「福原愛氏のトラブルは日本が共同親権なら防げた」は本当か?

離婚後の子供をめぐってトラブルに陥っていた元卓球選手の福原愛氏と江宏傑氏。和解を発表した2024年3月15日の記者会見後、国会審議入りした共同親権と関連付ける報道の実態を検証します。
犬飼淳 2024.03.21
読者限定

*政府は今国会で共同親権を含む民法改正の成立を目指しており、緊急性・公共性が高いと判断したため、公開直後から無料読者にも全文を公開します

***

このニュースレターはフリー記者の犬飼が「大手メディアが報じない読み応えのある検証記事」を月に4本以上(目安)配信します。皆さんの生活に影響する政策や報道の複雑な問題点を、正しく理解できるように分かりやすく解説しています。

サポートメンバー登録によって運営されており、利害関係に縛られず取材・検証を日々行っており、総理大臣記者会見にも出席しております。サポートメンバー登録(月額600円〜、いつでも解約可)いただくと、以下の特典を得られます。

  • 100本超の有料記事を過去配信も含めて全て購読できる

  • 記者会見での質問内容をリクエストできる

  • 今後扱ってほしいテーマをスレッドで要望できる

サポートメンバーのおかげで私は継続しての運営が可能になり、より多くの報じられることのない事実を検証することができます。応援いただける方はぜひご登録をお願いいたします。

*ニュースレターの重点テーマ、特に反響が大きかった過去のコンテンツは「概要」を参照ください

***

この記事を書いた理由

  • 共同親権を推進する主張には、対象の混同、言葉の定義のズレ、認識誤りに起因したミスリードが散見される

  • このまま国民の多くが誤った理解のまま共同親権が導入されると、最悪の場合は法制度の欠陥によって命を落とす子供が続出する

  • 離婚後に両親の意見が対立した場合、その子供と関わる全ての人々(医療機関、学校、塾、習い事など)は業務遂行に支障が出るほどの不利益を被る恐れがある

この記事で理解できること

  • 福原愛氏のトラブルは、そもそも日本で共同親権が未導入であることと関係はあったのか

***

離婚後に子供(長男)の養育をめぐって対立していた、元卓球日本代表の福原愛氏と元卓球台湾代表の江宏傑(ジャン・ホンジェ)氏。3月15日、双方の代理人弁護士が日本外国特派員協会で記者会見を開き、すでに和解して長男は江氏に引き渡されたことが発表されました。離婚後の面会交流時に福原氏が長男を日本へ連れ帰ったまま江氏と連絡を絶った2022年7月から数えて、トラブルの収束まで実に約1年8ヶ月を要したことになります。そして、この問題が泥沼化・長期化したことを引き合いに出して、今月に日本で国会審議入りした共同親権を含む民法改正を後押しする論調の報道が国内メディアに散見されます。

今回のニュースレターでは、これらの報道の真偽を検証します。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、7146文字あります。
  • トラブルの時系列
  • 「日本は共同親権を未導入だから、福原氏の連れ去りを防げなかった。」?
  • 「日本は共同親権を未導入だから、江氏は子供を取り戻すまでに時間を要した。」?
  • 「日本は共同親権を未導入だから、一般的に日本では子供に会えない非監護親が多い。」?
  • 的外れな報道の実例
  • 記者会見で代理人弁護士が語った共同親権との関連性

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
【独自】公文書が存在しない国立大学法人法改正案の検討プロセス(2)
サポートメンバー限定
【独自】「訂正」の域を超えた、志賀原発トラブルの北陸電力による「隠蔽」...
誰でも
初の著書「インボイスは廃止一択」出版のお知らせ
サポートメンバー限定
【訴訟報告】ESAT-J不開示決定の処分取消(6)弁論終結
読者限定
永住許可取消を含む2024年版入管法改悪案が助長する外国人差別
読者限定
3人に1人が不利益を被る共同親権。「離婚禁止制度」を超えて「少子化促進...
サポートメンバー限定
【独自】能登半島地震 渋滞の定量データ(2)〜国交省が15ファイルをつ...
誰でも
【事務連絡】読者別の公開方針