働ける社会を実現する

冒頭に地元・小金井の思い出、出演したテレビ番組を紹介した後は、ひたすら自らのがん経験をもとに「がん検診率を上げたい」という趣旨の内容を繰り返し、終盤の約1分間は自らの名前を7回も連呼しています。具体的な政策を訴えるよりも、とにかく名前を浸透させることが選挙結果に直結してしまう日本の現状を踏まえれば理に適った方法とも言えます。

「とは言え、普通は国会議員に当選したら具体的にどんな政策を進めたいのか演説で伝えるのでは?」

そう思った方に向けて、同じ東京選挙区から立候補している他の候補者2名の街頭演説の映像・文字起こしを参考までにご紹介します。

***

共産党・山添拓 候補

5月28日 池袋駅 *全国比例の田村智子候補との共同街宣

6月24日 池袋駅(全国全都労働者後援会) *文字起こしは無し。山添氏の演説は24分24秒〜43分50秒

れいわ新選組・山本太郎 候補

6月4日 池袋駅

6月27日 府中駅

***

いかがでしょうか? 

両名とも6年以上の国会議員経験があることを差し引いて考えても、自民党・生稲晃子候補の演説とは雲泥の差ではないでしょうか?

三春充希(はる)⭐第26回参院選情報部
@miraisyakai
第26回参院選情勢報道 東京都
2022/06/29 08:02
767Retweet 1016Likes

しかし、上記ツイートの通り6月29日現在、東京選挙区(6人区)では生稲晃子候補はトップ当選も狙えるほど上位につけている一方で、山添拓候補、山本太郎候補は当選ラインの6位以上に入れるかギリギリという状況です。

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今回のニュースレターは以上になります。

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2022年6月29日 犬飼淳

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